マグマ活動
火山研究解説集:薩摩硫黄島 (産総研・地質調査総合センター作成)
脱ガス過程
薩摩硫黄島火山の硫黄岳の山頂火口では,現在,日量40000トンものマグマ起源のH2Oが放出されています,このマグマ起源ガスを放出するために,日量400万-600万トン(70万-110万m3)のマグマが比較的低圧(浅い場所)の環境において脱ガスしていると考えられています.そして,この火山ガス放出活動は800年間以上継続していることが推定されているので,その期間に脱ガスした200km3以上のマグマがほぼ地表近くに存在していなくてはなりません.しかし,このような大量のマグマが非常に浅い場所に存在していることを示す観測結果はありません.では,どのようにマグマは脱ガスし,脱ガスしたマグマはどこに消えたのでしょうか?
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マグマ溜まり
様々な観測結果を元に,薩摩硫黄島火山のマグマ溜まりモデルが提案されています.現在のマグマだまりは,下部に玄武岩マグマ,上部に流紋岩マグマ,中間に安山岩マグマという成層構造をしていると考えられています. その深さは,メルト包有物から見積もられたガス飽和圧力から,流紋岩マグマだまりの上面が3km程度.玄武岩は3-4km以下と予想されています. 下部の玄武岩マグマは上部の流紋岩マグマにガス成分と熱を供給し,さらに,上部の流紋岩マグマは火道を上昇し,低圧下で効率的に脱ガスし,火山ガスを放出しています.脱ガスしたマグマが火道および流紋岩マグマだまりを沈降し,下部のより未分化 なマグマからガス成分を供給されていると考えられています. (もっと読む・・・)