地球物理観測
火山研究解説集:薩摩硫黄島 (産総研・地質調査総合センター作成)
地震活動
摩硫黄島火山における地震観測は,1975年の通商産業省の地熱調査の一環として始まり,その後,京都大学防災研究所(以下,京大防災研),気象庁,産業技術総合研究所地質調査総合センターの3機関によって実施されてきました.長期間の地震活動をモニタリングする常設観測点は,京大防災研・気象庁ともに1点のみであり,短期間実施される臨時観測によって震源分布・発震機構等の解析が行われています.産総研は,1993年10月以降,主に山頂部における臨時観測を実施しています.
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地殻変動
地表の変形具合から地下で起きている現象を推定するのが地殻変動観測の主目的です.火山の場合では,圧力源の位置の推定やそれらの増圧減圧過程,火山性流体の移動の実態を推定できる場合があります.火山観測の測量では,GPS静止測量が一般的です.GPS静止測量は,複数のGPS衛星からの電波を地上の最低2箇所で長時間同時に観測し,電波の到達時間差に相当する位相差を比較します.これにより点間のベクトルの3成分を精密に得ることができます.GPSは観測の連続自動化が可能であり,地殻変動研究や防災に威力を発揮しています.
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その他の観測(坑井,電気,磁気,重力,自然電位)
昭和50〜52年度に実施された工業技術院サンシャイン計画にかかわる委託調査研究「火山発電方式に関するフィジビリティスタディ」(社団法人 日本電機工業会)の成果報告書および地質調査所(1976)で行われた薩摩硫黄島火山についての地球物理的調査のうち,坑井の掘削によって得られた坑底温度と地下水位,シュランベルジャー法による電気探査,空中磁気測量,重力調査の結果を示します.また,自然電位については,近年調査を行った Kanda and Mori (2002) の結果を中心に紹介します. (もっと読む・・・)