火山活動
火山研究解説集:薩摩硫黄島 (産総研・地質調査総合センター作成)
最近の火山活動の推移
硫黄岳山頂では活発な火山ガス放出活動が長期間安定に継続していました.しかし,1990年代に火口中央部に新たに出現した高温噴気地帯が竪穴状火孔に発展し,それに伴い火山灰が放出されました.火山灰は新鮮なマグマの噴出によるものではなく,火口底に堆積していた酸性変質を受けた火山噴出物が,粉砕された物であると推定されています.一方,火山ガス組成は1990年以降ほぼ一定であり,高温変質帯の形成や竪穴状火孔の形成・拡大に対応した変化は見られず,火山ガスを供給するマグマの組成や火山ガスを放出する圧力などに変化はありません.(もっと読む・・・)
昭和硫黄島噴火経緯
薩摩硫黄島火山の近年の最大の噴火は,1934〜1935年の昭和硫黄島の噴火です.噴火は海底噴火として始まり,火山体の成長により新たな火山島である昭和硫黄島を形成しました.昭和硫黄島の噴火によるマグマ噴出量は,雲仙平成新山噴火(1990-95年)のマグマ噴出量(0.18km3)に匹敵もしくは上回るものであり,昭和時代の日本における最大規模の噴火であったといえます.噴火の推移は田中舘の一連の論文により紹介されており,ここではその抜粋を紹介します.(もっと読む・・・)