火山研究解説集:薩摩硫黄島 (産総研・地質調査総合センター作成)
微小地震震源分布図
1999年の京大防災研と地質調査所(現・産総研)の共同観測により求まったA-typeの地震の震源分布(●)を,井口ほか(1999),加茂 (1976,1977)による結果と共に表示してあります.
●はA-type 地震の震源で,島内,特に硫黄岳北西山麓,深さ1km以浅に分布しています.
○はB-type地震の震源で,山頂火口下,paricle motionから非常に浅部,おそらく海水準以浅に分布しています.B-typeの地震は初動の立ち上がりが非常に緩やかなため初動の読み取り精度によって震央分布がばらついている可能性があります(井口ほか,1999).
大きな●で示された1999年11月の臨時観測データが,現時点までで最も観測点数が多く,かつ観測点分布範囲の広い観測であり,震源決定方法も含めて最も精度の高い震源決定結果と考えられます.しかしながら,観測が短期間であることも考慮して,この震源分布図は,通産省による1976~1977年の3観測点による臨時観測,京大防災研による1998年7~8月の臨時観測(臨時観測点6点,SVO定常観測点 1点,JMA 4点),および1999年11月の臨時観測による成果もコンパイルしています.
データ及び処理方法
●(大きい黒丸):1999年11月の共同観測における22観測点(+)によって記録したデータをVp=2.0km/secとしてP波初動から震源決定
●(小さな黒丸):1976~1977年の3観測点による臨時観測データから,S-P時間と地震波到来方向・見掛速度より求めた震源(加茂, 1976,1977)
○(白丸):京大防災研による臨時観測で記録されたB-typeの地震.震源決定では深度0-4kmと求まったが,初動emergentなため深度の精度は悪いと推定しています(井口ほか,1999).
井口ほか(2002b)の図5を引用.