本図幅内には,鮮新世~完新世の火山岩が広く分布する.本図幅地域の火山岩類は,相間川相・秋間層を構成する鮮新世~更新世の安山岩類と,榛名火山を構成する中期更新世~完新世の玄武岩~デイサイトに区分される( 第26図).図幅西縁部には,前期更新世の鼻曲火山小根山層と菅峰火山を構成する安山岩が分布する.
本図幅地域に分布する火山岩類のうち,菅峰火山岩類,新期榛名火山の噴出物はいずれもカルクアルカリ岩系列に属する( 第8図A).古期榛名火山噴出物の大部分はソレアイト系列の組成をもつが,古期榛名火山噴出物のうち,宮沢(みやざわ)火砕流堆積物はカルクアルカリ岩系列の領域の組成をもつ.相間川層・秋間層の火山岩類の組成範囲は,ソレアイト系列・カルクアルカリ岩系列の両者にまたがっている.
本図幅地域に分布する火山岩類は,茶臼山溶結凝灰岩部層を除き,いずれも低カリウム系列(Peccerillo and Taylor, 1976)に分類される( 第8図B).このうち,鮮新世~前期更新世の相間川層・秋間層の火山岩類は,それより上位にあたる下部更新統~完新統の火山岩類(小根山層・菅峰火山岩類・榛名火山岩類)に比較して,全岩SiO2量に対する全岩K2O量がやや高い.秋間層に挟在する茶臼山溶結凝灰岩部層は,上下の秋間層の火山岩類に比較して,全岩SiO2量に対する全岩K2O量が高く,中カリウム系列に属する.茶臼山溶結凝灰岩部層の全岩組成は「御代田」「軽井沢」図幅内に分布する本宿層(本宿団体研究グループ,1968)や志賀溶結凝灰岩層(長野県地学会,1962)等の鮮新世火山岩類と一連の組成トレンドを形成する( 第8図B).
なお,本文中に記載した全岩組成は,特に断りのない限り,主要10元素の酸化物組成(全鉄はFeOで計算)の合計を100%で規格化した値である.