4.2 新期榛名火山
4.2.9 水沢山火砕流堆積物及び崖錐堆積物(Mzd)
地層名
新称.水沢山溶岩ドームの山麓部に分布する崩落堆積物及び小規模な火砕流堆積物を,本報告では水沢山火砕流堆積物及び崖錐堆積物と呼ぶ.
模式地
渋川市伊香保町水沢の船尾滝付近の滝沢川左岸.
層序関係
水沢山溶岩と同時相.古期榛名山溶岩及び扇状地堆積物を覆う.また15~16kaの浅間板鼻黄色軽石層の上位を覆う.本層の上位には浅間C軽石層,榛名二ッ岳テフラが発達する.
分布
水沢山の中腹から山麓部にかけての,おおむね標高850m以下の斜面に分布する.
岩相・構造
淘汰の悪い火山角礫を主体とし,基質は同質の火山礫・火山砂及び火山灰からなる.岩片支持である(第36図).全体に無層理である.礫の集中する部分とやや基質に富む部分が弱く成層するが,それぞれの岩相の側方への連続性は極めて悪い.
本層に含まれる岩片は斜方輝石普通角閃石安山岩で,水沢山溶岩と同質である.本層に含まれる岩片・基質とも全体に高温酸化を受けて淡赤色を呈する.水沢山南東山麓の船尾滝公園付近では,本層に含まれる礫は最大3mに及ぶ.本層は水沢山溶岩ドームの成長に伴う崩壊堆積物であり,火砕流(ブロックアンドアッシュフロー)堆積物と崖錐堆積物が混在していると考えられるが,両者を区分することは困難であることからここでは一括して扱う.
やや円磨した火山岩塊と赤色酸化した火山砂~火山灰からなる.スケール(ハンマー)の長さは約30cm.渋川市水沢観音付近.
(図幅第6.19図)
地質年代
水沢山溶岩との位置関係,岩相の類似性から,水沢山溶岩ドームの成長と同時に,約1万年前に形成されたと考えられる.