4.2 新期榛名火山
4.2.5 相馬山溶岩(Sm)
地層名
相馬山溶岩ドーム(相馬山溶岩円頂丘;大島,1986)を構成する溶岩流を,本報告では相馬山溶岩と呼ぶ.
模式地
相馬山山頂付近.
層序関係
古期榛名火山噴出物を覆い,一部では貫入する.相馬山溶岩は,6世紀の榛名二ッ岳渋川及び伊香保テフラを噴出した噴火によって形成されたと考えられる二ッ岳火口に切断され,また榛名二ッ岳渋川及び伊香保テフラに覆われる.
分布
相馬山(標高1,411m)をピークとする溶岩ドームを構成し,北西側はヤセオネ峠付近から南東側はガラメキ温泉付近の標高900m付近まで東西約2.5kmにわたって分布する.相馬山溶岩ドームの南西側は陣場岩屑なだれの発生に伴う崩壊で,北側は6世紀の二ッ岳噴火に伴う火口の形成によって失われている.現存する相馬山溶岩ドームの大きさは最大比高600m,面積2.3km2,体積0.3km3である.
岩相・構造
斜方輝石普通角閃石安山岩溶岩及び貫入岩からなる.相馬山溶岩の分布域の中心部である相馬山付近では,不規則な粗い節理が発達した塊状の溶岩からなる.相馬山山頂部では,溶岩塊は部分的に赤色酸化している.榛名白川源流部のガラメキ温泉付近では,相馬山溶岩が古期榛名火山を構成する溶岩や火砕岩に貫入する.貫入部付近の相馬山溶岩は著しく破砕されている.
相馬山溶岩は斜方輝石普通角閃石安山岩からなる(第32図).含まれる斑晶鉱物は斜方輝石,普通角閃石,斜長石からなり,少量の磁鉄鉱,アパタイトを伴う.
Pl:斜長石,Hb:普通角閃石,Op:斜方輝石,Mt:磁鉄鉱.写真の横幅約2.5mm.GSJ R94149.
(図幅第6.15図)
地質年代
相馬山溶岩ドームの崩壊によって形成された陣場岩屑なだれ堆積物は20kaの浅間白糸軽石層を覆い,16~15kaの浅間板鼻黄色軽石層に覆われることから,20~15kaの間に噴出したと考えられる.