4.2 新期榛名火山
4.2.8 水沢山溶岩(Mz)
地層名
水沢山溶岩ドーム(水沢山溶岩円頂丘;大島,1986)を構成する溶岩を,本報告では水沢山溶岩と呼ぶ.
模式地
渋川市伊香保町水沢の水沢山山頂付近.
層序関係
古期榛名火山の溶岩及び火砕岩類を覆い,榛名二ッ岳テフラに覆われる.
分布
水沢山(標高1,194m)を構成する(第34図).現存する水沢山溶岩ドームの大きさは最大比高約500m,面積1.4km2,体積0.08km3である.
東側山麓の渋川市明保野付近から撮影.
(図幅第6.17図)
岩相・構造
水沢山溶岩の分布域の中心部である水沢山山頂付近では,不規則な数m間隔の節理が発達した塊状の溶岩からなる.新鮮な部分は淡灰色を呈するが,溶岩ドーム表面では高温酸化により淡赤色を呈する.水沢山溶岩は斜方輝石普通角閃石安山岩からなる(第35図).含まれる斑晶鉱物は斜方輝石,普通角閃石,斜長石からなり,少量の磁鉄鉱,アパタイトを伴う.角閃石はオパサイト化が著しい.
Pl:斜長石,Hb:普通角閃石,Op:斜方輝石,Mt:磁鉄鉱.写真の横幅約2.5mm.GSJ R94154
(図幅第6.18図)
地質年代
本溶岩の年代を直接測定した報告はない.新井・矢口(1994)は,本溶岩を覆う黒色土中に挟まれる浅間火山起源のテフラの年代から,本溶岩の年代を約9千年~1万年前と推測した.水沢山溶岩ドームの形成に関係すると考えられる崖錐堆積物や行幸田扇状地堆積物の形成年代から推測して,本溶岩は約1万年前に噴出したものと考えられる.