名火山噴出物は,榛名山を構成する陸成の火山噴出物で,本図幅地域の中央部から北部の広い地域に分布する.榛名火山噴出物は,約20万年間の活動休止期を挟んで,中部更新統の古期榛名火山噴出物と,上部更新統~完新統の新期榛名火山噴出物に区分される.古期榛名火山噴出物は,底辺の直径約25kmの円錐形の成層火山体を構成する火山噴出物で,図幅西部で菅峰火山岩類を不整合で覆い,本図幅中部~南部では秋間層及び相間川層を不整合で覆う.また榛名山東部の榛名白川源流部では,ガラメキ層を不整合で覆う.古期榛名火山噴出物は主に輝石安山岩の溶岩流及び火砕岩からなる.
新期榛名火山噴出物は,約5万年前に榛名カルデラから噴出し,主に榛名山南東麓に分布する火砕流堆積物(白川火砕流堆積物)と,その噴出後に榛名カルデラの内外に噴出した榛名富士,相馬山,水沢山,二ッ岳の溶岩ドーム群,及びこれらの溶岩ドーム群の形成に伴い発生した火砕流・岩屑なだれなどの堆積物からなる.新期榛名火山噴出物は主に角閃石安山岩からなる.榛名火山の最も新しい噴火活動は現在の二ッ岳付近で5世紀末から6世紀にかけて発生した2回の噴火で,それぞれ榛名二ッ岳渋川(しぶかわ)テフラ及び榛名二ッ岳伊香保(いかほ)テフラを噴出し,一連の活動の最後に二ッ岳溶岩を噴出した.
古期・新期榛名火山の山麓には,火山体から供給された砕屑物からなる扇状地堆積物が広く発達する.扇状地堆積物は主に河川堆積物からなるが,相馬ヶ原には岩屑なだれ堆積物(陣場岩屑なだれ堆積物)が発達する.