4.1 古期榛名火山
4.1.2 古期榛名火山岩脈群(Ohd)
模式地
掃部ヶ岳南山腹
層序関係
古期榛名火山噴出物に貫入する.
分布
掃部ヶ岳,榛名神社付近,沼尾川源流部,榛名白川源流部などに分布し,全体として榛名湖南部を中心とする放射状岩脈群を構成する.およそ30枚の岩脈が露出する(第9図).
第9図 掃部ヶ岳南斜面に露出する安山岩岩脈
古期榛名火山の火山角礫岩中に2枚の安山岩岩脈が貫入するのが見える(矢印).
右上の稜線部に露出する岩脈は“耳岩”と呼ばれている.高崎市榛名湖町の掃部ヶ岳南方,
杖の神峠付近.
(図幅第5.8図)
岩相及び構造
分布地域の西側にあたる掃部ヶ岳から榛名神社にかけての地域では,厚さ数mの岩脈が多数分布する.個々の岩脈の延長は不明であるが,掃部ヶ岳南東山腹の岩脈は東西方向に約800m,また榛名神社北東の岩脈(九折岩(つづらいわ)岩脈)は,北東―南西方向に約500m以上にわたって追跡できる.南東側の榛名白川源流部では黒岩岩脈などの厚さ数10mの大規模な岩脈あるいは岩頸状の貫入岩体が発達する.榛名山南東山腹の黒岩は放射状岩脈の一つで,厚さ約120m,延長約1,200mの大規模な岩脈である(第10図).
本岩脈群を構成する岩石は,斜方輝石単斜輝石安山岩であり,岩脈を構成する岩石の岩石学的特徴は古期榛名火山噴出物と共通である.
第10図 黒岩を構成する火山岩頚
古期榛名火山の火山角礫岩及び溶岩中に貫入する岩頚.高崎市箕郷町松之沢付近
(図幅第5.9図)
地質年代
岩相の類似性及び層序関係から,古期榛名火山噴出物の噴出と同時に貫入したと推測される.