4.2 新期榛名火山
4.2.6 陣場岩屑なだれ堆積物(Jd)
地層名
大島(1986)による陣場岩屑流を本報告では陣場岩屑なだれ堆積物と呼ぶ.
模式地
榛東村新井付近.
層序関係
陣場岩屑なだれ堆積物は,古期榛名火山扇状地堆積物や白川火砕流堆積物,新期榛名火山扇状地堆積物を覆う.陣場岩屑なだれ堆積物はその上位を新期榛名火山扇状地堆積物に覆われる.浅間火山の降下テフラとの関係では,陣場岩屑なだれ堆積物は20kaの浅間白糸軽石層と15~16kaの浅間板鼻黄色軽石層との間に存在する.
分布
陣場岩屑なだれ堆積物は,榛名火山の南東山麓に分布する相馬ヶ原扇状地を形成する.陣場岩屑なだれ堆積物の上面は,より新しい扇状地の砂礫層に覆われるため,流れ山の山頂部のみが突出する.相馬ヶ原扇状地を横断する上越新幹線榛名山トンネル工区では,陣場岩屑なだれ堆積物は最大40mの層厚で分布する(日本鉄道建設公団東京新幹線建設局,1982).
岩相・構造
斜方輝石普通角閃石安山岩の角礫及び基質を充填する淘汰の悪い塊状の火山礫~火山灰からなる( 第33図).異質礫はほとんど含まれない.大型の角礫にはしばしばジグソー割れ目が発達する.基質は同質の火山礫及び火山砂からなる.基質は部分的に高温酸化により淡桃色を呈する.大島(1972)によると,本堆積物の自然残留磁化方位は一定していない.
角閃石安山岩の角礫状のブロックと,同質の基質からなる火山角礫岩.写真に示すように,大型のブロックはしばしば強く破砕されている.榛東村新井の群馬県林業試験場付近.
(図幅第6.16図)
地質年代
陣場岩屑なだれ堆積物は20kaの浅間白糸軽石層を覆い,15~16kaの浅間-板鼻黄色軽石層に覆われることから,20~15kaの間に形成されたと考えられる.