4.2 新期榛名火山
4.2.4 蛇ヶ岳溶岩(Jg)
地層名
蛇ヶ岳(じゃがたけ)溶岩円頂丘(大島,1986)を構成する溶岩流を本報告では蛇ヶ岳溶岩と呼ぶ.
模式地
高崎市榛名湖の蛇ヶ岳山頂付近.
層序関係
本層の基底は露出していないため被覆関係は不明であるが,榛名カルデラを埋める白川火砕流堆積物を覆うものと考えられる.榛名富士西麓の榛名湖岸では,本溶岩の表面を姶良Tnテフラ,浅間板鼻褐色軽石群を挟在するローム層が被覆する.
分布
蛇ヶ岳(標高1,411m)をピークとする溶岩ドームを構成する.露出する蛇ヶ岳溶岩ドームの大きさは最大比高100m,面積0.13km2,体積0.008km3である.
岩相・構造
斜方輝石普通角閃石安山岩の溶岩からなる.蛇ヶ岳溶岩ドームの表面は破砕された角閃石安山岩の岩塊で覆われている.ほとんどの岩塊は赤色に酸化している.蛇ヶ岳溶岩は斑晶量30%程度の角閃石安山岩からなる(第31図).含まれる斑晶鉱物は斜方輝石,普通角閃石,斜長石からなり,少量の石英,磁鉄鉱,アパタイトを伴う.角閃石は酸化し,結晶周辺部がオパサイト化している.
Pl:斜長石,Hb:普通角閃石,Op:斜方輝石,Mt:磁鉄鉱.普通角閃石は結晶周辺部がオパサイト化を受けている.また斜方輝石も結晶周辺部が酸化している.写真の横幅約2.5mm.GSJ R94147.
(図幅第6.14図)
地質年代
本溶岩の噴出年代は不明であるが,榛名富士溶岩との岩相の類似性,地形の保存状態から,榛名富士とほぼ同時期かそれよりも古いと考えられる.