有珠山
1977-78年(~82年)噴火
Usu 1977-78 (~82) Eruption
- 発生地域: 日本 北海道
- 噴火規模: VEI 4
- マグマ組成: 流紋岩質
- 噴火トレンド: 多峰型
※VEIは産総研 1万年噴火イベントデータ集による
0.084 km3 bulk
最高噴煙高度: 12 km
主要な噴出物等
- 降下火砕物
- 溶岩
あり
噴火終盤に潜在溶岩ドームを形成
前兆現象・噴火開始
1977/08/06 3:30から有感地震多発.
噴火推移
推移は新井田ほか(1982)に詳しい.1977/08/07 9:10に小有珠南東麓から白い噴煙が立ち上り最初の噴火が始まる.軽石を降下させながら10:40には噴煙高度12 kmに達するが11:13に一旦噴煙が途切れる.翌8日まで断続的に小噴火が起こった後,15:20に再び軽石を降下させる噴火が再開.18:00に終了するまで軽石・岩片を降下させる.23:40頃から再び噴火が激しくなり翌9日2:15まで軽石降下.その後小爆発を繰り返す.8/14頃から潜在溶岩ドームである有珠新山が成長を始め,隆起は82年3月まで続く.噴火活動は頻度を減じて1978/10/27に最後のものが起こった.一連の活動の総噴出量は0.084 km3 (鈴木, 1981)であった.
日付時刻 | 継続時間(h) | VUC | 内容 | 出典 |
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1977/08/06 03:30 | 約30時間 | 2 | 有感地震多発 | 気象庁 有珠山 有史以降の火山活動 |
1977/08/07 09:10 | 約2.0時間 | 3 | 小有珠南東麓から白い噴煙が立ち昇り噴火開始。大きな爆発音聞かれず。 | 新井田ほか (1982) 火山 |
1977/08/07 09:12 | 4 | 暗灰色の噴煙が山麓より目撃される。岩塊放出は未確認。 | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1977/08/07 09:30 | 4 | 噴煙柱高度3.5~4 km | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1977/08/07 09:40 | 5 | 昭和新山地区に親指大の軽石が降下 | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1977/08/07 10:00 | 5 | 関内地区に軽石降下 | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1977/08/07 10:10 | 約15分間 | 5 | 噴火最盛期。岩塊放出が目撃される | 新井田ほか (1982) 火山 |
1977/08/07 10:40 | 5 | 噴煙高度12 km | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1977/08/07 10:44 | 5 | 室蘭で火砕物降下 | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1977/08/07 11:07 | 4 | 噴煙柱減衰中 | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1977/08/07 11:12 | 4 | 噴煙柱は高度2-3 km。 | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1977/08/07 11:13 | 約1分間 | 2 | 噴煙柱がいったん途切れる | 新井田ほか (1982) 火山 |
1977/08/07 11:15 | 4 | 新たに噴煙柱が上がる。高度2km。 | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1977/08/07 11:28 | 4 | 壮瞥地区に細粒火山灰が降下 | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1977/08/07 11:32 | 4 | 東湖畔にも火山灰降下 | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1977/08/07 11:37 | 4 | 有珠外輪山一円に降灰、視程悪化。 | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1977/08/07 11:56 | 約36分間 | 4 | 外輪山の西側から徐々に視程回復 | 新井田ほか (1982) 火山 |
1977/08/07 12:50 | 約40分間 | 2 | 長和・壮瞥地区の降灰終了 | 新井田ほか (1982) 火山 |
1977/08/07 13:31 | 3 | 小噴火。噴煙柱高度2 km。壮瞥地区にわずかに降灰。 | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1977/08/07 16:20 | 3 | 小噴火。山麓に微量の降灰。 | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1977/08/07 18:22 | 3 | 小噴火。微量の降灰。 | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1977/08/08 13:35 | 約30分間 | 3 | 小噴火。微量の降灰。 | 新井田ほか (1982) 火山 |
1977/08/08 15:20 | 約45分間 | 4 | 雲の中で噴火開始。次第に強度を増し、洞爺湖温泉町では火砕物が降下。 | 新井田ほか (1982) 火山 |
1977/08/08 16:05 | 約60分間 | 5 | 洞爺湖温泉町でこぶし大の軽石と岩片が30分間降下。その後も小型のものが散発的に降下。 | 新井田ほか (1982) 火山 |
1977/08/08 16:30 | 5 | 噴煙柱高度6.6 km。泉地区では雨交じりの火山灰・軽石・岩片がはげしく降下 | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1977/08/08 18:00 | 約60分間 | 2 | 洞爺湖温泉町における軽石・岩片の降下終了 | 新井田ほか (1982) 火山 |
1977/08/08 19:00 | 4 | 小噴火 | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1977/08/08 23:40 | 約2.2時間 | 4 | 伊達方面より山頂に火柱が目撃される | 新井田ほか (1982) 火山 |
1977/08/08 23:44 | 4 | 山頂付近で火山雷。次第に激しくなる。 | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1977/08/09 00:10 | 約2.0時間 | 5 | 降雨の中、洞爺湖温泉町に軽石降下。最大直径20cm。 | 新井田ほか (1982) 火山 |
1977/08/09 01:00 | 5 | 激しい降雨の中、南麓から火柱が目撃される | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1977/08/09 01:55 | 約0分間 | 2 | 洞爺湖温泉町で軽石の降下止む | 新井田ほか (1982) 火山 |
1977/08/09 02:10 | 約0分間 | 5 | 再び雷鳴。洞爺湖温泉町に軽石降下 | 新井田ほか (1982) 火山 |
1977/08/09 02:15 | 約3.0時間 | 2 | 軽石降下止む | 新井田ほか (1982) 火山 |
1977/08/09 04:45 | 約2.8時間 | 4 | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1977/08/09 08:15 | 4 | 新井田ほか (1982) 火山 | ||
1977/08/09 08:55 | 4 | 新井田ほか (1982) 火山 | ||
1977/08/09 09:08 | 4 | 新井田ほか (1982) 火山 | ||
1977/08/09 10:20 | 約45分間 | 4 | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1977/08/09 11:20 | 約2.5時間 | 5 | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1977/08/09 13:57 | 4 | 新井田ほか (1982) 火山 | ||
1977/08/09 16:02 | 4 | 新井田ほか (1982) 火山 | ||
1977/08/12 08:12 | 約48分間 | 4 | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1977/08/13 22:37 | 約2.9時間 | 4 | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1977/08/14 01:35 | 4 | 新井田ほか (1982) 火山 | ||
1977/08/14 02:00 | 4 | 新井田ほか (1982) 火山 | ||
1977/08/14 | 約55ヶ月 | 2 | 噴火開始からおよそ1週間後に隆起開始。82年3月まで潜在溶岩ドームの有珠新山の形成 | 気象庁 有珠山 有史以降の火山活動; Yokoyama et al. (1981) JVGR |
1977/11/16 | 3 | 小規模な水蒸気爆発 | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1978 1月 | 3 | 小規模な水蒸気爆発 | 新井田ほか (1982) 火山 | |
1978 7月 | 約90日間 | 4 | 7-9月マグマ水蒸気爆発。 | 気象庁 有珠山 有史以降の火山活動 |
1978/10/27 | 約90日間 | 3 | 1977-78 最後の噴火 | 気象庁 有珠山 有史以降の火山活動 |
長期的活動推移
歴史時代に1663年の有珠b降下火砕堆積物の噴出で活動を再開した.その後先明和噴火(年代不詳),明和火砕流(1769),文政火砕流(1822),1853噴火,1977噴火などのプリニー式噴火を含む大小の噴火活動および潜在溶岩ドーム形成活動を数十年程度の間隔で繰り返している.
引用文献
新井田清信・鈴木建夫・勝井義雄 (1982) 有珠山1977年噴火の推移と降下火砕堆積物. 火山, 27, 97–118. https://doi.org/10.18940/kazanc.27.2_97
鈴木建夫 (1981) 降下火砕堆積物の“層厚-面積”曲線. 火山, 26, 9–23. https://doi.org/10.18940/kazanc.26.1_9