Version 1.0.4
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Photo of the volcano
2015/4/22 17:41
作成・引用: Carolina Barría Kemp, ライセンス: CC BY-SA 2.0

カルブコ
2015年噴火

Calbuco 2015 Eruption
  • 発生地域: チリ
  • アンデス南部火山帯(SVZ)
  • 噴火規模: VEI 4
  • ※VEIはスミソニアン博物館GVP (Global Volcanism Program)による

    0.11-0.13 km3 DRE

    最高噴煙高度: 20 km

  • マグマ組成: 玄武岩質安山岩
  • 噴火トレンド: 多峰型
火山の位置(厳密な火口の位置を示すものではない).

主要な噴出物等

  • 降下火砕物
  • あり

  • 火砕流
  • あり

外部リンク:

米スミソニアン博物館 Volcanoes of the World: Calbuco

噴火の全体的な推移

カーソルを合わせると詳細が表示される.火山活動の強度を示す縦軸にとったVUCの詳細は【こちら】

前兆現象・噴火開始

Calbuco火山では,2015年に入ってから4月21日までに147回の地震が記録されている.地震回数は噴火のひと月前から顕著に増加した.4月22日18:11(GMT)には,144回の火山構造性地震及び低周波地震が東山麓の直下で発生した.20:45には熱異常が観測された.噴火の約10分前からハイブリッド地震が発生した.

噴火推移

ごく短い前駆的活動ののち,21:05から激しい爆発的噴火が発生し約1.5時間後の22:32まで継続した(Phase1).持続的な噴火に移行した.噴煙柱は火口上15 ㎞に達した.Phase 1の噴出量は約9.3×1010 kg,噴出率は最大1.76×107 ㎏/s(Unit B)(Romero et al., 2016)と見積もられる.

23日00:20から地震活動が活発化したのち,04:08から二回目のより激しい爆発的噴火が発生した(Phase 2).噴煙柱は火口上空15 ㎞以上に達した.熱赤外観測によると噴煙柱頂部の温度は-68 ℃であり,これは海面上18-20 ㎞(火口上16-18 ㎞)に相当する.爆発的噴火は約6時間継続した.Phase 2の噴出量は約1.8×1011 kg,噴出率は最大2.19×107 ㎏/s(Unit C)と見積もられる(Romero et al., 2016).23日午後以降噴煙柱高さは火口上2 ㎞以下で持続したが,4月30日には一時的に約4 ㎞に達した.

一連の噴火の総噴出量は0.11-0.13 km3 DREである.噴出物の化学組成は玄武岩質安山岩(SiO2~55重量%)である.

日付時刻継続時間(h)VUC内容出典
2015/04/01約30日間1地震活動の高まり既製のの噴火推移概要
2015/04/22 20:452熱異常が観測既製のの噴火推移概要
2015/04/22 21:06約90分間6噴煙柱高度15 km、1.76×107 kg/s既製のの噴火推移概要
2015/04/23 00:20約4.0時間2地震活動の活発化既製のの噴火推移概要
2015/04/23 04:08約6.0時間6噴煙柱高度18-20 km、2.19×107 kg/s既製のの噴火推移概要
2015/04/23 12時頃約6.5日間3噴煙高度2 km以下既製のの噴火推移概要
2015/04/304一時的に噴煙高度4 km既製のの噴火推移概要
噴火推移のイベント一覧.時間は全て現地時刻.

長期的活動推移

Calbuco火山は,過去30万年間にわたって構築された成層火山体である(Selles and Moreno, 2011).Calbuco 1火山は34万~11万年前に活動し,玄武岩質安山岩を主体とし,少量の玄武岩および安山岩からなる.Calbuco2は11万~1.4万年前に活動し,安山岩からデイサイト溶岩とそれから発生したブロックアンドアッシュフローからなる.氷河の影響を受けている.少なくとも2回の山体崩壊が完新世に発生している.1.4万年前の山体崩壊は,北~北東方向に開いた馬蹄形崩壊地形を形成した.この山体崩壊は2~3km3におよぶ岩屑なだれ堆積物を発生させ,55㎞2の領域を最大200mの厚さで覆っている.Calbuco3(1.4万年前以降先史時代)の活動はCalbuco2の崩壊カルデラ内に限られ,安山岩~玄武岩質安山岩やデイサイトの溶岩を噴出し,また火砕流をともなう.Calbuco4(歴史時代)の噴火は玄武岩質安山岩~安山岩質の塊状溶岩を噴出し,また溶岩ドームを成長させている(1893年,1911-12年,1917年).またブロックアンドアッシュフローや火砕流,降下テフラ,ラハールも発生している.爆発的な噴火は1792年以降しばしば発生している.1893年噴火では噴煙柱高度が火口上12㎞に達する噴火が3回発生している(Petite-Breuilh, 1999).2015年噴火以前の噴火は1960年のM9.5チリ地震の後の1961年に発生し,噴煙高度は12-15㎞に達した.火砕噴火のほか二つの溶岩流が噴出している.1961年噴火は3か月継続している.1972年の噴火はごく小規模である.1996年には噴気活動の活発化があった.

引用文献

Romero, J.E., Morgavi, D., Arzilli, F., Daga, R., Caselli, A., Reckziegel, F., Viramonte, J., Díaz-Alvarado, J., Polacci, M., Burton, M., Perugini, D., 2016. Eruption dynamics of the 22–23 April 2015 Calbuco Volcano (Southern Chile): Analyses of tephra fall deposits. J. Volcanol. Geotherm. Res. 317, 15–29. https://doi.org/10.1016/j.jvolgeores.2016.02.027

Van Eaton, A.R., Amigo, Á., Bertin, D., Mastin, L.G., Giacosa, R.E., González, J., Valderrama, O., Fontijn, K., Behnke, S.A., 2016. Volcanic lightning and plume behavior reveal evolving hazards during the April 2015 eruption of Calbuco volcano, Chile. Geophys. Res. Lett. 43, 3563–3571. https://doi.org/10.1002/2016GL068076