赤崎峰山火山(Az1 及び Az2)
新島本村集落の北北東にある赤崎峰(あかざきのみね)(海抜428.5m)の主体を構成する流紋岩溶岩及び火山角礫岩を赤崎峰火山と呼ぶことにする.この火山は津屋(1938)の赤崎ノ峯熔岩にほぼ相当し,南北径2.1km,東西径1.9km,平面形は不規則で,厚さ約250mの低平な溶岩円頂丘である.赤崎峰の東腹にある崩壊地の海抜100mから150mにかけては円頂丘溶岩下部の塊状部が露出しているが,溶岩流出に先立って放出されたと考えられる火砕物は観察されなかった.島分沢及びその周辺に広く分布する,固結度が低く,無層理で,同質の礫からなる火山角礫岩(カミングトン閃石流紋岩)は円頂丘溶岩下部の塊状部かクランプル角礫岩(crumble breccia1))である.この火山の噴出物は南部では峰路山火山溶岩円頂丘を覆うように分布し,北部では島分沢火山砕屑性堆積物を覆い,後述する宮塚山火山溶岩円頂丘に覆われる.
この火山の溶岩円頂丘の底面は南西へ低下しているので,津屋(1938,p. 180)が述べているように,北東部に流出口があって,南西方向に多少流下したものと推定される.非常にまれではあるが,径10cm に達する暗色苦鉄質包有物が認められる.
既に述べたように,火山角礫岩とその下位にある島分沢火山砕屑性堆積物との間には,時間間隙を示す野外での事実は認められないので,後者の少なくとも一部は溶岩流出に先立つ火砕物であるかも知れない.
1) Macdonald, G. A. (1972) Volcanoes. Prentice-Hall, Inc., Englewood Cliffs, New Jersey, 510 p.