宮塚山火山(Mt1 及び Mt2)
新島の北部山地の中央部を占める宮塚山( 海抜432m) の主体を構成する火砕丘(Mtl) と溶岩円頂丘 (Mt2)を宮塚山火山と呼ぶことにする.この火山は宮地(1965)の宮塚山ホマトロイデにほぼ相当し,南西- 北東辺,南東- 北西辺がともに約1.5 km,平面形がほぼ正四角形である.宮塚山の東腹,都道211号線の吹上げの坂の切り取りでは,西へ低下する羽伏磯火山の溶岩円頂丘の塊状表面を,細かい気孔の発 達した,白色の流紋岩火山灰ないし火山岩塊(かさ比重1.5ないし2程度)からなり,粗い層理の見られる火砕物(Mtl)が覆っている.その厚さは約20mである.宮塚山の北腹東側でも,ジナーカ火山の溶岩円頂丘の軽石質表面を,同様な火砕物(Mtl)が覆っている.ここでは厚さは約30mである.これらの火砕物は火砕丘を構成するものの一部であろう.これら火砕物を厚さ約250mの流紋岩円頂丘溶岩が覆っている.地形図からはっきり分かるように,円頂丘の中央部はくぼんでいるが,これは流出した溶岩の 一部が火道に戻ったために生じた地形である.
円頂丘溶岩(Mt2)が赤崎峰火山噴出物を被覆する関係は島分沢の右岸,海抜約220mの地点で観察される.宮塚山火山の溶岩円頂丘とそれを覆う後述する未区分火山砕屑性堆積物(vu)とが直接接する露頭は見いだせなかったが,峰路山及び赤崎峰両火山の場合と同じように,未区分火山砕屑性堆積物(vu)が円頂丘の風化面を覆っているとみてよいであろう.この堆積物については次節で詳述する.
円頂丘溶岩はときに暗色苦鉄質包有物を有し,北東麓の平の平(へいのたいら)(地元の人はヒインテイロと呼んでいる)の採石場跡での観察では,包有物が引きちぎられたように見える場合がある.