瀬戸山火山(St)
新島本村集落の南にある瀬戸山(海抜126m)―大三山の下部を構成する流紋岩溶岩を瀬戸山火山と呼ぶことにする.この火山は福地(1902)の地内島式流紋岩,津屋(1938)の瀬戸山熔岩のうち,瀬戸山下部を構成する流紋岩溶岩に相当する.後述する向山火山の火砕サージ堆積物や砂丘堆積物に覆われてはいるが,この火山は南北径1km,東西径1.7km,平面形が長円で,海面上の厚さが約100m の低平な溶岩円頂丘である.溶岩流出に先立って放出されたと考えられる火砕物は露出していない.
瀬戸山の北麓の大三河原や新島(黒根)港から鳥ヶ島へかけての海食崖では,後述する大三山火山砕屑性堆積物に覆われている.瀬戸山の北東麓でも3 箇所でこの火山の流紋岩溶岩が観察されるが,大三山火山砕屑性堆積物との関係は不明である.