神津島周辺の地形
地史（地質図を含む）
神津島の東岸沖約15kmに北北西から南南東に並ぶ大小5個の小島及び岩礁があり，祇苗（ただなえ）島と総称されている．筆者は一番北北西にある島，地の祇苗には接岸・上陸できたが，ほかの島や岩礁には接岸できなかった．しかし，舟からの観察では，本来は1個の溶岩円頂丘であったと見てよいと思う．ここでは，この島群を祇苗島火山（Tn）と呼ぶことにする．この火山は Tsuya（1929）の第一期のε1-Lava， 谷口（1977）の砂糠山溶岩のそれぞれ一部に相当するが，砂糠・周辺を構組成する溶岩に比べる無斑晶の量が多いなど岩質を異にするので，独立の火山と認めた．この円頂丘溶岩は北北西-南南東の長径約1.1 km，短径約0.35 km，厚さは73 m以上で，流理構造が良く発達しており，粗い柱状節理か見られる．流理の傾斜は一般に低角度であるが，場所によっては70゚に達する（
第2図，前景）．地の祇苗と祇苗とでは，円頂丘溶岩の上部は破砕され，塊状を呈している．祇苗では，少なくとも3つの小峰が突出しており，溶岩円頂丘表面の凹凸地形を今に残している．
黒雲母流紋岩：祇苗島地の祇苗，円頂丘溶岩．この岩石は灰白色，石質，流理構造が発達しており，黒雲母斑晶を散点的に含む．
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