神津島,祇苗島,恩馳島,式根島の順に地質の記述を行う.それぞれの島は互に離れており,それらの新旧関係については不明の点が多い.
神津島
神津島は,同島北海岸に露出し基盤岩と見なされる“氷長石化作用”を受けたデイサイト溶岩と第四紀の流紋岩単組成火山群とからなる.流紋岩単組成火山〔火砕丘+溶岩円頂丘あるいは火砕丘(?)+厚い溶岩流〕は少くとも16個存在する.それぞれの単組成火山稜活動の初期に放出される火砕物は,最新の天上山火山形成に伴うもの以外は,野外での識別が困難であることから,ここでは一括して秩父山火砕堆積物としておく.これは Tsuya(1929)の Chichibu-yama ejecta-bed,津屋(1930)の秩父山軽石層,谷口(1977)の秩父山火山砕屑岩(下部層及び上部層)にほぼ相当するが,津屋及び谷口の地質図に示されていない火砕堆積物,例えば北海岸ハシルマの海食崖で紫蘇輝石流紋岩溶岩流の下位にくるものなども含むものとする.