221m山火山(Nn及びCbの一部)
島の北部,神戸山稜南方約0.7km,国土地理院発行,1:25,000地形図「神津島」に示された標高点221mを中心に径約500mの範囲に分布する流紋岩溶岩円頂丘を,適当な地名がないので,仮に221m山火山と呼ぶことにする.この火山はTsuya(1929)には記載されておらず,
Chichibu-yama ejectaに塗色されている.谷口(1977)の河波命溶岩円頂丘に相当する.溶岩流の厚さは地形から見て約50 mと推定され,かなり浸食されている.下位の岩層(恐らく秩父山火砕堆積物)との直接の関係は確認されていないが,秩父山火砕堆積物の少なくとも一部よりは上位であろう.標高点221mの西方の道路切り取りでは,風化した流紋岩塊状表面を覆って,秩父山火砕堆積物に属する,灰色火山灰―細粒火山礫,全体の色調が白橙色の黒雲母流紋岩の軽石及び石質火山灰―火山礫(厚さ150 cm)が覆い,更にその風化生成物である褐色砂質ロームを
天上山火山形組成に関係したと思われる細かい層理の発達した灰白色軽石質及び暗灰色石質の火山灰―火山礫(厚さ約100 cm)が覆っている.この地点から北へ約0.2 kmの同じく道路切り取りでは,黒雲母流紋岩塊集積の上部にクラック帯が発達し,その上位に明褐色砂質ローム(下部で厚さ55 cm)―暗褐色ローム(上部で厚さ7cm)が重なり,更に厚さ約200 cm,全体の色調が灰白色,細かい層理の発達した軽石質及び石質の火山灰―火山礫が重なる.
黒雲母流紋岩(NI 60071903):標高点221 mの東方の旧道,円頂丘溶岩この岩石は白色,軽石質で, 長石・石英・黒雲母などの斑晶が目につく.