神津島周辺の地形
地史（地質図を含む）穴の山火山（Ay及びCbの一部）
島の北北東海岸中央部に接するようにそびえる溶岩円頂丘を地名を採って穴の山火山と呼ぶことにする（アナン山とも呼ばれている）．この火山は Tsuya（1929）の第三期の穴木山溶岩，谷口（1977）の第III期のアナギ山溶岩円頂丘に相当する．円頂丘溶岩は径約650mで，厚さ 100-150m程度と見積もられる．頂部はいくつかの峰に分かれており，中央に北西-南東に伸びた凹所が発達している．溶岩流出に先立って形組成された火砕丘あるいは放出された火砕堆積物と考えられるものは確認されていない．比較的露頭のよいおおやせの海岸でも，円頂丘溶岩下底部の赤褐色がかった白色，やや粗鬆な塊状部までは見られるが，それより下位は多くの場合崖錐に覆われて観察できない．天上山火山噴出物との関係は確認されていない．おおやせの海岸で，黒雲母花崗閃緑岩捕獲岩を含む黒雲母流紋岩岩塊を発見したが，この円頂丘溶岩から崩落したものであろう．
黒雲母流紋岩：天上山不動尊北北西方約1.4km，道路北東側小採石場跡（穴の山），円頂丘溶岩．この岩石は白色，軽石質で，斑晶として乳白色の長石・無色透明の石英のほかに，まれに径 3mmに達する黒雲母が目につく．肉眼的に花立火山稜溶岩に極めて良く似ている．
黒雲母流紋岩中の黒雲母花崗閃緑岩（NI 60071802）:北海岸おおやせ，穴の山火山流紋岩円頂丘溶岩からの落石と思われるもの．全体の色調が灰色の黒雲母流紋岩中に包まれる，白色・糖状の岩片で黒雲母を散点的に含む．
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