命名 新称.開聞岳南方の海食崖に広く露出するKm11aの降下スコリアに覆われる溶岩流(藤野・小林,1997)を開聞岳南溶岩と命名する.
模式地 開聞岳南海岸,黒瀬の東方海食崖.
分布・層厚 開聞岳南の海食崖にほぼ連続して露出する.層厚は20 m以上.
層序関係 川尻溶岩流及び犬帰溶岩流(いずれも地質図では省略)をKm10以前の開聞岳テフラを挟んで覆う.Km11aの降下スコリアに覆われる.
岩相 開聞岳南溶岩は,複数のフローユニットからなる灰色のかんらん石斜方輝石単斜輝石玄武岩溶岩流で,フローユニット境界にはクリンカーしか挟まない,同一の噴火で噴出したと考えられる溶岩流である.開聞岳南西海岸,黒瀬東方では,厚さが1〜4 mの玄武岩溶岩フローユニットが7枚認められる(第8図).いずれも径2〜4 mm程度の斜長石斑晶に富む(30vol.%前後)かんらん石斜方輝石単斜輝石玄武岩溶岩流で,径5 cmに達する斜長石巨晶,20 cmほどの花崗岩捕獲岩を含む.開聞崎から川尻西方までの溶岩流も同様に複数のフローユニットからなるKm11a,bの降下スコリアに覆われる溶岩流であり,同一時期の溶岩流と判断される(藤野・小林,1997).黒瀬東方の開聞岳南溶岩の全岩主成分組成を 第1表に示す.
地質年代 Km11に直接覆われることから,Km11噴火時に形成されたと考えられる.噴出年代は,1.5 ka前後と推定される(藤野・小林,1997).
開聞岳南海岸,黒崎東.
(図幅第6.22図)