命名 桑代(1966).
模式地 開聞町塩屋,花瀬崎.
分布・層厚 開聞岳の西北西山麓,頴娃町塩屋の西から花瀬崎にかけて分布する.溶岩流のローブ地形,溶岩しわがよく残った厚さ8 m以上の玄武岩溶岩流.
層序関係 下限は露出していない.藤野・小林(1997)によると,Km8b以降の開聞岳テフラが花瀬溶岩の上に堆積している.
岩相 花瀬溶岩は,アアクリンカーを上面に伴う,暗灰色のかんらん石単斜輝石玄武岩溶岩流で,下限は露出しない.径1〜3 mm程度の斜長石斑晶に富み,径0.2〜0.5 mm程のかんらん石及び単斜輝石を含む.かんらん石には単斜輝石反応縁を伴う.
波食された面には,溶岩じわが明瞭に残っており,「縄状溶岩」として鹿児島県指定の天然記念物に指定されている.
地質年代 藤野・小林(1997)は,花瀬溶岩上位の開聞岳テフラの被覆関係から花瀬溶岩がKm8a噴出直後に流出したと考えた.直接の年代値は得られていないが,上下のテフラの腐植土層の厚さから,2.1 ka前後の噴出時期であろう.