開聞岳テフラ(Km:地質図では省略)
開聞岳火山起源の降下火砕物を主体とするテフラは,開聞岳近傍だけでなく,薩摩半島南部から大隅[おおすみ]半島南部にかけての広い範囲に分布している(中村,1967;成尾,1992).開聞岳テフラは,地元では“コラ”と呼ばれ,農耕上の障害物として知られている.
本報告では,藤野・小林(1997)による12のテフラ層区分に基づき,各テフラ層及び溶岩流の記載を行う.各テフラ層内にも,岩相,色調,粒径変化などで識別できるユニットがあり,藤野・小林(1997)はそれをテフラメンバーと呼び,それらを例えばKm11,Km12のように記述した.現在,農地改良などにより開聞岳テフラ層の露頭は少なくなっているが,開聞町川尻[かわしり]の東約500 mの山川町内に(以下川尻東露頭)ほとんどすべてのテフラ層が連続して見られる露頭がある(第4図).川尻東露頭における柱状図を第5図に示す.本報告では主にそこでの観察に基づいて記述する.
開聞町川尻東露頭
(図幅第6.18図)
1:細粒火山灰,2:粗粒スコリア,3:細粒スコリア・火山砂,4:火山豆石を含む火山灰
(図幅第6.19図)