2000年の火山性地震
2000年4月23日に猪苗代湖北西岸でM4.3の構造性の地震が発生した直後から,磐梯山山頂付近の火山性地震活動が活発化し,5月10日には顕著な微動も観測されている(第39図;東北大学大学院理学研究科地震・噴火予知研究観測センター,2002;若松測候所・仙台管区気象台,2002).火山性地震活動は深部低周波地震を伴いながら次第に活発化し,同年8月には1時間当たりの発生数も100回を超える高い地震活動が観測された後,地震頻度は次第に少なくなった.Yamawaki et al.(2004)は,火山下の三次元地震波速度構造を決定するとともに,2000年の群発地震が山体下で盛り上がる地震波の高速度領域で発生していることから,固結しつつあるマグマ供給系からの熱の供給が活動の原因と考えている.なお,この高速度領域は,駒澤ほか(1988)が磐梯山中央部の高重力異常から推定した山体下に伏在する高密度岩体のと対応が良い.
2009年5月,2014年8月,2016年6月,2017年8月,2018年5月にも一次的に火山性地震が増加したものの,2000年の活動を超えるものではない.
火山性地震の震源は白丸印,微動の震源は灰ダイヤ印,長周期微動の震源は黒星印で示されている.東北大学大学院理学研究科地震・噴火予知研究センター(2002)からの引用.