1938年土石流堆積物(Bf)
発生の経緯 1938年5月9日と5月15日に1888年崩壊壁北東端部の崩落により,土石流が発生している( 第33図;飯田,1938).5月9日の土石流は,前日の降雨及びこれによる雪解けが原因とされ,下流の川上温泉まで沢沿いに流下した.一方,5月19日の土石流は,9日以降に顕著な降水がなかったことから,9日の崩落により不安定化した部分が遅れて崩れたものとされている.土石流により川上温泉の集落が被災し,死者2名,負傷者が5名出ている.崩壊による総被害面積は0.25 km2で崩壊土量は約110万m3と見積もられている(飯田,1938).
岩相 飯田(1938)の現場写真からは,径数mの岩塊を含む土砂で構成されていたことが分かる.ただし,川上温泉に分布する岩屑から,どれが1938年土石流堆積物であるのか現在は特定することができない.