1954年岩屑なだれ堆積物(By)
発生の経緯 1954年4月3日に1888年崩壊壁南南西部の湯桁山が幅600 mにわたって崩落した.崩壊に伴った地震活動や火山活動は,報告されていない.崩落した岩屑は,1888年噴気孔に出現していた噴火湯を埋め,更に二手に分かれ,一部は銅沼に流れ込みその泥水を北方に押し出しながら3 km流下し,他の支流は北東に2 km進んで停止した( 第33図).崩壊による総被害面積は1.4 km2で崩壊土量は約1,500万m3と見積もられている(大矢・羽田,1955;佐藤ほか,1956).
岩相 堆積物の表面には,小磐梯火山噴出物に由来する比較的新鮮な灰色〜紫灰色の安山岩岩片,後磐梯火山噴出物に由来する熱水変質を受けた黄白色〜白色の安山岩岩片が散らばっている.その産状だけから1888年岩屑なだれ堆積物と1954年岩屑なだれ堆積物を区別することは困難である.