離松(はなれまつ)火砕堆積物(地質図では省略)
本堆積物は,赤埴山の東山腹に分布する最新期の水蒸気噴火の降下火砕堆積物の1つである.
地層名 山元(2018)による.
模式地 耶麻郡猪苗代町離松.
分布・構造 赤埴山の東山腹に分布が限られ,大磐梯山北の緩斜面(Loc.4周辺; 第22図)や西山腹の中ノ湯周辺には存在しない.おそらく沼ノ平付近に給源の火口があったものとみられるが,琵琶沢岩屑なだれの発生で消失したものとみられる.
層序関係 Nm-NKを含むクロボク土を覆う(第26図).
岩相・層厚 赤埴林道の終点(Loc. 7; 第22図)において山元・須藤(1996)がRE4と呼んだ降下火砕堆積物で,同地点では最大径35 cmの安山岩岩塊を含んだ層厚40 cmの黄褐色の塊状細粒火山礫〜粗粒火山灰からなり,下面に岩塊がめり込んだインパクト構造を持っている.粗粒の岩片が混じって淘汰は比較的悪いものの,基質に細粒火山灰は含まれず,降下堆積物であると判断される.構成物は様々な色調を呈した石質の安山岩で,粘土化した白色変質岩片が特徴的に含まれている.一方で,新鮮なガラス光沢を持った火山礫・火山灰は含まれておらず,水蒸気噴火の産物とみられる.赤埴林道沿いに東山腹の離松(Loc.8;第26図)までその分布が確認できる.
年代 Loc.8の離松降下堆積物直下の木片(BAN601; 第23図)から3,070 ± 20 yBPの補正14C年代が得られ,その暦年較正年代は約3.3千年前である(山元,2018).
本火砕堆積物は,粘土化した白色変質岩片を特徴的に含む黄褐色の塊状細粒火山礫〜粗粒火山灰からなり,沼沢沼沢湖(Nm-NK)テフラを含む古土壌(クロボク土)を覆う.福島県猪苗代町離松(北緯37度35分42秒,東経 140度6分6秒; 第22図のLoc. 8)