火山研究解説集:薩摩硫黄島 (産総研・地質調査総合センター作成)


火山ガス-温泉分別過程断面

硫黄島の内部構造と,高温火山ガス,低温火山ガス,土壌ガス,海底遊離ガス,温泉の成因と各流体の移動過程を図に示します.

硫黄岳の山体は,主に流紋岩質の厚い溶岩ドームと同じ流紋岩質の崖錐(転動火山角礫岩)から構成されています(→噴火史).

硫黄岳中心部に存在するであろうマグマから放出された高温火山ガスは,山頂部の高温噴気として直接地表に放出される他,山体を染み通り,山麓の低温噴気として放出されています(→火山ガス).

硫黄岳に降った雨の一部は山体に浸透し地下水となりますが,この地下水に火山ガスが溶け込み,酸性熱水が形成されます(→温泉・地下水).この酸性熱水が山体内の岩石中の元素を溶脱しながら流れ下り(→熱水変質),海岸付近で酸性温泉として流出しています.

火山性CO2を含む土壌ガスの流出経路は明らかでありませんが,火山ガスが地下水などを通過することにより温度が低下し酸性ガスが除去された結果生じたと考えられています(→土壌ガス).

凡例等の日本語訳:

「Lava」=「溶岩」,「Talus Deposits」=「崖錐堆積物(急斜面から落下した岩屑が崖の麓に堆積したもの)」,「Pyroclastics」=「火山砕屑物(噴火によって地表に放出された破片状の固体物質)」,「Conduit」=「火道(マグマや火山噴出物が地表に放出される時に通る地中の通路)」,「Molten magma」=「マグマ」,「Magma head」=「マグマ柱の上面」,「Convective magma column」=「対流しているマグマの柱(マグマの対流についてはこちら」,「Elevation」=「標高」