地層名 新称.
模式地 金山町の前山山頂北東の沼沢湖湖岸.
分布・構造 本溶岩は沼沢湖南西にある標高835 m の前山を構成する直径約1.5 km の溶岩ドームをなす.沼沢湖に面した部分は火口壁としてえぐられている.
層序関係 上位下位との関係は露頭で直接観察できない.地形的には,会津金山火山岩を覆っている.
層厚 模式地での層厚は7m 以上.
岩相 本溶岩は,黒雲母含有斜方輝石単斜輝石普通角閃石デイサイトの塊状溶岩からなる.模式地を除くと良好な露出はほとんどない.
鏡下では,斑晶として斜長石(最大長径3.2 mm ),石英(最大長径3.2 mm ),普通角閃石(最大長径1.7 mm),斜方輝石(最大長径2.5 mm),単斜輝石(最大長径0.4 mm),鉄鉱(最大長径0.2 mm),黒雲母(最大長径1.2 mm)を含み,その量比はこの順で少なくなる.斜長石斑晶の一部には汚濁帯を持ち集斑状組織をなすものがあるが,多くは清澄で単独斑晶をなす.普通角閃石斑晶は著しい酸化を受け,黄色-赤褐色と多色性強く,オパサイト縁を持つ.黒雲母斑晶にも厚いオパサイト縁を生じている.斜方輝石,単斜輝石斑晶縁にも不透明化が認められる.石基は,マイクロフェルシック組織を持つ.本溶岩のSiO2 含有量は65 wt%,K2O含有量は1.7 wt%である.
年代・対比 本溶岩流出に先行したと見られる沼御前火砕物基底部の木片の放射年代値から,本溶岩も24 ka に噴出したものと考えられる.