地層名 高橋・菅原(1985)の「惣山溶岩」による.
模式地 金山町の大栗山から惣山山頂に至るテレビ塔取り付け道路沿いの露頭.
分布・構造 本溶岩は沼沢湖北西にある標高816m の惣山を構成する直径約1km の溶岩ドームをなす.沼沢湖に面した部分は火口壁としてえぐられているほか,北東面には浸食谷が刻まれ,北面も地すべりで削られている.
層序関係 上位下位との関係は露頭で直接観察できない.地形的には,木冷沢溶岩の上位に位置している.
層厚 溶岩ドームの現在の比高は約360 m.
岩相 本溶岩は,黒雲母含有斜方輝石単斜輝石普通角閃石デイサイトの塊状溶岩からなる.溶岩には石基が灰色のものと薄い茶褐色のものがあるが斑晶組み合わせに大きな違いはなく,後者のものほど斑晶の酸化や不透明化の程度が強い.また,本溶岩には径15 cm 以下の暗色包有物がまばらに含まれている.
鏡下では,斑晶として斜長石(最大長径4.8 mm ),石英(最大長径2.6 mm ),普通角閃石(最大長径2.6 mm ),斜方輝石(最大長径1.5 mm),単斜輝石(最大長径1.2 mm ),鉄鉱,黒雲母(最大長径1.6 mm )を含み,その量比はこの順で少なくなる.斜長石斑晶の一部に汚濁が認められるが,他はおおむね清澄である.普通角閃石斑晶は著しい酸化を受け,黄色-赤褐色と多色性強く,消光角も非常に小さい.また,オパサイト縁を持つ.黒雲母斑晶にも厚いオパサイト縁を生じている.斜方輝石, 単斜輝石斑晶縁にも不透明化が認められる.石基は,マイクロフェルシック組織を持つ.本溶岩のSiO2含有量は68 wt%,K2O含有量は1.8-1.9 wt%である.
年代・対比 本溶岩からは,43±13 ka のジルコン・フィッショントラック年代が得られている(山元,2003).