火山研究解説集:薩摩硫黄島 (産総研・地質調査総合センター作成)


火山ガス・温泉・土壌ガス分布

火山ガスの大部分は山頂火口内部および周辺から放出されています.高温火山ガスは火口周辺に限って存在しますが,低温火山ガスは山麓の谷筋にも分布しています.

また,山頂周辺には,珪石が分布しています.珪石は,火山ガスが凝縮(液化)して生じた酸性の熱水と火山岩が反応し,火山岩からシリカ(SiO2)以外の成分が溶脱し生じたものです.

硫黄岳山麓の海岸線には硫酸酸性温泉が,稲村岳の周囲海岸線には鉄炭酸泉が分布しています.東温泉の600m東にある硫酸酸性泉は「湯の滝」と呼ばれています.平家城温泉の南約1km(硫黄岳北部斜面の標高250mの地点)の低温噴気地帯の周辺にも温泉が湧出しており,「北平(きたびら)}と呼ばれています.

山麓には火山性のCO2に富むガスが土壌ガスとして地面から拡散的に放出されている場所が点在します.土壌ガスの分布は海岸線では温泉の分布と一致します.海岸から離れた場所では地温の高い場所に分布しています.


その他の観測(坑井,電気,磁気,重力,自然電位)