鬱陵島

主要な活動

本データベースはHwang et al. (2020)に基づき大まかな層序をまとめている．本火山のカルデラは，南部のSeonginカルデラおよび北部のNariカルデラからなる複合カルデラであると考えられている（Kim et al., 2014やKim et al., 2024など）．Nariカルデラの形成期には，多数の大規模噴火堆積物が確認されており，一部対比が不明な噴出物も存在する（例えば，ウルルン-大和テフラ）．これらは他のいずれかの噴出物と同一の噴火に由来するテフラである可能性もあるが，詳細不明のため，本データベースでは注釈を付したうえで，別個の噴火として記載している．このような背景から，どの噴火がカルデラ形成噴火に該当するかは明瞭でないものも存在するが，町田ほか（1984）およびKim et al.（2014）をはじめとする複数の研究報告に基づき，本データベースではNariカルデラのカルデラ形成噴火としてウルルン-佐渡噴火〜U5噴火およびウルルン-隠岐噴火を位置づけている．

鬱陵島の層序概念図
図の詳細に関しては【こちら】．

鬱陵島の噴火時系列図．横軸は年代(ka)，縦軸およびバブルの大きさ・色は構成要素のVEIに対応する．
図の詳細に関しては【こちら】．

ウルルン隠岐テフラ (U-Oki) の分布域 (椎原ほか, 2013)．©日本第四紀学会

中央火口丘形成噴火

Central cones forming eruption

年代: <3.2 cal ka

年代手法: 層序

年代文献: 町田ほか（1984）

噴出源: 鬱陵島

卵峰中央火口丘

あるぼんちゅうおうかこうきゅう

Al-Bong Central cones

別名・呼称: Albong

噴火推移・概要: 火砕丘の形成→溶岩流出と溶岩ドームの形成

Nariカルデラの北部において火砕丘および溶岩ドームが認められることから，火砕噴火と溶岩流出が起ったことが示唆される．

分布: Nariカルデラ内北部に分布する．
噴出量: 詳細不明
DRE [km³]: -
岩相: 火砕丘および2枚の溶岩流で構成される．西麓から流出した溶岩は溶岩表面のひだが明瞭であり，頂上火口から流出した溶岩は溶岩ドームを形成し，一部は北へ流出して断崖を形成している（町田ほか，1984）．斜長石およびケルースト閃石に富み，N-1噴出物と類似した特徴を持つ（Kim et al., 2014）．

層序概念図における本構成要素（クリックで飛ぶ）

文献

Kim, G. B., Cronin, S. J., Yoon, W. S. and Sohn, Y. K. (2014) Post 19 ka BP eruptive history of Ulleung Island, Korea, inferred from an intra-caldera pyroclastic sequence. Bull. Volcanol., 76, (802). https://doi.org/10.1007/s00445-014-0802-1

町田　洋・新井房夫・李　柄高・森脇　広・古田俊夫 (1984) 韓国鬱陵島のテフラ. 地学雑, 93, 1-14. https://doi.org/10.5026/jgeography.93.1

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U-1噴火

U-1 eruption

年代: 3.2 cal ka BP

年代手法: 海底コアにおける噴出物中の有孔虫を用いた14C年代

年代文献: Chen et al. (2022)

噴出源: 鬱陵島

総噴出量: -

U-1噴出物

ゆーいちふんしゅつぶつ

U-1 deposits

名称出典: 町田ほか (1984)

噴火推移・概要: 水蒸気噴火→ストロンボリ式噴火

卵峰火口丘形成初期の爆発的活動（火砕丘形成期）の産物である可能性が高いが，中央火口丘群と本堆積物の被覆関係は不明である（町田ほか，1984）．

分布: 鬱陵島東部において分布が認められる（町田ほか，1984）．
噴出量: 詳細不明
DRE [km³]: -
岩質: テリフォノライト質（Brenna et al., 2014），粗⾯岩質・フォノライト質（Chen et al., 2022）
岩相: 下位より灰黒色のセメント状の固結した火山灰層と，発泡の悪い粗粒スコリア，石質岩片および少量の軽石からなる降下火砕物層で構成される．全体的に石質岩片の割合が高い（町田ほか，1984）．
全岩化学組成 (SiO₂): 58.06-64.69 wt .%（Chen et al., 2022)

層序概念図における本構成要素（クリックで飛ぶ）

文献

Brenna, M., Price, R., Cronin, S. J., Smith, I. E., Sohn, Y. K., Kim, G. B. and Maas, R. (2014) Final magma storage depth modulation of explosivity and trachyte-phonolite genesis at an intraplate volcano: a case study from Ulleung Island, South Korea. J. Petrol., 55, 709-747. https://doi.org/10.1093/petrology/egu004

Chen, X.-Y., Blockley, S.P.E., Fletcher, R., Zhang, S., Kim, J.-H., Park, M.-O., Chen, C., Yin, J., Xu, Y.-G. (2022) Holocene tephrostratigraphy in the East-Sea/Japan Sea:implications for eruptive history of Ulleungdo volcano and potential for hemispheric synchronization of sedimentary archives. J. Geophys. Res. Solid Earth 127, e2021JB023243. https://doi.org/10.1029/2021JB023243.

町田　洋・新井房夫・李　柄高・森脇　広・古田俊夫 (1984) 韓国鬱陵島のテフラ. 地学雑, 93, 1-14. https://doi.org/10.5026/jgeography.93.1

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注釈

U-1堆積物とN-1堆積物の対比関係は不明である．N-1堆積物を見出したKim et al. (2014)では，U-1噴出物との対比関係については言及されていないが，その後の多数の研究では同一噴出物とみなしているような記載が多く見られる（Chen et al., 2022など）．ただし，Kim et al. (2014)では，初期の爆発的なマグマ水蒸気噴火で N-1噴出物が堆積した後，テフラの噴出および中央火口丘郡の形成という2段階の経過を辿った可能性が指摘されており，これらが同一噴火によるものであるかは今後さらなる検証が必要である．

N-1噴火

N-1 eruption

年代: <5.6 ka

年代手法: 層序

年代文献: Kim et al. (2014)（年代について直接的な記述はない）

噴出源: 鬱陵島

総噴出量: -

N-1噴出物

えぬわんふんしゅつぶつ

N-1 deposits

名称出典: Kim et al. (2014)

噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火→溶岩の流出・火砕流の形成

マグマ水蒸気噴火によって，希薄な火砕物密度流（N-1）を発生させた．本堆積物は，正級化・逆級化を交互に繰り返す級化構造が顕著に認められる．U-2噴出物の最上位に風化の痕跡が見られるうえ，U-2噴出物を侵食する構造が見られることから，これらの噴火間には相当な時間間隙があったと推察される．

分布: カルデラ内部にのみ分布が認められている（Kim et al., 2014）．
噴出量: 詳細不明
DRE [km³]: -
岩相: 細粒火山灰を多く含み、正成層と逆成層が交互に重なり合う粗いが薄く連続的な成層構造を呈する火砕物密度流堆積物である．カルデラ内部で認められる最大層厚は7 mである．斜長石およびケルースト閃石に富む（Kim et al., 2014）．

層序概念図における本構成要素（クリックで飛ぶ）

文献

Chen, X.-Y., Blockley, S.P.E., Fletcher, R., Zhang, S., Kim, J.-H., Park, M.-O., Chen, C., Yin, J., Xu, Y.-G. (2022) Holocene tephrostratigraphy in the East-Sea/Japan Sea:implications for eruptive history of Ulleungdo volcano and potential for hemispheric synchronization of sedimentary archives. J. Geophys. Kim, G. B., Cronin, S. J., Yoon, W. S. and Sohn, Y. K. (2014) Post 19 ka BP eruptive history of Ulleung Island, Korea, inferred from an intra-caldera pyroclastic sequence. Bull. Volcanol., 76, (802). https://doi.org/10.1007/s00445-014-0802-1

Kim, G. B., Cronin, S. J., Yoon, W. S. and Sohn, Y. K. (2014) Post 19 ka BP eruptive history of Ulleung Island, Korea, inferred from an intra-caldera pyroclastic sequence. Bull. Volcanol., 76, (802). https://doi.org/10.1007/s00445-014-0802-1

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注釈

本堆積物を見出したKim et al. (2014)では，本堆積物とU-1噴出物との対比関係については言及されていないが，その後の多数の研究では同一噴出物とみなしているような記載が多く見られる（Chen et al., 2022など）．ただし，Kim et al. (2014)では，初期の爆発的なマグマ水蒸気噴火で N-1噴出物が堆積した後，テフラの噴出および中央火口丘郡の形成という2段階の経過を辿った可能性が指摘されており，これらが同一噴火によるものであるかは今後さらなる検証が必要である．

U-2噴火

U-2 eruption

年代: 5.6 ka

年代手法: 14C年代

年代文献: Kim et al. (2014)

噴出源: 鬱陵島

総噴出量: -

U-2噴出物

ゆーにふんしゅつぶつ

U-2 deposits

名称出典: 町田ほか (1984)

別名・呼称: Kim et al., (2014)のN-2Aと対比される

噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火→マグマ水蒸気噴火およびプリニー式噴火→溶岩流

U-3噴火から約3千年の短い休止期を挟み，爆発的なマグマ水蒸噴火が発生した．本噴火の堆積物は，降下軽石と火山豆石含有の降下火山灰層の互層からなり，噴火様式がプリニー式噴火とマグマ水蒸気噴火で変動していたことを示す．その後活動は，湧出的な噴火へと推移し，黒色軽石と黒曜石岩片を放出した．これらは，カルデラ近傍においてアグルチネートとして認められる．

分布

カルデラ内部およびカルデラ北方から南東方にかけて堆積物が認められている．カルデラ南西部は未調査のため，その分布は不明である（Kim et al., 2014）．また，福井県水月湖から得られたコアサンプルより，本堆積物が確認されている（McLean et al., 2018）．

噴出量

詳細不明

DRE [km³]

-

岩質

フォノライト質（Brenna et al., 2014）

岩相

Kim et al. (2014)によると，本堆積物は岩相により3つのサブユニットに細分される（下位よりN-2A~C）．以下には，同一露頭における層相を記す．

N-2A：火山豆石を含む塊状の凝灰岩と細粒分に乏しい降下軽石層の互層であり，全体的な層厚は約2 mである．粗面岩質〜フォノライト質の石質岩片が散在し，その量と粒径は上部ほど増加する．

N-2B：拡散的な層相を示す軽石質火山礫凝灰岩であり，層厚は約10 cmである．軽石の色調が顕著に変化することが特徴で，下部から上部に向かうにつれて白〜茶〜黒色へと変化するが，これらの境界は遷移的である．石質岩片に支えられた軽石レンズまたは軽石列を含む．

N-2C：細粒分に乏しい黒色の軽石質火山礫凝灰岩であり，層厚は約3 mである．ユニット最上部は淡褐色の軽石が特徴的であり，最上部は波打つ侵食面で区切られている．構成物として軽石や黒曜石を含むが，これらは部分的に凝集または溶結しており，カルデラ近傍においてアグルチネートとして認められる．

全岩化学組成 (SiO₂)

60.16-60.19 wt.%（町田ほか，1984）

層序概念図における本構成要素（クリックで飛ぶ）

文献

Brenna, M., Price, R., Cronin, S. J., Smith, I. E., Sohn, Y. K., Kim, G. B. and Maas, R. (2014) Final magma storage depth modulation of explosivity and trachyte-phonolite genesis at an intraplate volcano: a case study from Ulleung Island, South Korea. J. Petrol., 55, 709-747. https://doi.org/10.1093/petrology/egu004

Kim, G. B., Cronin, S. J., Yoon, W. S. and Sohn, Y. K. (2014) Post 19 ka BP eruptive history of Ulleung Island, Korea, inferred from an intra-caldera pyroclastic sequence. Bull. Volcanol., 76, (802). https://doi.org/10.1007/s00445-014-0802-1

町田　洋・新井房夫・李　柄高・森脇　広・古田俊夫 (1984) 韓国鬱陵島のテフラ. 地学雑, 93, 1-14. https://doi.org/10.5026/jgeography.93.1

McLean, D., Albert, P. G., Nakagawa, T., Suzuki, T., Staff, R. A., Yamada, K., et al. (2018). Integrating the Holocene tephrostratigraphy for East Asia using a high-resolution cryptotephra study from Lake Suigetsu (SG14 core), central Japan. Quaternary Science Reviews, 183, 36–58. https://doi.org/10.1016/j.quascirev.2017.12.013

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U-3噴火

U-3 eruption

年代: 9 ka

年代手法: 14C年代

年代文献: Kim et al. (2014)

噴出源: 鬱陵島

総噴出量: -

U-3噴出物

ゆーさんふんしゅつぶつ

U-3 deposits

名称出典: 町田ほか (1984)

別名・呼称: Kim et al., (2014)のN-3AおよびN-3Cと対比される

噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火→火砕流→火砕サージ

ウルルン-隠岐噴火と約3千年の短い休止期を挟み，マグマ水蒸気爆発が発生し，火山豆石を含む降下火砕物 (N-3A) を堆積させた．その後，活動はマグマ噴火へ移行し，火砕流 (N-3B) や火砕サージ (N-3C) が発生した．下位の降下火砕物と火砕物密度流堆積物の境界には，侵食間隙が認められ，活動初期のマグマ水蒸気爆発とその後のマグマ噴火との間には，少なくとも数日から数週間の時間間隙があったと推定される．

分布

カルデラ内部およびカルデラ北方から南東方にかけて堆積物が認められている．カルデラ南西部は未調査のため，その分布は不明である（Kim et al., 2014）．また，福井県水月湖から得られたコアサンプルより，本堆積物が確認されている（McLean et al., 2018）．

噴出量

詳細不明

DRE [km³]

-

岩相

Kim et al. (2014)によると，本堆積物は岩相により3つのサブユニットに細分される（下位よりN-3A~C）．以下には，同一露頭における層相を記す．

N-3A：火山豆石を含む降下火砕物であり，反復する正級化構造が確認される．層厚は30〜40 cmである．

N-3B：比較的拡散的に広がり，谷埋め状に堆積する軽石質火山礫凝灰岩である．異質岩片として粗面岩および閃長岩を含む．また，斜面地形に堆積した本層には，石質岩片によって支持された軽石レンズが多数認められる．N-3A, N-3Bとの境界には，侵食間隙が認められる．

N-3C：波状またはメガリップル状の層をなす軽石質火山礫凝灰岩層であり，層厚は約8 mである．主に粗粒火山灰，円磨された軽石と石質岩片で構成され，一部はサグ構造を形成している．

全岩化学組成 (SiO₂)

60.21-60.92 wt.%（町田ほか，1984）

層序概念図における本構成要素（クリックで飛ぶ）

文献

Kim, G. B., Cronin, S. J., Yoon, W. S. and Sohn, Y. K. (2014) Post 19 ka BP eruptive history of Ulleung Island, Korea, inferred from an intra-caldera pyroclastic sequence. Bull. Volcanol., 76, (802). https://doi.org/10.1007/s00445-014-0802-1

町田　洋・新井房夫・李　柄高・森脇　広・古田俊夫 (1984) 韓国鬱陵島のテフラ. 地学雑, 93, 1-14. https://doi.org/10.5026/jgeography.93.1

McLean, D., Albert, P. G., Nakagawa, T., Suzuki, T., Staff, R. A., Yamada, K., et al. (2018). Integrating the Holocene tephrostratigraphy for East Asia using a high-resolution cryptotephra study from Lake Suigetsu (SG14 core), central Japan. Quaternary Science Reviews, 183, 36–58. https://doi.org/10.1016/j.quascirev.2017.12.013

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ウルルン-隠岐噴火

Ulleung-Oki eruption

年代: 11 cal kBP

年代手法: 14C年代

年代文献: Okuno et al. (2010)

噴出源: 鬱陵島

総噴出量: >10*

ウルルン-隠岐噴出物

うるるん-おきふんしゅつぶつ

Ulleung-Oki deposits

名称出典: 町田ほか（1981）

別名・呼称: N-4（Kim et al., 2014），Kim et al. (2007)のN-4Bと対比：U-Oki（町田ほか，1981），U-4（町田ほか，1984），

噴火推移・概要: 小規模マグマ水蒸気噴火→大規模プリニー式噴火→火砕流の発生およびNariカルデラの形成

ウルルン-隠岐噴⽕では，最初期にマグマ⽔蒸気噴⽕が発⽣し，細粒物に富む⽕砕サージ（N-4A）が堆積した．その後，噴火はプリニー式噴⽕に移⾏し，広域に降下⽕砕物を堆積させた（N-4B）．噴煙柱の崩壊が発⽣し，⽯質岩⽚に富む⽕砕物密度流が発⽣した（N-4C）．N-4Cは石質岩片の含有率が高く，地点ごとの粒径分布の変化が大きいことなどから，この時期にNariカルデラ北部は段階的に沈降し，カルデラ構造が発達した可能性が高い．

分布

近傍では，Nariカルデラ内およびカルデラ南東方に認められる．カルデラ内では，本堆積物は層厚数10 mを超える厚さで堆積しているが，カルデラ外での層厚は 1 m程度である（Kim et al., 2014）．遠方では，日本海南部から近畿地方にかけては層厚10 cm以下，最遠地である静岡県浜名湖では層厚3 cm程度の細粒火山灰層として認められる（町田・新井，2003）．

噴出量

>10*

DRE [km³]

-

VEI

6

噴出量文献

町田・新井（2003）

岩質

粗⾯岩質・フォノライト質（Brenna et al., 2014）

岩相

Kim et al. (2014)によると，本堆積物は岩相により3つのサブユニットに細分される（下位よりN-4A~C）．以下には，同一露頭におけるこれらの層相を記す．また，N-4Bの遠方層として，日本の近畿地方から東北地方に至る広域火山灰（U-Okiテフラ）が認められる（町田ほか，1984）．

N-4A：下部の細粒⽕⼭灰に富んだ⽕砕物密度流堆積物と，上部の降下降下⽕砕堆積物からなり，層厚は約1 mである．N-4Aの下部は，層理が発達し，⽯質岩⽚に富む．基底部では，1 mを越えるような⽯質岩塊がサグ構造を形成する．

N-4B：細粒物に⽋如し，主にラピリサイズの軽⽯礫，⽯質岩⽚からなる降下⽕砕堆積物であり，層厚は約8 mである．中部には，淘汰度の低い，凝灰⾓礫岩層がレンズ状に挟在する．カルデラ外で認められる本ユニットは，その構成物から，上部下部に細分される(Shiihara et al., 2011; Okuno et al., 2010)．下部は⽯質岩⽚と灰⽩⾊の軽⽯からなり，上部は，灰⾊を呈し，正級化する層相を⽰し，⽯質岩⽚とスコリアを含む．

N-4C：N-4C は⽯質岩⽚に富む⽕砕物密度流堆積物であり，層厚は約13 mである．N-4B を整合的に覆い，岩屑なだれ堆積物に覆われる．斜交層理もしくは平⾏層理が発達する．各単層は，層厚1~2 mで，無層理もしくは，弱い層理が発達する．

U-Oki：細かく発泡した灰白色を呈する火山灰層であり，静岡県の浜名湖ではK-Ahの下位に認められる．

全岩化学組成 (SiO₂)

59.34-60.35 wt.%（町田ほか，1984）

層序概念図における本構成要素（クリックで飛ぶ）

ウルルン-隠岐噴⽕の総合柱状図（層相はKim et al., 2014 に基づく）．

文献

Brenna, M., Price, R., Cronin, S. J., Smith, I. E., Sohn, Y. K., Kim, G. B. and Maas, R. (2014) Final magma storage depth modulation of explosivity and trachyte-phonolite genesis at an intraplate volcano: a case study from Ulleung Island, South Korea. J. Petrol., 55, 709-747. https://doi.org/10.1093/petrology/egu004

Kim, G. B., Cronin, S. J., Yoon, W. S. and Sohn, Y. K. (2014) Post 19 ka BP eruptive history of Ulleung Island, Korea, inferred from an intra-caldera pyroclastic sequence. Bull. Volcanol., 76, (802). https://doi.org/10.1007/s00445-014-0802-1

町田　洋・新井房夫・森脇　広 (1981) 日本海を渡ってきたテフラ. 科学, 51, 562-569. https://ci.nii.ac.jp/naid/10003668885

町田　洋・新井房夫・李　柄高・森脇　広・古田俊夫 (1984) 韓国鬱陵島のテフラ. 地学雑, 93, 1-14. https://doi.org/10.5026/jgeography.93.1

町田　洋・新井房夫 (2003) 新編火山灰アトラスー日本列島とその周辺．東京大学出版会, 336p.

Okuno, M., Shiihara, M., Torii, M., Nakamura, T., Kim, K., Domitsu, H., Moriwaki, H. and Oda, M. (2010) AMS radiocarbon dating of Holocene tephra layers on Ulleung Island, South Korea. Radiocarbon, 52, 1465-1470. https://doi:10.1017/S0033822200046555

椎原美紀・堂満華子・鳥井真之・長橋良隆・奥野　充 (2013) 日本海とその周辺に分布する鬱陵島起源の完新世テフラ. 第四紀研究, 52, 225-236. https://doi.org/10.4116/jaqua.52.225

Shiihara, M., Torii, M., Okuno, M., Domitsu, H., Nakamura, T., Kim, K., Moriwaki, H. and Oda, M. (2011) Revised stratigraphy of Holocene tephras on Ulleung Island, South Korea, and possible correlatives for the U-Oki tephra. Quat. Int., 246, 222-232. https://doi.org/10.1016/j.quaint.2011.08.030

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注釈

*噴出量は，広域火山灰のアイソパックから求めた推定値である．

N-5噴火

N-5 eruption

年代: 19 ka BP

年代手法: 14C年代

年代文献: Kim et al. (2014)

噴出源: 鬱陵島

総噴出量: 詳細不明

N-5噴出物

えぬふぁいぶふんしゅつぶつ

N-5 deposits

名称出典: Kim et al. (2014)

噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火→溶岩ドームの形成・崩壊→マグマ水蒸気噴火

既存のカルデラ内においてマグマ水蒸気噴火が発生し，N-5A堆積物を形成した後，内成溶岩ドームの破砕を伴うマグマ噴火へ移行した．溶岩ドーム崩壊時には，南方に爆風および岩塊に富む火砕流が発生し，N-5BおよびN-5Cを堆積させたと考えられる．噴火の終末にはマグマ水蒸気噴火を繰り返してN-5Dを堆積させ，長期にわたる噴火の休止期間を挟んだ後，カルデラ北壁の崩壊および火砕物の再移動が生じ，N-5Rを堆積させた．

分布

露出が悪く詳細不明だが，少なくともカルデラ内部に堆積物が認められている（Kim et al., 2014）．

噴出量

詳細不明

DRE [km³]

-

岩質

粗⾯岩質・フォノライト質（Kim et al., 2014）

岩相

Kim et al. (2014)によると，本堆積物は岩相により5つのサブユニットに細分される（下位よりN-5A~D, N-5R）．いずれのサブユニットも粗⾯岩質の軽⽯と⽯質岩⽚を含む．軽⽯は，発泡度が低く，アルカリ⻑⽯に富んだ⽯基組織をもつことで特徴づけられる．

N-5A：下位層をマントルベディングする⽕⼭⾖⽯を含む無層理な⽕砕堆積物であり，弱く成層した軽⽯質⽕⼭礫凝灰岩をレンズ状に含む．N-5Aは，全体の層厚が1-1.5 m程である．

N-5B：弱く成層した軽⽯質⽕⼭礫凝灰岩からなり，礫⽀持の軽⽯層を含む．本質物質は，明灰⾊から暗灰⾊を呈し，フォノライト質の組成をもつ．また，本質物質は，(1) 1 mm以下の微⼩な気泡をもつもの，(2) 発泡していないもの，の2つに区分できる．

N-5C：細粒物に富む無層理の軽⽯質⽕⼭礫凝灰岩である．N-5Bとの境界には低⾓な侵⾷⾯が認められる．含まれる軽⽯の⼤半は，変質を受け，オレンジ~褐⾊を呈する．基底部付近では，50 cm を越える異質岩⽚がサグ構造を形成している様⼦が認められる．中部から上部にかけては，弱い成層構造が局所的に認められる．

N-5D：層厚6 m程度の⽕砕堆積物であり，マントルベディングした⽕⼭⾖⽯凝灰岩，様々な⽕⼭灰付着度合いを⽰す無層理の軽⽯質⽕⼭礫凝灰岩，岩⽚を含む無層理の軽⽯質⽕⼭礫凝灰岩と遷移する．

N-5R：下位のサブユニットを削り込み堆積する岩屑なだれ堆積物である．N-5Rは，淘汰度が⼩さく，不明瞭なインブリケーションが認められる．N-5Rの上部は，準平⾏層理の発達する泥層である．砂礫から泥質のレンズが挟在する．

層序概念図における本構成要素（クリックで飛ぶ）

文献

Kim, G. B., Cronin, S. J., Yoon, W. S. and Sohn, Y. K. (2014) Post 19 ka BP eruptive history of Ulleung Island, Korea, inferred from an intra-caldera pyroclastic sequence. Bull. Volcanol., 76, (802). https://doi.org/10.1007/s00445-014-0802-1

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U-5噴火

U-5 eruption

年代: >30 ka

年代手法: 層序（姶良-丹沢テフラの下位）

年代文献: 町田ほか (1984)

噴出源: 鬱陵島

総噴出量: 詳細不明

U-5噴出物

ゆーごふんしゅつぶつ

U-5 deposits

名称出典: 町田ほか (1984)

噴火推移・概要: プリニー式噴火？

プリニー式噴火の発生により，降下火砕物を噴出した．

分布: 詳細不明．中央⽕⼝丘から東北東へ約5 kmの地点 (⽯圃洞国校校庭) において認められる（町田ほか，1984）．
噴出量: 詳細不明
DRE [km³]: -
岩質: 粗⾯岩質（町田ほか，1984）
岩相: 風化により⻩⾊~橙⾊を呈する⾵化した降下⽕砕堆積物である．⾓閃⽯，磁鉄鉱，アルカリ⻑⽯を斑晶に含むが，U-6およびU-7と比較してU-5は角閃石斑晶を多く含み，単斜輝石および黒雲母を含む特徴がある（町田ほか，1984）．

層序概念図における本構成要素（クリックで飛ぶ）

文献

町田　洋・新井房夫・李　柄高・森脇　広・古田俊夫 (1984) 韓国鬱陵島のテフラ. 地学雑, 93, 1-14. https://doi.org/10.5026/jgeography.93.1

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注釈

ウルルン-大和テフラなどに対比される可能性がある（町田ほか，1984）

U-6噴火

U-6 eruption

年代: >30 ka

年代手法: 層序（姶良-丹沢テフラの下位）

年代文献: 町田ほか (1984)

噴出源: 鬱陵島

総噴出量: 詳細不明

U-6噴出物

ゆーろくふんしゅつぶつ

U-6 deposits

名称出典: 町田ほか (1984)

噴火推移・概要: プリニー式噴火？

プリニー式噴火の発生により，降下火砕物を噴出した．

分布: 詳細不明．中央⽕⼝丘から東北東へ約5 kmの地点 (⽯圃洞国校校庭) において認められる（町田ほか，1984）．
噴出量: 詳細不明
DRE [km³]: -
岩質: 粗⾯岩質（町田ほか，1984）
岩相: 風化により⻩⾊~橙⾊を呈する⾵化した降下⽕砕堆積物である．⾓閃⽯，磁鉄鉱，アルカリ⻑⽯，黒雲母を斑晶に含む（町田ほか，1984）．

層序概念図における本構成要素（クリックで飛ぶ）

文献

町田　洋・新井房夫・李　柄高・森脇　広・古田俊夫 (1984) 韓国鬱陵島のテフラ. 地学雑, 93, 1-14. https://doi.org/10.5026/jgeography.93.1

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注釈

ウルルン-大和テフラなどに対比される可能性がある（町田ほか，1984）

U-7噴火

U-7 eruption

年代: >30 ka

年代手法: 層序（姶良-丹沢テフラの下位）

年代文献: 町田ほか (1984)

噴出源: 鬱陵島

総噴出量: 詳細不明

U-7噴出物

ゆーななふんしゅつぶつ

U-7 deposits

名称出典: 町田ほか (1984)

噴火推移・概要: プリニー式噴火？

プリニー式噴火の発生により，降下火砕物を噴出した．

分布: 詳細不明．中央⽕⼝丘から東北東へ約5 kmの地点 (⽯圃洞国校校庭) において認められる（町田ほか，1984）．
噴出量: 詳細不明
DRE [km³]: -
岩質: 粗⾯岩質（町田ほか，1984）
岩相: 風化により⻩⾊~橙⾊を呈する⾵化した降下⽕砕堆積物である．⾓閃⽯，磁鉄鉱，アルカリ⻑⽯を斑晶に含む．U-7はU-5およびU-6と比較して軽石の斑晶量が極めて少ない特徴がある（町田ほか，1984）．

層序概念図における本構成要素（クリックで飛ぶ）

文献

町田　洋・新井房夫・李　柄高・森脇　広・古田俊夫 (1984) 韓国鬱陵島のテフラ. 地学雑, 93, 1-14. https://doi.org/10.5026/jgeography.93.1

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注釈

ウルルン-大和テフラなどに対比される可能性がある（町田ほか，1984）

ウルルン-大和噴火

U-Yamato eruption

年代: 41-40 ka*1，ca. 40.1 ka*2

年代手法: 1:海洋底コアの年代モデルとのフィッティング，2:14C年代

年代文献: 1:Chun et al. (2007)，2:Mclean et al. (2020)

噴出源: 鬱陵島

総噴出量: 詳細不明

ウルルン-大和テフラ

うるるん-やまとてふら

U-Yamato tephra

名称出典: 新井ほか（1981）

別名・呼称: U-Ym (新井ほか，1981)，SKP-Ⅰ tephra (Chun et al., 2007)

噴火推移・概要: プリニー式噴火？

プリニー式噴火の発生により，降下火砕物を噴出した．海底コアでは明瞭な逆級化が見られることから，徐々に噴火強度が強まったと考えられる．

分布: ⽇本海や⽇本の近畿地⽅から東北地⽅にかけて広く分布が確認されている．分布南限はおうおそ北緯37度30分付近である．粒径分布は大きく変動するが，韓国高原に向かうにつれてわずかに大きくなる傾向がある（新井ほか，1981; Chen et al., 2007）．
噴出量: 詳細不明
DRE [km³]: -
岩質: 粗⾯岩質~フォノライト質（Chen et al., 2007）
岩相: 日本海等の海底コアで認められる，明瞭な逆級化が認められる降下⽕砕物である．多量の粗粒な軽⽯で構成され，少量の細粒なスコリア，⽯質岩⽚，遊離結晶を含む．遊離結晶は，アルカリ⻑⽯，⾓閃⽯，⿊雲⺟を含む (新井ほか, 1981)．本⽕砕物の基底部は，スコリア，⽯質岩⽚および遊離結晶が卓越する．層厚は韓国高原付近（特に西部）のコアで特に厚くなっている (Chen et al., 2007)．
全岩化学組成 (SiO₂): 代表的な組成：60.15 wt.% (Chen et al., 2007)

層序概念図における本構成要素（クリックで飛ぶ）

ウルルン-⼤和テフラの分布域（分布はChun et al., 2007 に基づく）．

文献

新井房夫・大場忠道・北里　洋・堀部純男・町田　洋 (1981) 後期第四紀における日本海の古環境―テフロクロノロジー，有孔虫群集解析，酸素同位体比法による―. 第四紀研究, 20, 209-230. https://doi.org/10.4116/jaqua.20.209

Chun, J. H., Cheong, D., Ikehara, K. and Han, S. J. (2007) Age of the SKP-I and SKP-II tephras from the southern East Sea/Japan Sea: implications for interstadial events recorded in sediment from marine isotope stage 3 and 4. Palaeogeogr. Palaeclimatol. Palaeoecol., 247, 100-114. https://doi.org/10.1016/j.palaeo.2006.11.024

McLean, D., Albert, P., G., Suzuki, T., Nakagawa, T., Kimura, J., Chang, Q., Macleod, A., Blockley, S., Staff, R. A., Yamada, K., Kitaba, I., Haraguchi, T., Kitagawa, J., Smith, V. C. and SG14 project members (2020) Refining the eruptive history of Ulluengdo and Changbaishian volcanoes (East Asia) over the last 86 kyrs using distal sedimentary records. J. Volcanol. Geotherm. Res., 389, 1-16. https://doi.org/10.1016/j.jvolgeores.2019.106669

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ウルルン-佐渡噴火

U-Sado eruption

年代: <67.6 ka*1，61-60 ka*2

年代手法: 1:層序，2:海洋底コアの年代モデルとのフィッティング

年代文献: 1:Lim et al. (2013)，2:Chun et al. (2007)

噴出源: 鬱陵島

総噴出量: 詳細不明

ウルルン-佐渡テフラ

うるるん-さどてふら

U-Sado tephra

名称出典: Lim et al. (2013)

別名・呼称: 池原ほか（2004）および中嶋ほか（1996）のU-Ym火砕物，Chun et al. (2007)のSKP-Ⅱ tephraに相当する．

噴火推移・概要: プリニー式噴火？

プリニー式噴火の発生により，降下火砕物を噴出した．海底コアでは弱い逆級化が見られることから，徐々に噴火強度が強まったと考えられる．

分布: 鬱陵島の周辺および⽇本海佐渡沖のコアに認められる．分布南限はおうおそ北緯37度30分付近である．ウルルン-大和テフラと類似した分布を示すが，粒径分布が大きく異なり，ウルルン-佐渡テフラは鬱陵盆地西部に向かって明らかに小さくなる傾向がある（Chen et al., 2007; Lim et al., 2013）．
噴出量: 詳細不明
DRE [km³]: -
岩質: フォノライト質（Chen et al., 2007）
岩相: 日本海等の海底コアで認められる，塊状から弱く逆級化した層相を示す降下火砕物である．構成物は主に粗粒の軽石からなり，火山ガラス，少量の細粒スコリア，石質岩片および遊離結晶を含む．軽石中の気泡はウルルン-大和テフラと比較して平行で管状に伸びた形状を示す．スコリアと遊離結晶は，海底コアの基底部によく認められる．⽕⼭ガラスには，軽⽯型，バブルウォール型が認められる．韓国高原付近（特に西部）のコアで最も厚く，鬱陵盆地の北東部におけるコアでは薄くなる傾向がある（Chen et al., 2007）．
全岩化学組成 (SiO₂): 代表的な組成：60.25 wt .% (Chen et al., 2007)

層序概念図における本構成要素（クリックで飛ぶ）

ウルルン-佐渡沖テフラの分布域（分布はChun et al., 2007に基づく）．

文献

Chun, J. H., Cheong, D., Ikehara, K. and Han, S. J. (2007) Age of the SKP-I and SKP-II tephras from the southern East Sea/Japan Sea: implications for interstadial events recorded in sediment from marine isotope stage 3 and 4. Palaeogeogr. Palaeclimatol. Palaeoecol., 247, 100-114. https://doi.org/10.1016/j.palaeo.2006.11.024

池原　研・吉川清志・Chun, J. H. (2004) 日本海中部大和海盆から採取された酸素同位体ステージ3に噴出した3枚の火山灰. 第四紀研究, 43, 201-212. https://doi.org/10.4116/jaqua.43.201

Lim, C., Toyoda, K., Ikehara, K. and Peate, D. W. (2013) Late Quaternary tephrostratigraphy of Baegdusan and Ulleung volcanoes using marine sediments in the Japan Sea/East Sea. Quat. Res., 80, 76-87. https://doi.org/10.1016/j.yqres.2013.04.002

Geotherm. Res., 389, 1-16. https://doi.org/10.1016/j.jvolgeores.2019.106669

中嶋　健・吉川清志・池原　研・片山　肇・木川栄一・上嶋正人・瀬戸浩二 (1996) 日本海南東部における海底堆積物と後期第四紀層序―特に暗色層の形成時期に関連して―. 地質雑, 102, 125-138. https://doi.org/10.5575/geosoc.102.125

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Seonginbong Group噴火

Seonginbong Group eruptions

年代: 0.33*1-0.24*2 Ma

年代手法: 1:Ar−Ar年代，2:K-Ar年代

年代文献: 1:Hwang et al. (2012)，2:Kim et al.(1999)

噴出源: 鬱陵島

総噴出量: 詳細不明

Seonginbong Group噴出物

そんいんぼんふんしゅつぶつ

Seonginbong Group deposits

名称出典: Hwang et al. (2012)

別名・呼称: 下部：Upper trachytic rocks，中部：Gombawi溶結凝灰岩，上部：Phonolitic rocks (Hwang et al., 2020) Harumoto (1970)におけるStage 3噴出物の一部

噴火推移・概要: 溶岩噴出および溶岩ドームの形成→プリニー式噴火と火砕流の噴出→溶岩ドームの形成

溶岩流の噴出および溶岩ドームの形成を主とする活動であった．活動初期より粗面岩質な溶岩を噴出したが，後期にはGombawi溶結凝灰岩を噴出し，以降はフォノライト質へと岩質が変化し，複数の溶岩ドームを形成した．

分布

Upper trachytic rocksは鬱陵島全域に分布が見られる．Gombawi溶結凝灰岩は鬱陵島西海岸のごく一部に分布し，Upper trachytic rocks貫入岩は鬱陵島西部に確認される，Phonolitic rocksはNariカルデラ北西部にまとまって分布している（Hwang et al., 2020）．

噴出量

-

DRE [km³]

-

岩質

粗面岩質・フォノライト質（Harumoto, 1970; Hwang et al., 2020）

岩相

本堆積物は下位より，Upper trachytic rocks，Gombawi溶結凝灰岩およびUpper trachytic rocks，そしてPhonolitic rocksからなる（Hwang et al., 2020）．

Upper trachytic rocks：多数の溶岩流および溶岩ドームから構成されており，斑晶と石基斑晶の有無や密度に応じて複数の溶岩層に区分される．一部の地域では粗面岩質な岩脈として観察される．

Gombawi溶結凝灰岩：Gombawi溶結凝灰岩は，黒色ないし暗灰色を呈し、部分的に暗褐灰色を示し，外観上は緻密な黒曜岩様の様相を呈する溶結凝灰岩である．アルカリ長石斑晶を頻繁に含む．下部および地表との接触部に向かうにつれて数十 cm の岩塊を含み、凝灰角礫岩の様相を示す．

Phonolitic rocks：フォノライト質の溶岩ドームをなしている．

層序概念図における本構成要素（クリックで飛ぶ）

文献

Harumoto, A. (1970) Volcanic rocks and associated rocks of Utsuryoto Island, (Japan Sea). Dept. Geol. Min., Kyoto Univ, 39p. https://ci.nii.ac.jp/naid/10003980519

Hwang, S.K., Hwang, J.H., and Kwon, C.W. (2012) Geological report of the Ulleungdo sheet (Scale 1:50,000). Korea Institute of Geoscience and Mineral Resources, Daejeon, Korea, 84 p. (in Korean with English abstract)

Hwang, S. K., Jeong, S. W., Ryu, H. Y., Son, Y. W. and Kwon, T. H. (2020) Evaluation of Volcanic Processes and Possible Eruption Types in Ulleung Island. Econ. Environ. Geol., 53, 715-727. https://doi.org/10.9719/EEG.2020.53.6.715

Kim, K. H., Tanaka, T., Nagao, K. and Jang, S. K. (1999) Nd and Sr isotopes and K-Ar ages of the Ulreungdo alkali volcanic rocks in the East Sea, South Korea. Geochem. J., 33, 317-341. https://doi.org/10.2343/geochemj.33.317

町田　洋・新井房夫・李　柄高・森脇　広・古田俊夫 (1984) 韓国鬱陵島のテフラ. 地学雑, 93, 1-14. https://doi.org/10.5026/jgeography.93.1

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Sataegam噴火

Sataegam eruption

年代: >0.33 Ma

年代手法: 層序（本噴出物の上位に位置する溶岩（Gwanmobong Trachyte）のAr-Ar年代が0.33 Maであるため）

年代文献: Hwang et al. (2012)

噴出源: 鬱陵島

総噴出量: 詳細不明

Sataegam凝灰岩

さてがむぎょうかいがん

Sataegam tuff

名称出典: Hwang et al. (2012)

別名・呼称: Hwang et al. (2020)におけるSeonginbong Groupの最初期噴出物

噴火推移・概要: プリニー式噴火→水蒸気プリニー式噴火

プリニー式噴火の発生により降下火砕物および火砕物密度流を噴出した．その後，火砕サージを伴う水蒸気プリニー式噴火が発生した．本噴火により，Seonginカルデラが形成されたと考えられる．

分布

鬱陵島南西部を中心に，全域で確認される（Hwang et al., 2020）．

噴出量

詳細不明

DRE [km³]

-

岩相

Hwang et al. (2020)によると，本堆積物は岩相から，下部・中部・上部の3つのサブユニットに区分される．

下部：礫サイズの軽石と少量の粗面岩質岩片を含む降下軽石層である．ごく弱い正級化構造が認められる．

中部：下位より岩片に富む層，正級化構造や層理のみられる凝灰岩層，降下火山灰層で構成される．

上部：塊状の凝灰岩，塊状の凝灰角礫岩および降下火山灰の互層である．下部には岩片に富む層が見られることがある．

層序概念図における本構成要素（クリックで飛ぶ）

文献

Hwang, S.K., Hwang, J.H., and Kwon, C.W., (2012) Geological report of the Ulleungdo sheet (Scale 1:50,000). Korea Institute of Geoscience and Mineral Resources, Daejeon, Korea, 84 p. (in Korean with English abstract)

Hwang, S. K., Jeong, S. W., Ryu, H. Y., Son, Y. W. and Kwon, T. H. (2020) Evaluation of Volcanic Processes and Possible Eruption Types in Ulleung Island. Econ. Environ. Geol., 53, 715-727. https://doi.org/10.9719/EEG.2020.53.6.715

Kim, K., Lee, S. K., Oh, S. and Kwon, H. S. (2024) Implication of Nari Caldera structure of Ulleung Island from a 3-D resistivity model using magnetotellurics. Geosci. J., 28, 747-760. https://doi.org/10.1007/s12303-024-0023-3

町田　洋・新井房夫・李　柄高・森脇　広・古田俊夫 (1984) 韓国鬱陵島のテフラ. 地学雑, 93, 1-14. https://doi.org/10.5026/jgeography.93.1

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注釈

Kim et al. (2024)による比抵抗探査においてもカルデラの存在と輪郭が確認されている．

Ulleung Group噴火

Ulleung Group eruptions

年代: 0.83-0.77 Ma

年代手法: K-Ar年代

年代文献: Kim et al.(1999)

噴出源: 鬱陵島

総噴出量: 詳細不明

Ulleung Group噴出物

うるるんぐるーぷふんしゅつぶつ

Ulleung Group deposits

名称出典: Hwang et al. (2012)

別名・呼称: 下部：Sadong Breccia，上部：Lower trachytic rocks（Hwang et al., 2020）． Harumoto (1970)におけるStage 2-3噴出物の一部

噴火推移・概要: 火砕物および溶岩流の噴出

初期には陸上で噴出した溶岩が水と接触してマグマ水蒸気爆発によりハイアロクラスタイトが卓越した後，マグマ噴火によって凝灰岩を噴出した．後期には粗面岩質な溶岩流を噴出させた．

分布

光岩，台霞洞，⽵岩，南陽洞，沙洞，道洞，苧洞等に分布する．露出部分の層厚は50-150 mである（金, 1985a,b）．

噴出量

-

DRE [km³]

-

岩質

粗面安山岩質（上部および下部），粗面岩質（中部）（Harumoto, 1970）

岩相

本堆積物は下部のSadong Brecciaおよび粗面岩質溶岩（Lower trachytic rocks）からなる（Hwang et al., 2020）．

Sadong Breccia：本堆積物は主に下部のハイアロクラスタイトおよび角礫岩と上部の凝灰岩から構成され，下部の数層にはトラカイト質溶岩が挟在する．

Lower trachytic rocks：複数の溶岩流から構成される．各溶岩流は中部に厚い緻密岩帯をもち，その基底部および上端部に0.5～2 mの薄い角礫岩帯をしばしば伴う．

層序概念図における本構成要素（クリックで飛ぶ）

文献

Harumoto, A. (1970) Volcanic rocks and associated rocks of Utsuryoto Island, (Japan Sea). Dept. Geol. Min., Kyoto Univ, 39p. https://ci.nii.ac.jp/naid/10003980519

Hwang, S.K., Hwang, J.H., and Kwon, C.W. (2012) Geological report of the Ulleungdo sheet (Scale 1:50,000). Korea Institute of Geoscience and Mineral Resources, Daejeon, Korea, 84 p. (in Korean with English abstract)

Hwang, S. K., Jeong, S. W., Ryu, H. Y., Son, Y. W. and Kwon, T. H. (2020) Evaluation of Volcanic Processes and Possible Eruption Types in Ulleung Island. Econ. Environ. Geol., 53, 715-727. https://doi.org/10.9719/EEG.2020.53.6.715

金允圭 (1985a) 韓国，鬱陵火山島の岩石学―その1．地質―. 岩鉱, 80, 128-135. https://doi.org/10.2465/ganko1941.80.128

金允圭 (1985b) 韓国，鬱陵火山島の岩石学―その2．岩石記載及び全岩化学組成―. 岩鉱, 80, 292-303. https://doi.org/10.2465/ganko1941.80.292

Kim, K. H., Tanaka, T., Nagao, K. and Jang, S. K. (1999) Nd and Sr isotopes and K-Ar ages of the Ulreungdo alkali volcanic rocks in the East Sea, South Korea. Geochem. J., 33, 317-341. https://doi.org/10.2343/geochemj.33.317

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Dodong噴火

Dodong eruptions

年代: 1.37-0.97 Ma

年代手法: K-Ar年代

年代文献: Kim et al.(1999)

噴出源: 鬱陵島

総噴出量: 詳細不明

Dodong噴出物

どどんふんしゅつぶつ

Dodong deposits

名称出典: Hwang et al. (2012)

別名・呼称: Harumoto (1970)におけるStage 1噴出物

噴火推移・概要: 溶岩流の噴出

初期には粘性の高いアア溶岩流が移動中に斜面に到達する前に大部分が角礫化して砕屑物として流下し，後期には粘性が低下したために塊状溶岩として堆積したと考えられる．

分布: 南陽洞，沙洞から臥達⾥に⾄る海岸，⽞圃洞および台霞洞の海岸底地に分布する．苧洞-臥達⾥の海岸では⾼さ150 mの絶壁として認められる（金，1985a,b）．
噴出量: -
DRE [km³]: -
岩質: 粗面玄武岩質，ピクライト質玄武岩およびアルカリ玄武岩（Harumoto, 1970）
岩相: おおむね水冷破砕を受けた溶岩，枕状溶岩，火山砕屑岩，自破砕溶岩そして溶岩の順に構成される（Hwang et al., 2020）．

層序概念図における本構成要素（クリックで飛ぶ）

文献

Harumoto, A. (1970) Volcanic rocks and associated rocks of Utsuryoto Island, (Japan Sea). Dept. Geol. Min., Kyoto Univ, 39p. https://ci.nii.ac.jp/naid/10003980519

Hwang, S.K., Hwang, J.H., and Kwon, C.W. (2012) Geological report of the Ulleungdo sheet (Scale 1:50,000). Korea Institute of Geoscience and Mineral Resources, Daejeon, Korea, 84 p. (in Korean with English abstract)

Hwang, S. K., Jeong, S. W., Ryu, H. Y., Son, Y. W. and Kwon, T. H. (2020) Evaluation of Volcanic Processes and Possible Eruption Types in Ulleung Island. Econ. Environ. Geol., 53, 715-727. https://doi.org/10.9719/EEG.2020.53.6.715

金允圭 (1985a) 韓国，鬱陵火山島の岩石学―その1．地質―. 岩鉱, 80, 128-135. https://doi.org/10.2465/ganko1941.80.128

金允圭 (1985b) 韓国，鬱陵火山島の岩石学―その2．岩石記載及び全岩化学組成―. 岩鉱, 80, 292-303. https://doi.org/10.2465/ganko1941.80.292

Kim, K. H., Tanaka, T., Nagao, K. and Jang, S. K. (1999) Nd and Sr isotopes and K-Ar ages of the Ulreungdo alkali volcanic rocks in the East Sea, South Korea. Geochem. J., 33, 317-341. https://doi.org/10.2343/geochemj.33.317

町田　洋・新井房夫・李　柄高・森脇　広・古田俊夫 (1984) 韓国鬱陵島のテフラ. 地学雑, 93, 1-14. https://doi.org/10.5026/jgeography.93.1

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引用文献