Version 1.0.13

摩周カルデラ 屈斜路カルデラ 支笏カルデラ 洞爺カルデラ 濁川カルデラ 十和田カルデラ 姶良カルデラ 阿多カルデラ 池田カルデラ 鬼界カルデラ 三瓶山
火山の位置(厳密なカルデラ・火口の位置を示すものではない)

主要な活動

池田カルデラの層序概念図
図の詳細に関しては【こちら】
池田カルデラの噴火時系列図.横軸は年代(ka),縦軸およびバブルの大きさ・色は構成要素のVEIに対応する.
図の詳細に関しては【こちら】
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薩摩半島南端の地質図 (稲倉ほか, 2014) ©日本火山学会

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対比露頭柱状図 (稲倉ほか, 2014) ©日本火山学会

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カルデラ付近における地質層序 (稲倉ほか, 2014) ©日本火山学会

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対比露頭柱状図 (稲倉ほか, 2014) ©日本火山学会

後カルデラ火山活動

水源地マール形成噴火

Suigenchi Maar-forminig Eruption
年代: <4.8 cal ka
年代手法: 地形
年代文献: 奥野・小林 (1991) *水源地マールが鍋島岳由来のテフラ層を破壊していることから
噴出源: 水源地マール

総噴出量: -

水源地マール堆積物

すいげつちまーるたいせきぶつ
Suigenchi Maar Deposit
名称出典: 1万年噴火イベント集で仮称.このマール起源の放出岩塊が直接鍋島岳噴出物を覆うとの記載が川辺・阪口(2005)によりなされている.
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火?

マールを形成するような爆発的な噴火であったと考えられる.

分布
詳細不明
噴出量

-

岩相

鍋島岳噴出物の上位に放出岩塊が認められる (川辺・阪口, 2005)

全岩化学組成 (SiO2)
-
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

川辺禎久・阪口圭一 (2005) 開聞岳地域の地質. 地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅).産総研地質調査総合センター, 82p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_15100_2005_D.pdf

奥野 充・小林哲夫 (1991) 鍋島岳火山の地質. 鹿児島大理紀要 (地学・生物学), 24, 23-35. http://hdl.handle.net/10232/5990

大底月マール形成噴火

Oosokozuki Maar-forminig Eruption
年代: <4.8 cal ka
年代手法: 地形
年代文献: 奥野・小林 (1991) *大底月マールの地形が鍋島岳溶岩の地形を破壊している ことから
噴出源: 大底月マール

総噴出量: -

大底月マール堆積物

おおそこづき (つき) まーるたいせきぶつ
Oosokozuki Maar Deposit
名称出典: 1万年噴火イベント集で仮称.このマール起源の放出岩塊が直接鍋島岳噴出物を覆うとの記載が川辺・阪口(2005)によりなされている.
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火?

マールを形成するような爆発的な噴火であったと考えられる.

分布
詳細不明
噴出量

-

岩相

鍋島岳噴出物の上位に放出岩塊が認められる (川辺・阪口, 2005)

全岩化学組成 (SiO2)
-
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

川辺禎久・阪口圭一 (2005) 開聞岳地域の地質. 地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅).産総研地質調査総合センター, 82p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_15100_2005_D.pdf

奥野 充・小林哲夫 (1991) 鍋島岳火山の地質. 鹿児島大理紀要 (地学・生物学), 24, 23-35. http://hdl.handle.net/10232/5990

小底月マール形成噴火

Kosokozuki Maar-forminig Eruption
年代: <4.8 cal ka
年代手法: 地形
年代文献: 奥野・小林 (1991) *小底月マールの地形が鍋島岳溶岩の地形を破壊していることから
噴出源: 小底月マール

総噴出量: -

小底月マール堆積物

こそこづき (つき) まーるたいせきぶつ
Kosokozuki Maar Deposit
名称出典: 1万年噴火イベント集で仮称.このマール起源の放出岩塊が直接鍋島岳噴出物を覆うとの記載が川辺・阪口(2005)によりなされている.
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火?

マールを形成するような爆発的な噴火であったと考えられる.

分布
詳細不明
噴出量

-

岩相

鍋島岳噴出物の上位に放出岩塊が認められる (川辺・阪口, 2005)

全岩化学組成 (SiO2)
-
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

川辺禎久・阪口圭一 (2005) 開聞岳地域の地質. 地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅).産総研地質調査総合センター, 82p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_15100_2005_D.pdf

奥野 充・小林哲夫 (1991) 鍋島岳火山の地質. 鹿児島大理紀要 (地学・生物学), 24, 23-35. http://hdl.handle.net/10232/5990

鍋島岳形成噴火

Nabeshimadake-forming Eruption
年代: 4.8 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 奥野 (2002) *4.3k BP (奥野ほか, 1993) を暦年較正した値
噴出源: 鍋島岳

総噴出量: 見かけ体積 0.13 km3 (火砕物 0.059 km3, 溶岩 0.0066 km3)

鍋島岳テフラ1-4, 鍋島岳溶岩ドーム

なべしまだけてふら1-4, なべしまだけようだんどーむ
Nabeshimadake Tephra 1-4, Nabeshimadake Lava Dome
名称出典: 奥野・小林 (1991)
別名・呼称: 鍋島岳溶岩 (大田, 1966)
噴火推移・概要: 水蒸気噴火・マグマ水蒸気噴火→溶岩ドーム・溶岩流

鍋島岳火山の活動は,水蒸気噴火により始まり火山灰を噴出した (Nb-1).その後,マグマ噴出率が増加し,スコリア (軽石もわずかに認められる) を放出するような活動が連続的に発生した (Nb-2).Nb-2には,多量の類出岩片が認められることから,本フェーズにおいて火口壁の破壊,火道の拡大が起こったと考えられる (奥野・小林, 1991).その後,若干の侵食面が生じる程度の時間間隙をおいて,水蒸気噴火〜マグマ水蒸気噴火が発生し,火山灰 (Nb-3) を噴出した.その後再びマグマ噴出率が増加し,スコリア (Nb-4) を放出する活動へ移行した (奥野・小林, 1991).これらの火口位置は,現在の鍋島岳の北部であると考えられる (奥野・小林, 1991).

鍋島岳テフラ噴出の後期 (Nb-4) から,溶岩流・溶岩ドームを形成する活動が起った.まず,比較的粘性の低い溶岩流 (Lava I) が発生し,薄い溶岩流地形を形成した.その後やや粘性の高いものへと移行し,溶岩ドームの主部 (Lava II) を形成した.Lave IIの一部は,池田カルデラのカルデラ縁付近に噴出した為,カルデラ内に滑落した.その後,Lava IIIが流出し非常に小規模な溶岩ドームを形成した (奥野・小林, 1991).

分布
Nb-1: 鍋島岳火山より南東部に主軸を持ち分布する (奥野・小林, 1991). Nb-2: 鍋島岳火山より北東部に主軸を持ち分布する (奥野・小林, 1991). Nb-3: 鍋島岳火山周辺約1 kmの範囲に分布する (奥野・小林, 1991). Nb-4: 鍋島岳火山より北東部に主軸を持ち分布する (奥野・小林, 1991). 鍋島岳溶岩: 鍋島岳を形成する.
噴出量

鍋島岳テフラ: 見かけ体積 0.059 km3; DRE 0.025 km3

鍋島岳溶岩: 0.066 km3

DRE [km3]
0.09
VEI
3
噴出量文献

奥野・小林 (1991)

岩質
安山岩, デイサイト, 流紋岩; 苦鉄質包有物: 玄武岩質安山岩
岩相

鍋島岳テフラは,スコリア,軽石,岩片および火山灰からなる降下火砕堆積物である.色調・構成物の異なる4つのサブユニットに区分できる (下部から,Nb-1, Nb-2, Nb-3, Nb-4; 奥野・小林, 1991).Nb-2, -3間には侵食面が認められるものの,これらのサブユニット間に土壌のような長い休止期を示す堆積構造は認められない.

Nb-1は,黄褐色を呈する細粒火山灰堆積物である.植物の茎や葉のキャストを多く含み,下部に類質岩片が散在する様子が認められる.含まれる類質岩片は,熱水変質を被っているものが多い.Nb-1の上部は,ほとんど細粒火山灰であり,直径1〜2 mmの火山豆石を含む (奥野・小林, 1991).

Nb-2は,Nb-1を直接覆う降下スコリア (一部軽石) 堆積物である.Nb-1との境界に類質岩片によるサグ構造が認められる.Nb-2下部は,スコリアの他に多量の類質岩片を含み,遠方において複数のフォールユニットが認められる.Nb-2の最上部には主に軽石から成る (奥野・小林, 1991).

Nb-3は,Nb-2との間に侵食面を介し堆積する降下火砕堆積物である.細粒のスコリア,類質岩片,火山灰を含む.少なくとも5つのフォールユニットに区分できる.一部のフォールユニットでは,火山豆石が認められる (奥野・小林, 1991).

Nb-4は,Nb-3を直接覆う降下スコリア堆積物である.スコリアは均質なもの他に,斑点状や帯状の軽石部が認められる不均質なものも存在する.少量の岩片も認められ,それらの一部は,鍋島岳溶岩に酷似しており,本質岩片と考えられる (奥野・小林, 1991).

鍋島岳溶岩は,灰白色〜灰黒色を呈する多孔質の溶岩である.玄武岩質の捕獲岩が多量に含まれる.本捕獲岩は間粒状組織を示し,斑晶として斜長石,カンラン石を含む (奥野・小林, 1991).本溶岩ドームは,地形により区分される3つの岩体 (Lava I・II・III) よりなる.

Lava Iは,薄く広がった溶岩流の形態を示す.一般的に灰黒色を示すが,非常に多孔質な灰白色の部分が認められる (奥野・小林, 1991).

Lava IIは,灰白色を呈する溶岩であり,山頂部付近の崖を境に南北で地形が大きく異なる.南半分は,溶岩ドームの地形を示す.一方北半分は,舌状の溶岩流の形態を示す.北半分の溶岩流は大小の岩塊からなり,その表面には,進行方向に凸の溶岩じわ状の地形と伴に,放射状に開いた線構造が発達している (奥野・小林, 1991).鍋島岳南東山腹では,発泡度の違いによる流理構造が発達する (川辺・阪口, 2005).

Lava IIIは,Lave IIの分断された部分から流出した小規模な溶岩ドームである.灰黒色を呈し,Lave Iによく似た岩相を示す (奥野・小林, 1991).

全岩化学組成 (SiO2)
鍋島岳溶岩: 59-72 wt.% (川辺・阪口, 2005; 稲倉, 2015); 苦鉄質包有物: 51−55 wt.% (稲倉, 2015)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

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鍋島岳テフラ1-4と池田湖降下火山灰の産状 (稲倉ほか, 2014) ©日本火山学会


文献

稲倉寛仁 (2015) 南九州,池田カルデラの噴火史とマグマ供給系. 学位論文http://hdl.handle.net/10232/24435

川辺禎久・阪口圭一 (2005) 開聞岳地域の地質. 地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅).産総研地質調査総合センター, 82p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_15100_2005_D.pdf

奥野 充 (2002) 南九州に分布する最近約3万年間のテフラの年代学的研究. 第四紀研究, 41, 225-236. https://doi.org/10.4116/jaqua.41.225

奥野 充・小林哲夫 (1991) 鍋島岳火山の地質. 鹿児島大理紀要 (地学・生物学), 24, 23-35. http://hdl.handle.net/10232/5990

奥野 充・小林哲夫・中村俊夫 (1993) 南九州,鍋島岳他フラ層中の炭化木片の加速器14C年代. 火山, 38, 91-94. https://doi.org/10.18940/kazan.38.3_91

大田良平 (1966) 鹿児島県指宿地方地質調査報告. 地質調査月報, 17, 1-11.

水無池マール形成噴火

Mizunashi-ike Maar-forming Eruption
年代: 6.5-4.9 cal ka
年代手法: 層序・地形
年代文献: 奥野・小林 (1991) *水無池マールの地形が,池田火砕流堆積物の地層を破壊していること,水無池マール (もしくは鏡池マール) 由来と考えれられるテフラが池田カルデラ形成期噴出物と鍋島岳形成期噴出物の間に挟在することから
噴出源: 水無池マール

総噴出量: -

水無池マール堆積物

みずなしいけまーるたいせきぶつ
Mizunashiike Maar Deposit
名称出典: 1万年噴火イベント集で仮称.堆積物の簡単な記載が奥野・小林(1991),川辺・阪口(2005)によりなされているが,命名されていない.
噴火推移・概要: 水蒸気噴火?

マールを形成するような爆発的な噴火であったと考えられる.本質物質と考えられる噴出物は確認されていない (川辺・阪口, 2005) ことから,水蒸気噴火であると推察される.

分布
火口周辺の狭い範囲に分布する (川辺・阪口, 2005).
噴出量

-

岩相

薄い火山灰層,放出岩塊が認められる (川辺・阪口, 2005).鏡池東方約1 kmの地点において,水無池マール (もしくは鏡池マール) 由来と考えられる灰白色を呈する火山灰が認められる (奥野・小林, 1991).

全岩化学組成 (SiO2)
-
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

川辺禎久・阪口圭一 (2005) 開聞岳地域の地質. 地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅).産総研地質調査総合センター, 82p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_15100_2005_D.pdf

奥野 充・小林哲夫 (1991) 鍋島岳火山の地質. 鹿児島大理紀要 (地学・生物学), 24, 23-35. http://hdl.handle.net/10232/5990

鏡池マール噴火

Kagami-ike Maar-forming Eruption
年代: 6.5-4.9 cal ka
年代手法: 層序・地形
年代文献: 奥野・小林 (1991) *鏡池マールの地形が,池田火砕流堆積物の地層を破壊していること,鏡池マール (もしくは水無池マール) 由来と考えれられるテフラが池田カルデラ形成期噴出物と鍋島岳形成期噴出物の間に挟在することから
噴出源: 鏡池マール

総噴出量: -

鏡池マール堆積物

かがみいけまーるたいせきぶつ
Kagamiike Maar Deposit
名称出典: 1万年噴火イベント集で仮称.堆積物の簡単な記載が奥野・小林(1991),川辺・阪口(2005)によりなされているが,命名されていない.
噴火推移・概要: 水蒸気噴火?

マールを形成するような爆発的な噴火であったと考えられる.本質物質と考えられる噴出物は確認されていない (川辺・阪口, 2005) ことから,水蒸気噴火であると推察される.

分布
火口周辺の狭い範囲に分布する (川辺・阪口, 2005).
噴出量

-

岩相

薄い火山灰層,放出岩塊が認められる (川辺・阪口, 2005).鏡池東方約1 kmの地点において,鏡池マール (もしくは水無池マール) 由来と考えられる灰白色を呈する火山灰が認められる (奥野・小林, 1991).

全岩化学組成 (SiO2)
-
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

川辺禎久・阪口圭一 (2005) 開聞岳地域の地質. 地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅).産総研地質調査総合センター, 82p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_15100_2005_D.pdf

奥野 充・小林哲夫 (1991) 鍋島岳火山の地質. 鹿児島大理紀要 (地学・生物学), 24, 23-35. http://hdl.handle.net/10232/5990

池田湖湖底溶岩ドーム噴火

Ikedako Lake Bottom Lava Dome Eruption
年代: <6.5 cal ka
年代手法: 地形
年代文献: 川辺・阪口 (2005)
噴出源: 池田カルデラ

総噴出量: -

池田湖湖底溶岩ドーム

いけだここていようがんどーむ
Ikedako Lake Bottom Lava Dome
名称出典: 川辺・阪口 (2005)
別名・呼称: Ibd (川辺・阪口, 2005)
噴火推移・概要: 溶岩ドーム

噴火推移の詳細は不明.池田カルデラ形成後に噴出したことは確実である (川辺・阪口, 2005).

分布
池田カルデラ内に分布する.
噴出量

-

岩相

岩相の詳細は不明.地形からは粘性の高い溶岩ドームであると推察される (川辺・阪口, 2005).

全岩化学組成 (SiO2)
-
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

川辺禎久・阪口圭一 (2005) 開聞岳地域の地質. 地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅).産総研地質調査総合センター, 82p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_15100_2005_D.pdf

池田湖火山灰噴火

Ikedako Ash Eruption
年代: 6.5 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 奥野 (2002) 14C年代* 以下の値を暦年較正した値 (5750±30 yr BP, 成尾・小林, 1984; 5500〜5700 yr BP, 奥野ほか, 1996)
噴出源: 池田カルデラ

総噴出量: 見かけ体積 約3.5 km3

池田湖降下火山灰堆積物

いけだここうかかざんばいたいせきぶつ
Ikedako Ash Fall Deposit
名称出典: 成尾・小林 (1980)
別名・呼称: Ik-Ika (稲倉ほか,2014)
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火

カルデラ中央部でマグマ水蒸気噴火が発生し,池田降下火山灰が噴出した (稲倉ほか, 2014).この噴火の末期には強い地震が発生し,Ik-Ika中に多くの砕屑岩脈やスランプなどの撹拌構造が形成された (成尾・小林, 1995).

分布
池田カルデラを中心とした楕円状に分布し,南東方に分布主軸をもつ (稲倉ほか, 2014).カルデラ近傍では特に厚く堆積し,層厚は10 mを超える (成尾・小林, 1995).
噴出量

見かけ体積 約3.5 km3

DRE [km3]
1.4
VEI
5
噴出量文献

稲倉ほか (2014)

岩相

ラミナの発達した細粒火山灰である.火山豆石を含む (成尾・小林, 1995; 稲倉ほか, 2014).池田カルデラ近傍では,噴出岩塊によるサグ構造やスランプなどが認められるほか,ベースサージ状の堆積物が認められる (成尾・小林, 1995).本堆積物下部は,多様な岩相を示し,細粒の石質岩片に富む層や火山豆石を含む層,結晶片に富む層,塊状火山灰層などが認められる (稲倉ほか, 2014).本堆積物中には,クラスティックダイクとともに多くの小断層が認められる (成尾・小林, 1995).

全岩化学組成 (SiO2)
-
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

池田降下火山灰堆積物の等層厚線図.等層厚線は稲倉ほか (2014) を元に作成.
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池田湖降下火山灰の分布 (稲倉ほか, 2014) ©日本火山学会


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池田湖降下火山灰の産状.攪拌構造と砕屑岩脈が認められる (稲倉ほか, 2014) ©日本火山学会


文献

稲倉寛仁・成尾英仁・奥野 充・小林哲夫 (2014) 南九州,池田火山の噴火史. 火山, 59, 255-268. https://doi.org/10.18940/kazan.59.4_255

成尾英仁・小林哲夫 (1984) 70. 池田カルデラ形成時の降下火砕物 (日本火山学会1984年度春季大会講演要旨). 火山, 28, 148. https://doi.org/10.18940/kazanc.29.2_148_2

成尾英仁・小林哲夫 (1980) 池田カルデラの火山活動史. 火山, 25, p.306. https://doi.org/10.18940/kazanc.25.4_306_1

成尾英仁・小林哲夫 (1995) 噴火によって生じたクラスティックダイク. 鹿児島大学理学部紀要 (地学・生物学), 28, 111-122. http://hdl.handle.net/10232/6042

奥野 充 (2002) 南九州に分布する最近約3万年間のテフラの年代学的研究. 第四紀研究, 41, 225-236. https://doi.org/10.4116/jaqua.41.225

奥野 充・成尾英仁・中村俊夫・小林哲夫 (1996) 南九州, 池田湖テフラ層に関連する試料の加速器14C年代. 名古屋大学古川総合研究資料館報告, 12, 49-55. https://ci.nii.ac.jp/naid/110000520644/

注釈

*DRE換算は,溶岩と火砕物の密度をそれぞれ2.5 g/cm3, 1.0 g/cm3と仮定し算出した.

山川マール形成噴火

Yamakawa Maar-forming Eruption
年代: 6.5 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 奥野 (2002) 14C年代* 以下の値を暦年較正した値 (5750±30 yr BP, 成尾・小林, 1984; 5500〜5700 yr BP, 奥野ほか, 1996)
噴出源: 山川湾マール

総噴出量: 見かけ体積 約0.04 km3

山川火砕サージ堆積物

やまかわかさいさーじたいせきぶつ
Yamakawa Pyroclastic Surge Deposit
名称出典: 川辺・阪口 (2005)
別名・呼称: 山川・成川グラウンドサージ堆積物 (小林ほか, 1983),成川・山川グラウンド・サージ堆積物 (小林・成川, 1983),山川ベースサージ堆積物 (Ik-Ybs; 稲倉ほか, 2014)
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火

激しいマグマ水蒸気噴火が起こり,山川湾周辺にサージ堆積物を放出した (川辺・阪口, 2005).

分布
山川湾を給源とし,そん周辺の半径数 km以内に分布する (稲倉ほか, 2014).
噴出量

見かけ体積 約0.04 km3

DRE [km3]
0.016
VEI
3
噴出量文献

稲倉ほか (2014)

岩質
白色軽石: 流紋岩, 灰色・縞状軽石: 安山岩, デイサイト, 流紋岩
岩相

斜交層理の発達した火砕サージ堆積物である.軽石や火山豆石を含む.本堆積物下部は,軽石や石質岩片に富む粗粒部と火山灰から成る細粒部が弱く斜交しており,本堆積物上部は,主に細粒火山灰からなり,クロスラミナが顕著である (稲倉ほか, 2014).成川トンネル上のゴミ焼却場南の露頭では,下位に厚さ2.5 m以上の角礫層を伴う (川辺・阪口, 2005).角礫は,主に周辺に分布する山川湾溶岩が粉砕されたものであり,下位の池田降下軽石堆積物にめり込んだボムサグ構造が認められる (川辺・阪口, 2005).

全岩化学組成 (SiO2)
白色軽石: 70-74 wt.%, 灰色・縞状軽石: 60-73 wt.% (稲倉, 2015)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

山川ベースサージ堆積物と池田降下軽石堆積物 (稲倉ほか, 2014) ©日本火山学会


文献

稲倉寛仁 (2015) 南九州,池田カルデラの噴火史とマグマ供給系. 学位論文http://hdl.handle.net/10232/24435

稲倉寛仁・成尾英仁・奥野 充・小林哲夫 (2014) 南九州,池田火山の噴火史. 火山, 59, 255-268. https://doi.org/10.18940/kazan.59.4_255

川辺禎久・阪口圭一 (2005) 開聞岳地域の地質. 地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅).産総研地質調査総合センター, 82p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_15100_2005_D.pdf

小林哲夫・成尾英仁 (1983) 池田カルデラの火山活動と地盤変動. 九州の基盤と陥没構造研究報告, 文部省科学研究費総合研究 (A), 2, p. 84-87.

小林哲夫・山本英司・成尾英仁 (1983) 南薩地域(坊之津・指宿)の地質. 日本地質学会第90年学術大会巡検案内書, 日本地質学会, p.81-93.

成尾英仁・小林哲夫 (1984) 70. 池田カルデラ形成時の降下火砕物 (日本火山学会1984年度春季大会講演要旨). 火山, 28, 148. https://doi.org/10.18940/kazanc.29.2_148_2

奥野 充 (2002) 南九州に分布する最近約3万年間のテフラの年代学的研究. 第四紀研究, 41, 225-236. https://doi.org/10.4116/jaqua.41.225

奥野 充・成尾英仁・中村俊夫・小林哲夫 (1996) 南九州, 池田湖テフラ層に関連する試料の加速器14C年代. 名古屋大学古川総合研究資料館報告, 12, 49-55. https://ci.nii.ac.jp/naid/110000520644/

注釈

*DRE換算は,溶岩と火砕物の密度をそれぞれ2.5 g/cm3, 1.0 g/cm3と仮定し算出した.

鰻池マール形成噴火

Unagi Maar-forming Eruption
年代: 6.5 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 奥野 (2002) 14C年代* 以下の値を暦年較正した値 (5750±30 yr BP, 成尾・小林, 1984; 5500〜5700 yr BP, 奥野ほか, 1996)
噴出源: 鰻池マール

総噴出量: -

鰻池マール噴出物

うなぎいけまーるふんしゅつぶつ
Unagiike Maar Deposit
名称出典: 川辺・阪口 (2005)
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火?

細粒火山灰に富み,火山豆石を含むなどの記載から,マグマ水蒸気噴火が発生したと推察される.

分布
明瞭な火砕丘地形は示さないが,鰻池東岸で層厚10 m以上である (川辺・阪口, 2005).
噴出量

-

岩相

類質岩片が主体の火砕サージ堆積物である.池田降下軽石を覆って角礫層があり,その上に細かい層理の発達する火山灰層が認められる.火山灰層は,ボムサグ構造を伴う (川辺・阪口, 2005).

全岩化学組成 (SiO2)
-
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

川辺禎久・阪口圭一 (2005) 開聞岳地域の地質. 地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅).産総研地質調査総合センター, 82p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_15100_2005_D.pdf

成尾英仁・小林哲夫 (1984) 70. 池田カルデラ形成時の降下火砕物 (日本火山学会1984年度春季大会講演要旨). 火山, 28, 148. https://doi.org/10.18940/kazanc.29.2_148_2

奥野 充 (2002) 南九州に分布する最近約3万年間のテフラの年代学的研究. 第四紀研究, 41, 225-236. https://doi.org/10.4116/jaqua.41.225

奥野 充・成尾英仁・中村俊夫・小林哲夫 (1996) 南九州, 池田湖テフラ層に関連する試料の加速器14C年代. 名古屋大学古川総合研究資料館報告, 12, 49-55. https://ci.nii.ac.jp/naid/110000520644/

注釈

*川辺・阪口 (2005) では,鰻池マール噴出物と池底マール噴出物を合せて池底・鰻池マール噴出物としている.ここでの岩相は,川辺・阪口 (2005) における「池底・鰻池マール噴出物」の記載を紹介する.

池底マール形成噴火

Ikezoko Maar-forming Eruption
年代: 6.5 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 奥野 (2002) 14C年代* 以下の値を暦年較正した値 (5750±30 yr BP, 成尾・小林, 1984; 5500〜5700 yr BP, 奥野ほか, 1996)
噴出源: 池底マール

総噴出量: -

池底マール噴出物

いけぞこまーるふんしゅつぶつ
Ikezoko Maar Deposit
名称出典: 川辺・阪口 (2005)
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火?

細粒火山灰に富み,火山豆石を含むなどの記載から,マグマ水蒸気噴火が発生したと推察される.

分布
池底マールの周辺に火口を取り巻く比高50 m程度の小規模な火砕丘地形を形成する (川辺・阪口, 2005).
噴出量

-

岩相

類質岩片が主体の火砕サージ堆積物である.池田降下軽石を覆って角礫層があり,その上に細かい層理の発達する火山灰層が認められる.火山灰層は,ボムサグ構造を伴う (川辺・阪口, 2005).

全岩化学組成 (SiO2)
-
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

川辺禎久・阪口圭一 (2005) 開聞岳地域の地質. 地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅).産総研地質調査総合センター, 82p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_15100_2005_D.pdf

成尾英仁・小林哲夫 (1984) 70. 池田カルデラ形成時の降下火砕物 (日本火山学会1984年度春季大会講演要旨). 火山, 28, 148. https://doi.org/10.18940/kazanc.29.2_148_2

奥野 充 (2002) 南九州に分布する最近約3万年間のテフラの年代学的研究. 第四紀研究, 41, 225-236. https://doi.org/10.4116/jaqua.41.225

奥野 充・成尾英仁・中村俊夫・小林哲夫 (1996) 南九州, 池田湖テフラ層に関連する試料の加速器14C年代. 名古屋大学古川総合研究資料館報告, 12, 49-55. https://ci.nii.ac.jp/naid/110000520644/

注釈

*川辺・阪口 (2005) では,鰻池マール噴出物と池底マール噴出物を合せて池底・鰻池マール噴出物としている.ここでの岩相は,川辺・阪口 (2005) における「池底・鰻池マール噴出物」の記載を紹介する.

松ヶ窪マール形成噴火

Matsugakugo Maar-forming Eruption
年代: 6.5 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 奥野 (2002) 14C年代* 以下の値を暦年較正した値 (5750±30 yr BP, 成尾・小林, 1984; 5500〜5700 yr BP, 奥野ほか, 1996)
噴出源: 松ヶ窪マール

総噴出量: -

松ヶ窪マール噴出物

まつがくぼまーるふんしゅつぶつ
Matsugakubo Maar Deposit
名称出典: 本データベースで仮称
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火?

マールを形成するような爆発的な噴火であったと考えられる.

噴出量

-

岩相

詳細不明

全岩化学組成 (SiO2)
-
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

成尾英仁・小林哲夫 (1984) 70. 池田カルデラ形成時の降下火砕物 (日本火山学会1984年度春季大会講演要旨). 火山, 28, 148. https://doi.org/10.18940/kazanc.29.2_148_2

奥野 充 (2002) 南九州に分布する最近約3万年間のテフラの年代学的研究. 第四紀研究, 41, 225-236. https://doi.org/10.4116/jaqua.41.225

奥野 充・成尾英仁・中村俊夫・小林哲夫 (1996) 南九州, 池田湖テフラ層に関連する試料の加速器14C年代. 名古屋大学古川総合研究資料館報告, 12, 49-55. https://ci.nii.ac.jp/naid/110000520644/

カルデラ形成噴火

池田カルデラ形成噴火

Ikeda Caldera-forming Eruption
年代: 6.5 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 奥野 (2002) 14C年代* 以下の値を暦年較正した値 (5750±30 yr BP, 成尾・小林, 1984; 5500〜5700 yr BP, 奥野ほか, 1996)
噴出源: 池田カルデラ

総噴出量: 見かけ体積 5.0 km3

児ヶ水火砕堆積物

ちょうがみずかさいたいせきぶつ
Chogamizu Pyroclastic Deposit
名称出典: 稲倉ほか (2014)
別名・呼称: Ik-Cg (稲倉ほか,2014)
噴火推移・概要: 水蒸気噴火→マグマ水蒸気噴火 (ベースサージ)→プリニー式噴火→マグマ水蒸気噴火→プリニー式噴火→大規模火砕流の発生

カルデラ南東の赤水鼻,児ヶ水港付近では,大径の軽石をほぼ含まない明褐色細粒火山灰からなる火砕堆積物が,池田火砕流堆積物とほぼ同層準に認められる.稲倉ほか (2014) はこれを児ヶ水火砕堆積物 (Ik-Cg) と仮称し,Ik-Pflの同時異相と推定している.Ik-PflとIk-Cgの上下関係は不明である.

分布
カルデラ南東の赤水鼻,児ヶ水港に下りる道沿いに認められる (稲倉ほか, 2014).
岩相

大径の軽石をほぼ含まない明褐色細粒火山灰からなる,成因不明の火砕堆積物である (稲倉ほか, 2014).池田火砕流堆積物とはほぼ同層準であるが,基盤岩に張り付くように分布しており,池田火砕流堆積物との上下関係は不明である.大部分が塊状であるが,部分的に波状の構造が発達し,その基底部に細粒軽石が濃集する.また,本噴出物中に炭化した立木が認められ,高温で堆積したことを示唆する.

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

児ヶ水火砕堆積物の産状. 炭化した立木 (B) (稲倉ほか, 2014) ©日本火山学会


文献

稲倉寛仁・成尾英仁・奥野 充・小林哲夫 (2014) 南九州,池田火山の噴火史. 火山, 59, 255-268. https://doi.org/10.18940/kazan.59.4_255

成尾英仁・小林哲夫 (1984) 70. 池田カルデラ形成時の降下火砕物 (日本火山学会1984年度春季大会講演要旨). 火山, 28, 148. https://doi.org/10.18940/kazanc.29.2_148_2

奥野 充 (2002) 南九州に分布する最近約3万年間のテフラの年代学的研究. 第四紀研究, 41, 225-236. https://doi.org/10.4116/jaqua.41.225

奥野 充・成尾英仁・中村俊夫・小林哲夫 (1996) 南九州, 池田湖テフラ層に関連する試料の加速器14C年代. 名古屋大学古川総合研究資料館報告, 12, 49-55. https://ci.nii.ac.jp/naid/110000520644/

池田カルデラ形成噴火

Ikeda Caldera-forming Eruption
年代: 6.5 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 奥野 (2002) 14C年代* 以下の値を暦年較正した値 (5750±30 yr BP, 成尾・小林, 1984; 5500〜5700 yr BP, 奥野ほか, 1996)
噴出源: 池田カルデラ

総噴出量: 見かけ体積 5.0 km3

池田火砕流堆積物

いけだかさいりゅうたいせきぶつ
Ikeda Pyroclastic Flow Deposit
名称出典: 宇井 (1967)
別名・呼称: 池田軽石流 (太田, 1966); Ik-Pfl (稲倉ほか,2014)
噴火推移・概要: 水蒸気噴火→マグマ水蒸気噴火 (ベースサージ)→プリニー式噴火→マグマ水蒸気噴火→プリニー式噴火→大規模火砕流の発生

池田降下軽石堆積物の堆積後,火砕流噴火により池田火砕流堆積物 (Ik-Pfl; 宇井, 1967) が噴出し,現在の池田カルデラ地形が形成された.池田火砕流堆積物は給源近傍では弱溶結だが,大部分は非溶結の火砕流堆積物として認められる.池田湖周辺のほぼ全域に流下したIk-Pflは,周辺の山麓から海域一帯を埋め立てて火砕流台地を形成した (稲倉ほか, 2014).宇井 (1967) によると,池田火砕流堆積物は少なくとも上下2フローユニットに二分され,粗粒な下部フローユニットは低地沿いに分布するが,細粒で下部ユニットより薄い上部フローユニットは,カルデラ西方の高地やカルデラ東方の海抜300 m前後の山地の背後まで到達している.これについて宇井 (1967) は,噴出口が海抜高度の低い山地間の低地にあったと推定し,発生した火砕流のうち細粒部のみが山地の背後や高地に到達し,火砕流主体の密な部分が低地沿いに広がったと解釈した.下部フローユニットは,カルデラ近傍で外来岩片を多く含むラグブレッチャーを認めている.外来岩片の多くは火道から新たに侵食されてもたらされたものと考えられることから,下部フローユニットをもたらした最初の噴火は,火口の拡大を伴うような爆発的なものであったと推定した (岩倉ほか, 2001).それに対し上部フローユニットは,粒度分析において非常に細粒物の多いユニモーダルな特徴を示した.これについて岩倉ほか (2001) は,この噴火フェーズの後期ほど噴煙柱高度が低下するなどし,噴出した火砕物全体が分離を起こさず流下した,あるいは火口への水の流入により粉砕が進んだと推定している.

分布
カルデラを中心に池田湖周辺のほぼ全域に分布する.
噴出量

見かけ2.5 km3

DRE [km3]
1
VEI
5
噴出量文献

稲倉ほか (2014)

岩質
白色軽石: 流紋岩, 灰色・縞状軽石: 安山岩, デイサイト, 流紋岩
岩相

池田降下軽石堆積物を直接覆う,軽石流堆積物である (稲倉ほか, 2014).層相は多様で,給源近傍では弱溶結層も認められるが,大部分が非溶結火砕流堆積物である (稲倉ほか, 2014).Ik-Pflは少なくとも上下2つのユニット (粗粒な下部と細粒な上部) に二分される (岩倉ほか, 2001; 宇井, 1967).それぞれのユニットは大きな軽石や岩片が複数の層準に濃集して層構造をつくっていることから,さらに多数のフローユニットからなる(岩倉ほか, 2001; 稲倉ほか, 2014).

鬼門平断層崖を乗り越えた烏帽子岳付近の露頭では,基質部分に細粒物質が乏しい.鳥越トンネル西側出口付近の露頭では,層厚10 m以上のラグブレッチャーが認められる (稲倉ほか, 2014).

また,カルデラ南東の伏目から西南方向に湾曲する海岸では,砂層や粗粒砂サイズの岩片・結晶片からなる薄層を挟在した特異な火砕流堆積物が認められる (稲倉ほか, 2014).

全岩化学組成 (SiO2)
白色軽石: 70-74 wt.%, 灰色・縞状軽石: 60-73 wt.% (稲倉, 2015)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

池田火砕流堆積物の粒度分布 (岩倉ほか, 2001) ©日本火山学会


figure

池田火砕流堆積物 (Ik-Pfl)の産状.薄い砂層を挟む (稲倉ほか, 2014) ©日本火山学会


figure

池田火砕粒堆積物と池田湖火山灰の2次爆発の産状 (稲倉ほか,2014) ©日本火山学会


figure

池田火砕流堆積物の2次爆発による伏目ベースサージ堆積物の産状 (稲倉ほか,2014) ©日本火山学会


文献

稲倉寛仁 (2015) 南九州,池田カルデラの噴火史とマグマ供給系. 学位論文http://hdl.handle.net/10232/24435

稲倉寛仁・成尾英仁・奥野 充・小林哲夫 (2014) 南九州,池田火山の噴火史. 火山, 59, 255-268. https://doi.org/10.18940/kazan.59.4_255

岩倉雅治・鎌田桂子・小林哲夫 (2001) 粒度分布と構成物量比からみた池田火砕流の堆積機構. 火山, 46, 117-120. https://doi.org/10.18940/kazan.46.3_117

成尾英仁・小林哲夫 (1984) 70. 池田カルデラ形成時の降下火砕物 (日本火山学会1984年度春季大会講演要旨). 火山, 28, 148. https://doi.org/10.18940/kazanc.29.2_148_2

奥野 充 (2002) 南九州に分布する最近約3万年間のテフラの年代学的研究. 第四紀研究, 41, 225-236. https://doi.org/10.4116/jaqua.41.225

奥野 充・成尾英仁・中村俊夫・小林哲夫 (1996) 南九州, 池田湖テフラ層に関連する試料の加速器14C年代. 名古屋大学古川総合研究資料館報告, 12, 49-55. https://ci.nii.ac.jp/naid/110000520644/

大田良平 (1966) 鹿児島県指宿地方地質調査報告. 地質調査月報, 17, 1-11.

宇井忠英 (1967) 鹿児島県指宿地方の地質. 地質雑, 73, 477-490. https://doi.org/10.5575/geosoc.73.477

注釈

*DRE換算は,溶岩と火砕物の密度をそれぞれ2.5 g/cm3, 1.0 g/cm3と仮定し算出した.

池田カルデラ形成噴火

Ikeda Caldera-forming Eruption
年代: 6.5 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 奥野 (2002) 14C年代* 以下の値を暦年較正した値 (5750±30 yr BP, 成尾・小林, 1984; 5500〜5700 yr BP, 奥野ほか, 1996)
噴出源: 池田カルデラ

総噴出量: 見かけ体積 5.0 km3

池田降下軽石堆積物

いけだこうかかるいしたいせきぶつ
Ikeda Pumice Fall Deposit
名称出典: 太田 (1966)
別名・呼称: Ik-Pfa (稲倉ほか,2014)
噴火推移・概要: 水蒸気噴火→マグマ水蒸気噴火 (ベースサージ)→プリニー式噴火→マグマ水蒸気噴火→プリニー式噴火→大規模火砕流の発生

水迫降下スコリアの噴出後,活動は軽石主体のプリニー式噴火へ移行し,池田降下軽石堆積物 (Ik-Pfa; 宇井, 1967) が噴出した.

分布
カルデラから東方に伸びる分布軸をもち,大隅半島の広域に分布する.また,カルデラ西側にも分布する
噴出量

見かけ2.3 km3

DRE [km3]
0.92
VEI
5
噴出量文献

稲倉ほか (2014)

岩質
白色軽石: 流紋岩, 灰色・縞状軽石: 安山岩, デイサイト, 流紋岩
岩相

尾下降下スコリア堆積物もしくは水迫降下スコリア堆積物を直接覆う降下軽石堆積物である.カルデラ縁より4 km離れた分布軸上では層厚1.5 mで,最大平均粒径は4 cmである (稲倉ほか, 2014).

全岩化学組成 (SiO2)
白色軽石: 70-74 wt.%, 灰色・縞状軽石: 60-73 wt.% (稲倉, 2015)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

池田降下軽石堆積物の等層厚線図.等層厚線は稲倉ほか (2014) を元に作成.
figure

池田降下軽石堆積物の分布 (稲倉ほか, 2014) ©日本火山学会


文献

稲倉寛仁 (2015) 南九州,池田カルデラの噴火史とマグマ供給系. 学位論文http://hdl.handle.net/10232/24435

稲倉寛仁・成尾英仁・奥野 充・小林哲夫 (2014) 南九州,池田火山の噴火史. 火山, 59, 255-268. https://doi.org/10.18940/kazan.59.4_255

成尾英仁・小林哲夫 (1984) 70. 池田カルデラ形成時の降下火砕物 (日本火山学会1984年度春季大会講演要旨). 火山, 28, 148. https://doi.org/10.18940/kazanc.29.2_148_2

奥野 充 (2002) 南九州に分布する最近約3万年間のテフラの年代学的研究. 第四紀研究, 41, 225-236. https://doi.org/10.4116/jaqua.41.225

奥野 充・成尾英仁・中村俊夫・小林哲夫 (1996) 南九州, 池田湖テフラ層に関連する試料の加速器14C年代. 名古屋大学古川総合研究資料館報告, 12, 49-55. https://ci.nii.ac.jp/naid/110000520644/

宇井忠英 (1967) 鹿児島県指宿地方の地質. 地質雑, 73, 477-490. https://doi.org/10.5575/geosoc.73.477

注釈

*DRE換算は,溶岩と火砕物の密度をそれぞれ2.5 g/cm3, 1.0 g/cm3と仮定し算出した.

池田カルデラ形成噴火

Ikeda Caldera-forming Eruption
年代: 6.5 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 奥野 (2002) 14C年代* 以下の値を暦年較正した値 (5750±30 yr BP, 成尾・小林, 1984; 5500〜5700 yr BP, 奥野ほか, 1996)
噴出源: 池田カルデラ

総噴出量: 見かけ体積 5.0 km3

水迫降下スコリア堆積物

みずさここうかすこりあたいせきぶつ
Mizusako Scoria Fall Deposit
名称出典: 稲倉ほか (2014)
別名・呼称: Ik-Mz (稲倉ほか,2014)
噴火推移・概要: 水蒸気噴火→マグマ水蒸気噴火 (ベースサージ)→プリニー式噴火→マグマ水蒸気噴火→プリニー式噴火→大規模火砕流の発生

尾下降下スコリアに続いて,灰色スコリアからなる水迫降下スコリア(Ik-Mz; 稲倉ほか, 2014) が噴出した.稲倉ほか (2014) によれば,このスコリアは発泡度が低く,その形態が丸みを帯びていることから,マグマ水蒸気噴火の産物であると考えられる.給源は池田カルデラと推定されているが,その一方で,大隅半島に産出するスコリアに相当する大きな噴出物がカルデラ近傍の薩摩半島側に存在しないことから,別の給源を仮定する必要があるとされている.稲倉ほか (2014) は,鹿児島湾内のどこかで池田カルデラと同時に噴火が発生した可能性があるとしているが,噴火地点の特定には至っていない.

分布
カルデラ付近から北東に伸びる分布軸をもって,大隅半島までの狭い範囲に分布する.給源は,池田カルデラのほかに,鹿児島湾内に別の給源がある可能性がある (稲倉ほか, 2014).
噴出量

見かけ0.002 km3

DRE [km3]
0.0008
VEI
2
噴出量文献

稲倉ほか (2014)

岩質
玄武岩, 玄武岩質安山岩, 安山岩
岩相

尾下降下スコリア堆積物と池田降下軽石堆積物の間に認められる降下スコリア堆積物である (稲倉ほか, 2014).薩摩半島側では層厚1〜2 cmの薄層として認められ,スコリアの最大平均粒径は1 cmである (稲倉ほか, 2014).給源から離れた大隅半島側では明瞭な層をなさずに,池崎サージ堆積物・降下火山灰堆積物の直上か池田降下軽石堆積物の直下にスコリアが点在する (稲倉ほか, 2014).このスコリアは大隅半島中部に分布する尾下降下スコリアに比べて粒径が大きい (稲倉ほか, 2014).

全岩化学組成 (SiO2)
51-62 wt.% (稲倉, 2015)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

水迫降下スコリア堆積物の等層厚線図.等層厚線は稲倉ほか (2014) を元に作成.
figure

水迫降下スコリア堆積物の分布 (稲倉ほか, 2014) ©日本火山学会


文献

稲倉寛仁 (2015) 南九州,池田カルデラの噴火史とマグマ供給系. 学位論文http://hdl.handle.net/10232/24435

稲倉寛仁・成尾英仁・奥野 充・小林哲夫 (2014) 南九州,池田火山の噴火史. 火山, 59, 255-268. https://doi.org/10.18940/kazan.59.4_255

成尾英仁・小林哲夫 (1984) 70. 池田カルデラ形成時の降下火砕物 (日本火山学会1984年度春季大会講演要旨). 火山, 28, 148. https://doi.org/10.18940/kazanc.29.2_148_2

奥野 充 (2002) 南九州に分布する最近約3万年間のテフラの年代学的研究. 第四紀研究, 41, 225-236. https://doi.org/10.4116/jaqua.41.225

奥野 充・成尾英仁・中村俊夫・小林哲夫 (1996) 南九州, 池田湖テフラ層に関連する試料の加速器14C年代. 名古屋大学古川総合研究資料館報告, 12, 49-55. https://ci.nii.ac.jp/naid/110000520644/

注釈

*DRE換算は,溶岩と火砕物の密度をそれぞれ2.5 g/cm3, 1.0 g/cm3と仮定し算出した.

池田カルデラ形成噴火

Ikeda Caldera-forming Eruption
年代: 6.5 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 奥野 (2002) 14C年代* 以下の値を暦年較正した値 (5750±30 yr BP, 成尾・小林, 1984; 5500〜5700 yr BP, 奥野ほか, 1996)
噴出源: 池田カルデラ

総噴出量: 見かけ体積 5.0 km3

尾下降下スコリア堆積物

おさがりこうかすこりあたいせきぶつ
Osagari Scoria Fall Deposit
名称出典: 宇井 (1967)
別名・呼称: Ik-Os (稲倉ほか,2014)
噴火推移・概要: 水蒸気噴火→マグマ水蒸気噴火 (ベースサージ)→プリニー式噴火→マグマ水蒸気噴火→プリニー式噴火→大規模火砕流の発生

池崎サージ堆積物・降下火山灰堆積物を放出後,活動はマグマ噴火に移行し,尾下降下スコリア (Ik-Os; 宇井, 1967) が噴出した.尾下スコリアは池田湖西岸側には分布せず,噴出中心が現在の池田湖の東よりであり,池田カルデラ形成期の他の噴出物と火口位置が異なる可能性が考えられる (宇井, 1967).稲倉ほか (2014) によれば,この噴火では黒色スコリアが弾道放出物として給源から放出され,池崎サージ堆積物・降下火山灰堆積物にサグ構造を形成した.

分布
カルデラから東北東に伸びる分布軸をもち,大隅半島まで狭い幅で分布する.
噴出量

見かけ0.16 km3

DRE [km3]
0.064
VEI
4
噴出量文献

稲倉ほか (2014)

岩質
玄武岩, 玄武岩質安山岩, 安山岩
岩相

池崎サージ堆積物・降下火山灰堆積物を直接覆う降下スコリア堆積物である (稲倉ほか, 2014).薩摩半島の中で分布軸に近い地点では層厚が10 cmを超えるが,分布軸を離れるにつれ層厚は急激に減少する (稲倉ほか, 2014).カルデラ近傍では弾道噴出物と考えられる大型のスコリア礫が,下位の池崎サージ堆積物・降下火山灰堆積物中にサグ構造をつくる.サグ構造をつくるスコリアの粒径は,カルデラ北東の幸屋の露頭で10 cmほどである (稲倉ほか, 2014)

全岩化学組成 (SiO2)
51-64 wt.% (稲倉, 2015)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

尾下降下スコリア堆積物の等層厚線図.等層厚線は稲倉ほか (2014) を元に作成.
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尾下降下スコリア堆積物の分布 (稲倉ほか, 2014) ©日本火山学会


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Ik-Os の弾道噴出物によるサグ構造 (稲倉ほか, 2014) ©日本火山学会


文献

稲倉寛仁 (2015) 南九州,池田カルデラの噴火史とマグマ供給系. 学位論文http://hdl.handle.net/10232/24435

稲倉寛仁・成尾英仁・奥野 充・小林哲夫 (2014) 南九州,池田火山の噴火史. 火山, 59, 255-268. https://doi.org/10.18940/kazan.59.4_255

成尾英仁・小林哲夫 (1984) 70. 池田カルデラ形成時の降下火砕物 (日本火山学会1984年度春季大会講演要旨). 火山, 28, 148. https://doi.org/10.18940/kazanc.29.2_148_2

奥野 充 (2002) 南九州に分布する最近約3万年間のテフラの年代学的研究. 第四紀研究, 41, 225-236. https://doi.org/10.4116/jaqua.41.225

奥野 充・成尾英仁・中村俊夫・小林哲夫 (1996) 南九州, 池田湖テフラ層に関連する試料の加速器14C年代. 名古屋大学古川総合研究資料館報告, 12, 49-55. https://ci.nii.ac.jp/naid/110000520644/

宇井忠英 (1967) 鹿児島県指宿地方の地質. 地質雑, 73, 477-490. https://doi.org/10.5575/geosoc.73.477

注釈

*DRE換算は,溶岩と火砕物の密度をそれぞれ2.5 g/cm3, 1.0 g/cm3と仮定し算出した.

池田カルデラ形成噴火

Ikeda Caldera-forming Eruption
年代: 6.5 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 奥野 (2002) 14C年代* 以下の値を暦年較正した値 (5750±30 yr BP, 成尾・小林, 1984; 5500〜5700 yr BP, 奥野ほか, 1996)
噴出源: 池田カルデラ

総噴出量: 見かけ体積 5.0 km3

池崎サージ堆積物・降下火山灰

いけざきさーじたいせきぶつ・こうかかざばいたいせきぶつ
Ikezaki Surge Deposit, Ikezaki Tephra Fall Deposit
名称出典: 成尾・小林 (1980)
別名・呼称: Ik-Ikz (稲倉ほか,2014)
噴火推移・概要: 水蒸気噴火→マグマ水蒸気噴火 (ベースサージ)→プリニー式噴火→マグマ水蒸気噴火→プリニー式噴火→大規模火砕流の発生

池田カルデラ形成噴火は,6.4 cal kBP (成尾・小林, 1984; 奥野ほか, 1996) に開始し,初めに池崎サージ堆積物・降下火山灰堆積物 (Ik-Ikz) を噴出した (稲倉ほか, 2014).本噴火は,細粒火山灰を降らせたた小規模水蒸気爆発から始まり,次第に火山礫サイズの岩片を噴出するようなフェーズに移行し,最後にベースサージが発生した (稲倉ほか, 2014).これまでの一連のフェーズは,本質物質が認められない水蒸気噴火である.

分布
カルデラから東方に伸びる分布軸をもち,大隅半島まで楕円状に分布する.
噴出量

見かけ0.03 km3

DRE [km3]
0.012
VEI
3
噴出量文献

稲倉ほか (2014)

岩相

明瞭な内部構造を示さない塊状の降下火山灰堆積物と,クロスラミナが発達し,層厚変化が顕著なサージ堆積物からなり,古土壌を挟んでK-Ahを覆う (稲倉ほか, 2014).サージ堆積物は層厚が増した地点で認められる (稲倉ほか, 2014).カルデラ北東部の清見岳より北東2 km地点の水迫では,細粒〜中粒火山灰のサージ堆積物の下位に,降下火山灰層が2層認められる.降下火山灰層は下位から橙褐色細粒火山灰の薄層,直径1 cm前後の火山岩亜円礫〜亜角礫を多く含む粗粒火山灰層からなる (稲倉ほか, 2014).

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

池崎降下火山灰堆積物の等層厚線図.等層厚線は稲倉ほか (2014) を元に作成.
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池崎降下火山灰堆積物の分布 (稲倉ほか, 2014) ©日本火山学会


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池崎降下火山灰堆積物の産状. 3つのユニットに分かれる (稲倉ほか, 2014) ©日本火山学会


文献

稲倉寛仁・成尾英仁・奥野 充・小林哲夫 (2014) 南九州,池田火山の噴火史. 火山, 59, 255-268. https://doi.org/10.18940/kazan.59.4_255

成尾英仁・小林哲夫 (1984) 70. 池田カルデラ形成時の降下火砕物 (日本火山学会1984年度春季大会講演要旨). 火山, 28, 148. https://doi.org/10.18940/kazanc.29.2_148_2

奥野 充 (2002) 南九州に分布する最近約3万年間のテフラの年代学的研究. 第四紀研究, 41, 225-236. https://doi.org/10.4116/jaqua.41.225

奥野 充・成尾英仁・中村俊夫・小林哲夫 (1996) 南九州, 池田湖テフラ層に関連する試料の加速器14C年代. 名古屋大学古川総合研究資料館報告, 12, 49-55. https://ci.nii.ac.jp/naid/110000520644/

注釈

*DRE換算は,溶岩と火砕物の密度をそれぞれ2.5 g/cm3, 1.0 g/cm3と仮定し算出した.

短期的前駆活動

なし

長期的前駆活動

仙田噴火

Senta Eruption
年代: 約20 cal ka
年代手法: 層序
年代文献: 稲倉ほか (2014)
噴出源: 池田カルデラ

総噴出量: -

仙田溶岩

せんたようがん
Senta Lava
名称出典: 宇井 (1967)
別名・呼称: St-L (稲倉ほか,2014)
噴火推移・概要: 溶岩流

岩本降下火山灰堆積物との層位関係は不明であるが,両者ともに角閃石を含み,層準もほぼ一致することから,仙田溶岩の噴出に伴い,岩本降下火山灰が噴出した可能性が高いとされる (稲倉ほか, 2014).

分布
本溶岩は,上位の噴出物に直接厚く覆われており,露出が断片的で全体の広がりや構造は詳しくはわからないが,西側に緩く傾斜する後期更新世の上野溶岩 (宇井, 1967) の上面と不調和に南西側に張り出した開聞町上仙田付近の台地を構成すると考えられる.層厚は30 m以上と推定される (川辺・阪口, 2005).
岩質
デイサイト
岩相

デイサイト質溶岩である.灰色を呈し,緻密かつ均質で,角閃石を特徴的に含む (稲倉ほか, 2014).露頭の大半はIk-Pflに直接覆われているが,池田カルデラ南西縁付近の露頭では古土壌を挟んで鬼界アカホヤテフラ (K-Ah; 町田・新井, 1978) に覆われる (稲倉ほか, 2014).

全岩化学組成 (SiO2)
70-71 wt.% (稲倉, 2015)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

稲倉寛仁・成尾英仁・奥野 充・小林哲夫 (2014) 南九州,池田火山の噴火史. 火山, 59, 255-268. https://doi.org/10.18940/kazan.59.4_255

川辺禎久・阪口圭一 (2005) 開聞岳地域の地質. 地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅).産総研地質調査総合センター, 82p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_15100_2005_D.pdf

町田 洋・新井房夫 (1978) 南九州鬼界カルデラから噴出した広域テフラ-アカホヤ火山灰.第四紀研究, 17, 143-163. https://doi.org/10.4116/jaqua.17.143

宇井忠英 (1967) 鹿児島県指宿地方の地質. 地質雑, 73, 477-490. https://doi.org/10.5575/geosoc.73.477

岩本火山灰噴火

Iwamoto Ash Eruption
年代: 約20 cal ka
年代手法: 層序
年代文献: 稲倉ほか (2014)
噴出源: 池田カルデラ

総噴出量: -

岩本降下火山灰

いわもとかざんばい
Iwamoto Ash
名称出典: 成尾 (1992)
別名・呼称: Iw (成尾, 1992)
噴火推移・概要: 火砕噴火

池田火山の活動は大規模火砕噴火が発生する1万年以上前 (約20 cal kBP) に開始し,岩本降下火山灰堆積物 (Iw; 成尾, 1992) を噴出した (稲倉ほか, 2014).仙田溶岩との層位関係は不明であるが,両者ともに角閃石を含み,層準もほぼ一致することから,岩本降下火山灰は仙田溶岩の噴出に伴うテフラの可能性が高いとされる (稲倉ほか, 2014).

分布
鹿児島湾周辺に薄く広く分布する (稲倉ほか, 2014).
岩質
デイサイト
岩相

角閃石を特徴的に含む軽石質降下火山灰層で,その他に火山ガラス,黒曜岩片,風化岩片,両輝石,斜長石も含まれる (稲倉ほか, 2014).細粒火山灰を主とする下部と軽石と風化岩片,黒曜石岩片を含む細粒火山灰層の上部に二分できる (成尾, 2001).給源と考えられる池田カルデラ付近では粗粒で層厚も増す (稲倉ほか, 2014).

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

水迫遺跡における岩本降下火山灰堆積物,桜島薩摩テフラ,鬼界アカホヤテフラの露頭写真 (稲倉ほか, 2014) ©日本火山学会


文献

稲倉寛仁・成尾英仁・奥野 充・小林哲夫 (2014) 南九州,池田火山の噴火史. 火山, 59, 255-268. https://doi.org/10.18940/kazan.59.4_255

成尾英仁 (1992) 西丸尾遺跡の地質と火山噴出物. 鹿児島県埋蔵文化財発掘調査報告書(64), 鹿児島県教育委員会, 243-252.

成尾英仁 (2001) 鹿児島県指宿市水迫遺跡のテフラとそれに関連したイベント.鹿児島県立博物館研究報告, 20, 1-13.

引用文献

稲倉寛仁 (2015) 南九州,池田カルデラの噴火史とマグマ供給系. 学位論文 http://hdl.handle.net/10232/24435

稲倉寛仁・成尾英仁・奥野 充・小林哲夫 (2014) 南九州,池田火山の噴火史. 火山, 59, 255-268. https://doi.org/10.18940/kazan.59.4_255

岩倉雅治・鎌田桂子・小林哲夫 (2001) 粒度分布と構成物量比からみた池田火砕流の堆積機構. 火山, 46, 117-120. https://doi.org/10.18940/kazan.46.3_117

川辺禎久・阪口圭一 (2005) 開聞岳地域の地質. 地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅).産総研地質調査総合センター, 82p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_15100_2005_D.pdf

小林哲夫・成尾英仁 (1983) 池田カルデラの火山活動と地盤変動. 九州の基盤と陥没構造研究報告, 文部省科学研究費総合研究 (A), 2, p. 84-87.

小林哲夫・山本英司・成尾英仁 (1983) 南薩地域(坊之津・指宿)の地質. 日本地質学会第90年学術大会巡検案内書, 日本地質学会, p.81-93.

町田 洋・新井房夫 (1978) 南九州鬼界カルデラから噴出した広域テフラ-アカホヤ火山灰.第四紀研究, 17, 143-163. https://doi.org/10.4116/jaqua.17.143

成尾英仁 (1992) 西丸尾遺跡の地質と火山噴出物. 鹿児島県埋蔵文化財発掘調査報告書(64), 鹿児島県教育委員会, 243-252.

成尾英仁 (2001) 鹿児島県指宿市水迫遺跡のテフラとそれに関連したイベント.鹿児島県立博物館研究報告, 20, 1-13.

成尾英仁・小林哲夫 (1980) 池田カルデラの火山活動史. 火山, 25, p.306. https://doi.org/10.18940/kazanc.25.4_306_1

成尾英仁・小林哲夫 (1984) 70. 池田カルデラ形成時の降下火砕物 (日本火山学会1984年度春季大会講演要旨). 火山, 28, 148. https://doi.org/10.18940/kazanc.29.2_148_2

成尾英仁・小林哲夫 (1995) 噴火によって生じたクラスティックダイク. 鹿児島大学理学部紀要 (地学・生物学), 28, 111-122. http://hdl.handle.net/10232/6042

奥野 充 (2002) 南九州に分布する最近約3万年間のテフラの年代学的研究. 第四紀研究, 41, 225-236. https://doi.org/10.4116/jaqua.41.225

奥野 充・小林哲夫 (1991) 鍋島岳火山の地質. 鹿児島大理紀要 (地学・生物学), 24, 23-35. http://hdl.handle.net/10232/5990

奥野 充・小林哲夫・中村俊夫 (1993) 南九州,鍋島岳他フラ層中の炭化木片の加速器14C年代. 火山, 38, 91-94. https://doi.org/10.18940/kazan.38.3_91

奥野 充・成尾英仁・中村俊夫・小林哲夫 (1996) 南九州, 池田湖テフラ層に関連する試料の加速器14C年代. 名古屋大学古川総合研究資料館報告, 12, 49-55. https://ci.nii.ac.jp/naid/110000520644/

大田良平 (1966) 鹿児島県指宿地方地質調査報告. 地質調査月報, 17, 1-11.

宇井忠英 (1967) 鹿児島県指宿地方の地質. 地質雑, 73, 477-490. https://doi.org/10.5575/geosoc.73.477