Version 1.0.13

摩周カルデラ 屈斜路カルデラ 支笏カルデラ 洞爺カルデラ 濁川カルデラ 十和田カルデラ 姶良カルデラ 阿多カルデラ 池田カルデラ 鬼界カルデラ 三瓶山
火山の位置(厳密なカルデラ・火口の位置を示すものではない)

主要な活動

摩周カルデラの層序概念図
図の詳細に関しては【こちら】
摩周カルデラの噴火時系列図.横軸は年代(ka),縦軸およびバブルの大きさ・色は構成要素のVEIに対応する.
図の詳細に関しては【こちら】
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各噴出物の噴出量と噴出年代. (a)アトサヌプリ・中島火山, (b)摩周火山 (長谷川ほか,2009) ©日本地質学会

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テフラ層の露頭写真 (長谷川ほか,2009) ©日本地質学会.

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根釧地域と斜里地域のテフラ対比 (長谷川ほか,2009) ©日本地質学会

後カルデラ火山活動

Ma-b噴火

Ma-b Eruption
年代: ca. 1 ka
年代手法: 層序
年代文献: 層序より推定*
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 4.6 km3*Ma-b6を除く

摩周降下火砕堆積物b

ましゅうこうかかさいたいせきぶつb
Mashu Pyroclastic Fall Deposit-b
名称出典: 岸本ほか (2009)
別名・呼称: Ma-b (勝井, 1962),MIVa (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火・プリニー式噴火

マグマ水蒸気噴火とプリニー式噴火が交互に発生し,細粒火山灰・降下軽石を堆積させた.

分布
サブユニットごとに,分布主軸が異なる (Katsui et al., 1975).Ma-b5, -b4, -b3, -b2, -b1は,それぞれ北,南東,西,南東,西方に分布主軸をもつ (岸本ほか, 2009).
噴出量

見かけ体積 4.6 km3*Ma-b6を除く

DRE [km3]
1.84
VEI
5
噴出量文献

岸本ほか (2009)

岩質
デイサイト (岸本ほか, 2009)
岩相

青灰色火山灰と降下軽石の互層からなる降下火砕堆積物である.本層は,層相から6つのサブユニットに細分される (下位から,Ma-b6, -b5, -b4, -b3, -b2, -b1; 岸本ほか, 2009).Ma-b6, -b4, -b2が降下火山灰堆積物,Ma-b5, -b3, -b1が降下軽石堆積物である.降下火山灰堆積物 (Ma-b6, -b4, -b2) は,青灰色から灰褐色を呈する細粒〜粗粒砂サイズの火山灰である.鋭利でフレーク状の破断面を有する岩片や火山豆石を含む (岸本ほか, 2009).降下軽石層 (Ma-b5, -b3, -b1) は,主に白色軽石からなるが,最も規模の大きなMa-b5では,発泡の悪い縞状軽石を稀に含む.

全岩化学組成 (SiO2)
67.9 wt.% (岸本ほか, 2009)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

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摩周テフラの総合柱状図 (岸本ほか,2009) ©日本火山学会


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カルデラ形成期から中央火口丘形成期に噴出したテフラの層序(岸本ほか, 2009) ©日本火山学会


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摩周火山中央火口丘形成期に噴出した降下火砕物の等層厚線図 (勝井ほか, 1986) ©北海道防災会議


文献

勝井義雄 (1962) 5万分の1地質図幅「屈斜路湖」および同説明書.北海道開発庁, 42p https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/01/01_060.htm

Katsui, Y., Ando, S. and Inaba, K. (1975) Formation and magmatic evolution of Mashu volcano, East Hokkaido, Japan. Jour. Fac. Sci., Hokkaido Univ. Ser. IV, 16, 533-552. http://hdl.handle.net/2115/36041

勝井義雄・横山 泉・岡田 弘・西田泰典・松本佳久・川上則明 (1986) アトサヌプリ摩周(カムイヌプリ)-火山地質・噴火史・活動の現況および防災対策-.北海道防災会議, 104p

岸本博志・長谷川健・中川光弘・和田恵治 (2009) 最近約1万4千年間の摩周火山のテフラ層序と噴火様式.火山, 54, 14-36. https://doi.org/10.18940/kazan.54.1_15

Oppenheimer, C., Wacker, L., Xu, J., Galván, J.D., Stoffel, M., Guillet, S., Corona, C., Sigl, M., Cosmo, N.D., Hajdas, I., Pan, B., Breuker, R., Schneider, L., Esper, J., Fei, J., Hammond, J.O.S. and Büntgen, U. (2017) Multi-proxy dating the “Millennium Eruption” of Changbaishan to late 946 CE. Quat. Sci. Rev., 158, 164–171. https://doi.org/10.1016/j.quascirev.2016.12.024

庄司貞雄・増井淳一 (1974) 北海道川上郡標茶町のカムイヌプリ岳火山灰土壌の14C年代.地球科学, 28, 101. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.28.3_101

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

注釈

*噴火年代は,本噴出物の直下に白頭山-苫小牧テフラ (946 AD; Oppenheimer et al., 2017)が,上位に土壌 (0.7-1.1 cal ka; 庄子・松井, 1974の値を暦年較正) が認められることから1 cal ka頃だと推定した.*DRE換算は,溶岩と火砕物の密度をそれぞれ2.5 g/cm3, 1.0 g/cm3と仮定し算出した.

Ma-c1噴火

Ma-c1 Eruption
年代: 1.7±0.1 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 庄子・増井 (1974) の値を暦年較正
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 0.005 km3

摩周降下火山灰堆積物c1

ましゅうこうかかざんばいたいせきぶつc1
Mashu Ash Fall Deposit-c1
名称出典: 宮田ほか (1988)
別名・呼称: M. Km-b (瀬尾ほか, 1963), Ma-c (勝井, 1962), M.c1 (山田, 1958),MIVb (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火

マグマ水蒸気噴火が発生した.

分布
摩周火山東方に分布する (岸本ほか, 2009).
噴出量

見かけ体積 0.005 km3

DRE [km3]
0.002
VEI
2
噴出量文献

岸本ほか (2009)

岩相

灰褐色を呈し,中粒砂〜粗粒砂サイズの石質岩片および遊離結晶からなる降下火山灰堆積物である (岸本ほか, 2009).含まれる石質岩片は,多い順に,白色・褐色変質岩片,黒色安山岩片,灰色デイサイト質岩片である.

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

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中央火口丘形成期に噴出したMa-c1テフラの分布 (岸本ほか, 2009) ©日本火山学会


文献

勝井義雄 (1962) 5万分の1地質図幅「屈斜路湖」および同説明書.北海道開発庁, 42p https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/01/01_060.htm

岸本博志・長谷川健・中川光弘・和田恵治 (2009) 最近約1万4千年間の摩周火山のテフラ層序と噴火様式.火山, 54, 14-36. https://doi.org/10.18940/kazan.54.1_15

宮田雄一郎・山口昇一・矢崎清貫 (1988) 計根別地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅), 地質調査所, 77p. https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/02/02_010.htm

瀬尾春雄・佐々木龍男・富岡悦郎・後藤計二・片山雅弘・天野洋司 (1963) 主としてカムイヌプリ岳火山灰の分布について.北海道農業試験場土性調査報告, 13, 160-197.

庄司貞雄・増井淳一 (1974) 北海道川上郡標茶町のカムイヌプリ岳火山灰土壌の14C年代.地球科学, 28, 101. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.28.3_101

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

山田 忍 (1958) 火山噴出物の堆積状態から見た沖積世における北海道火山の火山活動に関する研究.地団研専報, 8, 40p.

注釈

*DRE換算は,溶岩と火砕物の密度をそれぞれ2.5 g/cm3, 1.0 g/cm3と仮定し算出した.

Ma-c2噴火

Ma-c2 Eruption
年代: 2.5-1.6 ka
年代手法: 層序
年代文献: 層序より推定*
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 0.02 km3

摩周降下火山灰堆積物c2

ましゅうこうかかざんばいたいせきぶつc2
Mashu Ash Fall Deposit-c2
名称出典: 宮田ほか (1988)
別名・呼称: M. Km-c (瀬尾ほか, 1963), Ma-c (勝井, 1962), M.c2 (山田, 1958),MIVb (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火

マグマ水蒸気噴火が発生した.

分布
主にカムイヌプリ南東方約10 kmに分布する(岸本ほか, 2009).
噴出量

見かけ体積 0.02 km3

DRE [km3]
0.008
VEI
3
噴出量文献

岸本ほか (2009)

岩相

青灰色〜灰色を呈し,中粒砂〜粗粒砂サイズの石質岩片および遊離結晶を含む降下火山灰堆積物である.

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

中央火口丘形成期に噴出したMa-c2テフラの分布 (岸本ほか, 2009) ©日本火山学会


文献

古川竜太・中川光弘・古堅千絵・吉本充宏 (2006) 樽前火山先史時代の噴火活動.月刊地球, 28, 302-307.

勝井義雄 (1962) 5万分の1地質図幅「屈斜路湖」および同説明書.北海道開発庁, 42p https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/01/01_060.htm

片山雅弘・佐々木龍男・富岡悦郎・天野洋司 (1983) 釧路支庁土壌調査報告.北海道農業試験場土壌調査報告, 28, 259p.

岸本博志・長谷川健・中川光弘・和田恵治 (2009) 最近約1万4千年間の摩周火山のテフラ層序と噴火様式.火山, 54, 14-36. https://doi.org/10.18940/kazan.54.1_15

宮田雄一郎・山口昇一・矢崎清貫 (1988) 計根別地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅), 地質調査所, 77p. https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/02/02_010.htm

瀬尾春雄・佐々木龍男・富岡悦郎・後藤計二・片山雅弘・天野洋司 (1963) 主としてカムイヌプリ岳火山灰の分布について.北海道農業試験場土性調査報告, 13, 160-197.

庄司貞雄・増井淳一 (1974) 北海道川上郡標茶町のカムイヌプリ岳火山灰土壌の14C年代.地球科学, 28, 101. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.28.3_101

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

徳井由美 (1988) 道東地域における樽前C火山灰の分布.日本第四紀学会講演要旨集, 18, 182-183.

山田 忍 (1958) 火山噴出物の堆積状態から見た沖積世における北海道火山の火山活動に関する研究.地団研専報, 8, 40p.

注釈

*噴火年代は,本噴出物がMa-c1の下位に,樽前山起源のTa-c1およびTa-c2 (約2.5 ka: 古川ほか, 2006) に対比される (徳井, 1988) 矢臼別層の上位 (宮田, 1988; 片山ほか, 1983; 瀬尾ほか, 1963) に認められる事から推定.*DRE換算は,溶岩と火砕物の密度をそれぞれ2.5 g/cm3, 1.0 g/cm3と仮定し算出した.

Ma-c3噴火

Ma-c3 Eruption
年代: 2.5-1.6 ka
年代手法: 層序
年代文献: 層序より推定*
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 0.26 km3

摩周降下火山灰堆積物c3

ましゅうこうかかざんばいたいせきぶつc3
Mashu Ash Fall Deposit-c3
名称出典: 宮田ほか (1988)
別名・呼称: M. Km-d (瀬尾ほか, 1963), Ma-c (勝井, 1962), M.c3 (山田, 1958),MIVb (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火

マグマ水蒸気噴火が発生した.

分布
カムイヌプリ周辺約20 kmに分布する(岸本ほか, 2009).
噴出量

見かけ体積 0.26 km3

DRE [km3]
0.104
VEI
4
噴出量文献

岸本ほか (2009)

岩相

中粒砂〜粗粒砂サイズの石質岩片および遊離結晶を含む降下火山灰堆積物である.本層は,主に暗灰色であるが,中部は青灰色を示す.Ma-c3の下部は,葉理構造が認められるほか,火山豆石を含み,安山岩・変質岩片が卓越する.

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

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中央火口丘形成期に噴出したMa-c3テフラの分布 (岸本ほか, 2009) ©日本火山学会


文献

古川竜太・中川光弘・古堅千絵・吉本充宏 (2006) 樽前火山先史時代の噴火活動.月刊地球, 28, 302-307.

勝井義雄 (1962) 5万分の1地質図幅「屈斜路湖」および同説明書.北海道開発庁, 42p https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/01/01_060.htm

片山雅弘・佐々木龍男・富岡悦郎・天野洋司 (1983) 釧路支庁土壌調査報告.北海道農業試験場土壌調査報告, 28, 259p.

岸本博志・長谷川健・中川光弘・和田恵治 (2009) 最近約1万4千年間の摩周火山のテフラ層序と噴火様式.火山, 54, 14-36. https://doi.org/10.18940/kazan.54.1_15

宮田雄一郎・山口昇一・矢崎清貫 (1988) 計根別地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅), 地質調査所, 77p. https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/02/02_010.htm

瀬尾春雄・佐々木龍男・富岡悦郎・後藤計二・片山雅弘・天野洋司 (1963) 主としてカムイヌプリ岳火山灰の分布について.北海道農業試験場土性調査報告, 13, 160-197.

庄司貞雄・増井淳一 (1974) 北海道川上郡標茶町のカムイヌプリ岳火山灰土壌の14C年代.地球科学, 28, 101. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.28.3_101

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

徳井由美 (1988) 道東地域における樽前C火山灰の分布.日本第四紀学会講演要旨集, 18, 182-183.

山田 忍 (1958) 火山噴出物の堆積状態から見た沖積世における北海道火山の火山活動に関する研究.地団研専報, 8, 40p.

注釈

*噴火年代は,本噴出物がMa-c1の下位に,樽前山起源のTa-c1およびTa-c2 (約2.5 ka: 古川ほか, 2006) に対比される (徳井, 1988) 矢臼別層の上位 (宮田, 1988; 片山ほか, 1983; 瀬尾ほか, 1963) に認められる事から推定.*DRE換算は,溶岩と火砕物の密度をそれぞれ2.5 g/cm3, 1.0 g/cm3と仮定し算出した.

Ma-c4噴火

Ma-c4 Eruption
年代: 2.5-1.6 ka
年代手法: 層序
年代文献: 層序より推定*
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 0.21 km3

摩周降下火山灰堆積物c4

ましゅうこうかかざんばいたいせきぶつc4
Mashu Ash Fall Deposit-c4
名称出典: 宮田ほか (1988)
別名・呼称: M. Km-e (瀬尾ほか, 1963), Ma-c (勝井, 1962),MIVb (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火

マグマ水蒸気噴火が発生した.

分布
カムイヌプリ周辺約15 km,特に南東方に分布する (岸本ほか, 2009).
噴出量

見かけ体積 0.21 km3

DRE [km3]
0.084
VEI
4
噴出量文献

岸本ほか (2009)

岩相

青灰色〜灰褐色呈する,中粒砂〜細礫サイズの石質岩片および遊離結晶からなる降下火山灰堆積物である.本堆積物の下部には,葉理構造が発達するほか,火山豆石を含む.石質岩片種は,多い順から灰色輝石デイサイト,黒色安山岩,白色・褐色の変質岩片および黒曜岩である.黒曜岩は下部に,灰色輝石デイサイトは上部に,多く認められる.

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

中央火口丘形成期に噴出したMa-c4テフラの分布 (岸本ほか, 2009) ©日本火山学会


文献

古川竜太・中川光弘・古堅千絵・吉本充宏 (2006) 樽前火山先史時代の噴火活動.月刊地球, 28, 302-307.

勝井義雄 (1962) 5万分の1地質図幅「屈斜路湖」および同説明書.北海道開発庁, 42p https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/01/01_060.htm

片山雅弘・佐々木龍男・富岡悦郎・天野洋司 (1983) 釧路支庁土壌調査報告.北海道農業試験場土壌調査報告, 28, 259p.

岸本博志・長谷川健・中川光弘・和田恵治 (2009) 最近約1万4千年間の摩周火山のテフラ層序と噴火様式.火山, 54, 14-36. https://doi.org/10.18940/kazan.54.1_15

宮田雄一郎・山口昇一・矢崎清貫 (1988) 計根別地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅), 地質調査所, 77p. https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/02/02_010.htm

瀬尾春雄・佐々木龍男・富岡悦郎・後藤計二・片山雅弘・天野洋司 (1963) 主としてカムイヌプリ岳火山灰の分布について.北海道農業試験場土性調査報告, 13, 160-197.

庄司貞雄・増井淳一 (1974) 北海道川上郡標茶町のカムイヌプリ岳火山灰土壌の14C年代.地球科学, 28, 101. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.28.3_101

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

徳井由美 (1988) 道東地域における樽前C火山灰の分布.日本第四紀学会講演要旨集, 18, 182-183.

注釈

*噴火年代は,本噴出物がMa-c1の下位に,樽前山起源のTa-c1およびTa-c2 (約2.5 ka: 古川ほか, 2006) に対比される (徳井, 1988) 矢臼別層の上位 (宮田, 1988; 片山ほか, 1983; 瀬尾ほか, 1963) に認められる事から推定.*DRE換算は,溶岩と火砕物の密度をそれぞれ2.5 g/cm3, 1.0 g/cm3と仮定し算出した.

Ma-d噴火

Ma-d Eruption
年代: 4.0 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 山元ほか (2010)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 0.32 km3 *Ma-d0を除く

摩周火砕堆積物d

ましゅうかさいたいせきぶつd
Mashu Pyroclastic Deposit-d
名称出典: 岸本ほか (2009)
別名・呼称: Ma-d (勝井, 1962),MIVc (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火→プリニー式噴火・火砕流

マグマ水蒸気噴火から始まり,その後プリニー式噴火と噴煙柱崩壊による火砕流を交互に発生させた.

分布
カムイヌプリ中央火口丘南東方に分布軸をもつ (岸本ほか, 2009).
噴出量

見かけ体積 0.32 km3 *Ma-d0を除く

DRE [km3]
0.128
VEI
4
噴出量文献

岸本ほか (2009)

岩質
デイサイト (岸本ほか, 2009)
岩相

構成物,層相の違いにより5つのサブユニットに区分される火砕堆積物である (下位からMa-d2, Ma-d1, Ma-d0-fl2, Ma-d0-fa, Ma-d0-fl1).

Ma-d2は,青灰色〜灰褐色を呈する粗粒砂〜細礫サイズの降下火山灰堆積物である.粒径や色調の異なる成層した数十枚の薄層からなる.構成物は,主に灰色輝石デイサイトと赤褐色の変質岩片であり,少量の火山豆石を含む.

Ma-d1は,上方粗粒化を示す降下軽石堆積物である.主な構成物である白色軽石は,やや風化変質し褐色化している.黒色安山岩片を下部で多く含む.

Ma-d0-fl2は,淘汰の悪い塊状の火砕流堆積物である.基質火山灰中に白色軽石が散在する.

Ma-d0-faは,白色軽石の降下軽石堆積物である.

Ma-d0-fl1は,Ma-d0-fl2に類似の層相を示す火砕流堆積物である.Ma-d0-fl2と比べ,白色軽石はより粗粒で上方粗粒化が認められる.本層の下部には,細粒の石質岩片が濃集する.

全岩化学組成 (SiO2)
64.8 wt.% (岸本ほか, 2009)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

中央火口丘形成期に噴出したMa-d1-d2テフラの分布 (岸本ほか, 2009) ©日本火山学会


文献

勝井義雄 (1962) 5万分の1地質図幅「屈斜路湖」および同説明書.北海道開発庁, 42p https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/01/01_060.htm

岸本博志・長谷川健・中川光弘・和田恵治 (2009) 最近約1万4千年間の摩周火山のテフラ層序と噴火様式.火山, 54, 14-36. https://doi.org/10.18940/kazan.54.1_15

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

注釈

*DRE換算は,溶岩と火砕物の密度をそれぞれ2.5 g/cm3, 1.0 g/cm3と仮定し算出した.

Ma-e'噴火

Ma-e' Eruption
年代: 5.5-4.0 ka
年代手法: 層序
年代文献: 上下の噴出物より制約
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 0.01 km3

摩周降下火山灰堆積物e'

ましゅうこうかかざんばいたいせきぶつe'
Mashu Ash Fall Deposit-e'
名称出典: 岸本ほか (2009)
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火

マグマ水蒸気噴火が発生した.

分布
摩周火山東方に分布する (岸本ほか, 2009).
噴出量

見かけ体積 0.01 km3

DRE [km3]
0.004
VEI
3
噴出量文献

岸本ほか (2009)

岩相

青灰色〜褐灰色を呈する降下火山灰堆積物である.淘汰の良がよく,マントルベッディングする (岸本ほか, 2009).

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

中央火口丘形成期に噴出したMa-e'テフラの分布 (岸本ほか, 2009) ©日本火山学会


文献

岸本博志・長谷川健・中川光弘・和田恵治 (2009) 最近約1万4千年間の摩周火山のテフラ層序と噴火様式.火山, 54, 14-36. https://doi.org/10.18940/kazan.54.1_15

注釈

*DRE換算は,溶岩と火砕物の密度をそれぞれ2.5 g/cm3, 1.0 g/cm3と仮定し算出した.

Ma-e噴火

Ma-e Eruption
年代: 5.5 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 山元ほか (2010)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 0.27 km3 *Ma-e1を除く

摩周火砕堆積物e

ましゅうかさいたいせきぶつe
Mashu Pyroclastic Deposit-e
名称出典: 岸本ほか (2009)
別名・呼称: Ma-e (勝井, 1962),MIVd (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火→火砕流

マグマ水蒸気噴火が発生した.噴煙柱が不安定化し端から火砕流が発生した.

分布
摩周火山周辺約10〜20 kmの範囲に分布する.Ma-e3は南東に,Ma-e2は北に分布主軸をもつ (岸本ほか, 2009).
噴出量

見かけ体積 0.27 km3 *Ma-e1を除く

DRE [km3]
0.108
VEI
4
噴出量文献

岸本ほか (2009)

岩相

青灰色〜褐灰色の粗粒砂サイズの火砕堆積物である.堆積構造の異なる3つのサブユニットからなる (下位よりMa-e3, e2, e1; 岸本ほか, 2009).

Ma-e3は,青灰色を呈する粗粒砂サイズの降下火山灰堆積物である.成層構造を示す.火山豆石が認められる.

Ma-e2は,明灰色〜灰褐色を呈する無層理な粗粒砂サイズの降下火山灰堆積物である.

Ma-e1は,塊状無層理で淘汰の悪い火砕堆積物である.極細粒砂〜粗粒砂サイズの火山灰を基質にもち, 円磨された白色軽石・石質岩片を含む.

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

中央火口丘形成期に噴出したMa-e2-e3テフラの分布 (岸本ほか, 2009) ©日本火山学会


文献

勝井義雄 (1962) 5万分の1地質図幅「屈斜路湖」および同説明書.北海道開発庁, 42p https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/01/01_060.htm

岸本博志・長谷川健・中川光弘・和田恵治 (2009) 最近約1万4千年間の摩周火山のテフラ層序と噴火様式.火山, 54, 14-36. https://doi.org/10.18940/kazan.54.1_15

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

注釈

*DRE換算は,溶岩と火砕物の密度をそれぞれ2.5 g/cm3, 1.0 g/cm3と仮定し算出した.

カムイヌプリ第2期溶岩噴火

Kamuinupuri 2nd Stage Lava Eruption
年代: 5.4-1.6 ka
年代手法: 層序?
年代文献: 勝井ほか (1986)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 24.72 km3*カムイヌプリ第1期溶岩と合せた体積

カムイヌプリ第2期溶岩

かむいぬぷりだいにきようがん
Kamuinupuri 2nd Stage lava
名称出典: Katsui et al. (1975)
噴火推移・概要: 溶岩流

溶岩流が流出した.

分布
カムイヌプリ火山の火口北壁上部から北麓にかけて分布する (勝井, 1955).
岩質
デイサイト, 流紋岩 (Katsui et al., 1975)
岩相

極めて斑晶に乏しい溶岩流である (勝井, 1955; Katsui et al., 1975).

全岩化学組成 (SiO2)
69.7 wt.% (Katsui et al., 1975)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

第四紀火山カタログ委員会 (1999) 第四紀火山カタログ.

勝井義雄 (1955) 摩周火山の地質と岩石.地質雑, 61, 481-495. https://doi.org/10.5575/geosoc.61.481

Katsui, Y., Ando, S. and Inaba, K. (1975) Formation and magmatic evolution of Mashu volcano, East Hokkaido, Japan. Jour. Fac. Sci., Hokkaido Univ. Ser. IV, 16, 533-552. http://hdl.handle.net/2115/36041

勝井義雄・横山 泉・岡田 弘・西田泰典・松本佳久・川上則明 (1986) アトサヌプリ摩周(カムイヌプリ)-火山地質・噴火史・活動の現況および防災対策-.北海道防災会議, 104p

山元孝広 (2015) 日本の主要第四紀火山の積算マグマ噴出量階段図.地質調査総合センター研究資料集, no.613, 産総研地質調査総合センター.https://www.gsj.jp/researches/openfile/openfile2014/openfile0613.html

カムイヌプリ第1期溶岩噴火

Kamuinupuri 1st Stage Lava Eruption
年代: 5.4-1.6 ka
年代手法: 層序?
年代文献: 勝井ほか (1986)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 24.72 km3*カムイヌプリ第2期溶岩と合せた体積

カムイヌプリ第1期溶岩

かむいぬぷりだいいっきようがん
Kamuinupuri 1st Stage lava
名称出典: Katsui et al. (1975)
噴火推移・概要: 溶岩流

溶岩流が流出した.

分布
カムイヌプリ火山の火口北壁中部から北西麓にかけて分布する (勝井, 1955).
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

第四紀火山カタログ委員会 (1999) 第四紀火山カタログ.

勝井義雄 (1955) 摩周火山の地質と岩石.地質雑, 61, 481-495. https://doi.org/10.5575/geosoc.61.481

Katsui, Y., Ando, S. and Inaba, K. (1975) Formation and magmatic evolution of Mashu volcano, East Hokkaido, Japan. Jour. Fac. Sci., Hokkaido Univ. Ser. IV, 16, 533-552. http://hdl.handle.net/2115/36041

勝井義雄・横山 泉・岡田 弘・西田泰典・松本佳久・川上則明 (1986) アトサヌプリ摩周(カムイヌプリ)-火山地質・噴火史・活動の現況および防災対策-.北海道防災会議, 104p

山元孝広 (2015) 日本の主要第四紀火山の積算マグマ噴出量階段図.地質調査総合センター研究資料集, no.613, 産総研地質調査総合センター.https://www.gsj.jp/researches/openfile/openfile2014/openfile0613.html

カムイシュ溶岩円頂丘噴火

Kamuishu Lava Dome Eruption
年代: 5.4-1.6 ka
年代手法: 層序?
年代文献: 勝井ほか (1986)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 0.18 km3

カムイシュ溶岩円頂丘

かむいしゅようがんえんちょうきゅう
Kamuishu Lava Dome
名称出典: Katsui et al. (1975)
噴火推移・概要: 溶岩ドーム

溶岩ドームを形成した.

分布
摩周湖内に露出する (勝井, 1955).
岩質
流紋岩 (勝井, 1955; Katsui et al., 1975)
岩相

斑晶に乏しく,一見無斑晶であり,カムイヌプリ第2期溶岩に類似する (勝井, 1955).

全岩化学組成 (SiO2)
72.9 wt.% (勝井, 1955; Katsui et al., 1975)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

勝井義雄 (1955) 摩周火山の地質と岩石.地質雑, 61, 481-495. https://doi.org/10.5575/geosoc.61.481

Katsui, Y., Ando, S. and Inaba, K. (1975) Formation and magmatic evolution of Mashu volcano, East Hokkaido, Japan. Jour. Fac. Sci., Hokkaido Univ. Ser. IV, 16, 533-552. http://hdl.handle.net/2115/36041

勝井義雄・横山 泉・岡田 弘・西田泰典・松本佳久・川上則明 (1986) アトサヌプリ摩周(カムイヌプリ)-火山地質・噴火史・活動の現況および防災対策-.北海道防災会議, 104p

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

カルデラ形成噴火

摩周火山主カルデラ形成噴火

Mashu Volcano Main Caldera-forming Eruption
年代: 7.6 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 山元ほか (2010)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 22.2 km3,DRE 5.8 km3

摩周軽石流堆積物f1/2

ましゅうかるいしりゅうたいせきぶつf1/2
Mashu Pumice Flow Deposit-f1/2
名称出典: 長谷川ほか (2021)
別名・呼称: Ma-f1/2 *ほぼ相当する (石塚ほか, 1953), M.f (山田, 1958),MIIIa (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火→プリニー式噴火→火砕流

高エネルギーの高速で流動性を持った火砕流が発生した(長谷川ほか, 2021).

分布
摩周火山の周辺に広く分布する.給源から30 km以上離れた地点でも分布が確認できる (長谷川ほか, 2021).
噴出量

見かけ体積 8.8 km3

DRE [km3]
1.4
VEI
5
噴出量文献

長谷川ほか (2021)

岩質
デイサイト (長谷川ほか, 2021)
岩相

シルト〜粗粒砂サイズ火山灰を基質にもち,細礫サイズの石質岩片を主体とする.軽石(灰色・白色・縞状)も含まれる高木片も認められる.本堆積物は,下部が石質岩片に富み,中部は円摩された軽石を含む,上部は細粒火山灰が主体である.本堆積物の下〜中部は,弱い成層構造(平行〜斜交層理)が認められる (長谷川ほか, 2021).

全岩化学組成 (SiO2)
68-70 wt.% (長谷川ほか, 2021)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

主カルデラ形成期噴出物の分布 (Katsui et al., 1975) ©北海道大学


figure

カルデラ形成期のテフラ柱状図 (岸本ほか,2009) ©日本火山学会


figure

主カルデラ形成噴火の推移 (岸本ほか,2009) ©日本火山学会


figure

全岩主化学組成のハーカー図 (岸本ほか, 2009) ©日本火山学会


figure

各層における各礫種の量比変化と軽石の全岩化学組成 (SiO2) の変化(岸本ほか, 2009) ©日本火山学会


figure

火山ガラス主化学組成のハーカー図 (岸本ほか, 2009) ©日本火山学会


文献

長谷川健・柴田翔平・小林哲夫・望月伸竜・中川光弘・岸本博志 (2021) 北海道東部,摩周火山の 7.6 ka カルデラ形成噴火過程: 地質学・岩石学・古地磁気学的手法による 高分解能推移復元と Low aspect ratio ignimbrite(LARI)の認定.火山, 66, 187-210. https://doi.org/10.18940/kazan.66.3_187

石塚喜明・瀬尾春雄・池田兼徳・佐々木龍男・中川秀夫 (1953) 北部根室原野土性調査報告.北海道農業試験場土性調査報告, 2, 142 p.

Katsui, Y., Ando, S. and Inaba, K. (1975) Formation and magmatic evolution of Mashu volcano, East Hokkaido, Japan. Jour. Fac. Sci., Hokkaido Univ. Ser. IV, 16, 533-552. http://hdl.handle.net/2115/36041

岸本博志・長谷川健・中川光弘・和田恵治 (2009) 最近約1万4千年間の摩周火山のテフラ層序と噴火様式.火山, 54, 14-36. https://doi.org/10.18940/kazan.54.1_15

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

山田 忍 (1958) 火山噴出物の堆積状態から見た沖積世における北海道火山の火山活動に関する研究.地団研専報, 8, 40p.

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

注釈

Ma-j-fは,土壌や明瞭な侵食面を狭まない一連の噴火による堆積物であり,噴出量がMa-l, kよりも一桁以上大きくカルデラ形成に関わった主要な活動と考えられることから,これらをまとめて"摩周火山主カルデラ形成噴火"と呼ぶ (岸本ほか, 2009).

摩周火山主カルデラ形成噴火

Mashu Volcano Main Caldera-forming Eruption
年代: 7.6 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 山元ほか (2010)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 22.2 km3,DRE 5.8 km3

Ma-fAc

Ma-fAc
Ma-fAc
名称出典: 長谷川ほか (2021)
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火→プリニー式噴火→火砕流

Ma-f3堆積後,火山ガスが十分に抜け,侵食面を形成するような時間間隙の後に降下火山灰 (Ma-fAc) が堆積した (長谷川ほか, 2021).Ma-fAcは,発生・運搬・堆積機構に不明点が多いが,限られた地点において,火砕流堆積物の直上に認められることから,河川や湿地などに堆積した高温の火砕流堆積物の二次爆発の可能性がある (長谷川ほか, 2021).

分布
カルデラ北方〜東方の谷部に局所的に分布する (長谷川ほか, 2021).
噴出量

-

岩相

白色〜黄白色を呈するシルト質火山灰堆積物であり,火山豆石を含む.下位のMa-f3aとの境界は明瞭である.一部の露頭 (長谷川ほか (2021) のFig. 1におけるLoc. 7, 117) では,Ma-f3の吹き抜けパイプ構造を切る明瞭な境界や侵食面が認められる (長谷川ほか, 2021).Ma-fActとMa-f1/2との境界は不明瞭の場合がある.下部は,軽石に富み,少量の石質岩片も含まれる.含まれる礫(軽石・石質岩片)は,全体的に正級化を示し,その多くはシルト質火山灰でコーティングされている(長谷川ほか, 2021).

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

長谷川健・柴田翔平・小林哲夫・望月伸竜・中川光弘・岸本博志 (2021) 北海道東部,摩周火山の 7.6 ka カルデラ形成噴火過程: 地質学・岩石学・古地磁気学的手法による 高分解能推移復元と Low aspect ratio ignimbrite(LARI)の認定.火山, 66, 187-210. https://doi.org/10.18940/kazan.66.3_187

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

摩周火山主カルデラ形成噴火

Mashu Volcano Main Caldera-forming Eruption
年代: 7.6 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 山元ほか (2010)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 22.2 km3,DRE 5.8 km3

摩周軽石流堆積物f3a

ましゅうかるいしりゅうたいせきぶつf3a
Mashu Pumice Flow Deposit-f3a
名称出典: 長谷川ほか (2021)
別名・呼称: Ma-f3 *ほぼ相当する (石塚ほか, 1953), M.f (山田, 1958),MIIIa (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火→プリニー式噴火→火砕流

巨大な岩塊放出を伴った高エネルギーの火砕流が発生した (長谷川ほか, 2021).

分布
摩周火山の周囲に薄く広く分布する.摩周火山から30 km以上 (最長で60 km程度) の広がりをもつ (長谷川ほか, 2021).
噴出量

見かけ体積 3.6 km3

DRE [km3]
1
VEI
5
噴出量文献

長谷川ほか (2021)

岩質
デイサイト (岸本ほか, 2009; 長谷川ほか, 2021)
岩相

石質岩片に富む火砕流堆積物である.原地形により層相が大きく異なり,低所では細粒物を含む基質指示,高所では細粒物を欠く礫支持の堆積構造を示す.下位層を激しく削り込む堆積構造やインパクト・サグ構造が認められる. (長谷川ほか, 2021).

全岩化学組成 (SiO2)
68-70 wt.% (岸本ほか, 2009; 長谷川ほか, 2021)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

長谷川健・柴田翔平・小林哲夫・望月伸竜・中川光弘・岸本博志 (2021) 北海道東部,摩周火山の 7.6 ka カルデラ形成噴火過程: 地質学・岩石学・古地磁気学的手法による 高分解能推移復元と Low aspect ratio ignimbrite(LARI)の認定.火山, 66, 187-210. https://doi.org/10.18940/kazan.66.3_187

石塚喜明・瀬尾春雄・池田兼徳・佐々木龍男・中川秀夫 (1953) 北部根室原野土性調査報告.北海道農業試験場土性調査報告, 2, 142 p.

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

山田 忍 (1958) 火山噴出物の堆積状態から見た沖積世における北海道火山の火山活動に関する研究.地団研専報, 8, 40p.

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

摩周火山主カルデラ形成噴火

Mashu Volcano Main Caldera-forming Eruption
年代: 7.6 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 山元ほか (2010)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 22.2 km3,DRE 5.8 km3

摩周軽石流堆積物f3b

ましゅうかるいしりゅうたいせきぶつf3b
Mashu Pumice Flow Deposit-f3b
名称出典: 長谷川ほか (2021)
別名・呼称: Ma-f3 *ほぼ相当する (石塚ほか, 1953), M.f (山田, 1958),MIIIa (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火→プリニー式噴火→火砕流

Ma-f3bは,高いH/L (分布半径Lに対する平均層厚Hの比) を示すこと,噴出量が1 km3と比較的小規模なことなどから,噴煙柱の一部が崩壊し,低エネルギーの比較的小規模な火砕流が発生したと考えられる (長谷川ほか, 2021).

分布
摩周火山を放射状に囲む谷地形を埋め,高所を避けるように分布する (長谷川ほか, 2021).
噴出量

見かけ体積 1.0 km3

DRE [km3]
0.3
VEI
4
噴出量文献

長谷川ほか (2021)

岩質
デイサイト (岸本ほか, 2009)
岩相

軽石に富む灰色〜灰褐色で淘汰の悪い軽石流堆積物である.炭化木片を多く含む (長谷川ほか, 2021).

全岩化学組成 (SiO2)
69.9-69.7 wt.% (岸本ほか, 2009)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

長谷川健・柴田翔平・小林哲夫・望月伸竜・中川光弘・岸本博志 (2021) 北海道東部,摩周火山の 7.6 ka カルデラ形成噴火過程: 地質学・岩石学・古地磁気学的手法による 高分解能推移復元と Low aspect ratio ignimbrite(LARI)の認定.火山, 66, 187-210. https://doi.org/10.18940/kazan.66.3_187

石塚喜明・瀬尾春雄・池田兼徳・佐々木龍男・中川秀夫 (1953) 北部根室原野土性調査報告.北海道農業試験場土性調査報告, 2, 142 p.

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

山田 忍 (1958) 火山噴出物の堆積状態から見た沖積世における北海道火山の火山活動に関する研究.地団研専報, 8, 40p.

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

摩周火山主カルデラ形成噴火

Mashu Volcano Main Caldera-forming Eruption
年代: 7.6 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 山元ほか (2010)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 22.2 km3,DRE 5.8 km3

摩周降下軽石堆積物g

ましゅうこうかかるいしたいせきぶつg
Mashu Pumice Fall Deposit-g
名称出典: 勝井 (1962)
別名・呼称: M.g (山田, 1958),MIIIa (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火→プリニー式噴火→火砕流

プリニー式噴火が継続する.主とする本質物質が,白色軽石から灰色軽石へと変化する (岸本ほか, 2009).

分布
摩周火山より南東方に分布主軸をもつ (岸本ほか, 2009).
噴出量

見かけ体積 3.2 km3

DRE [km3]
1.2
VEI
5
噴出量文献

長谷川ほか (2021)

岩質
デイサイト (長谷川ほか, 2021)
岩相

降下軽石層.Ma-hとの境界は漸移的であるが,粒径がより大きい点と色調の差異から区分される.酸化作用による赤褐色を呈する場合が多い.また,上方粗粒化が認められる.

全岩化学組成 (SiO2)
68-71 wt.% (長谷川ほか, 2021)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

主カルデラ形成噴火の降下火砕物 Ma-gの分布 (岸本ほか, 2009) ©日本火山学会


文献

長谷川健・柴田翔平・小林哲夫・望月伸竜・中川光弘・岸本博志 (2021) 北海道東部,摩周火山の 7.6 ka カルデラ形成噴火過程: 地質学・岩石学・古地磁気学的手法による 高分解能推移復元と Low aspect ratio ignimbrite(LARI)の認定.火山, 66, 187-210. https://doi.org/10.18940/kazan.66.3_187

勝井義雄 (1962) 5万分の1地質図幅「屈斜路湖」および同説明書.北海道開発庁, 42p https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/01/01_060.htm

岸本博志・長谷川健・中川光弘・和田恵治 (2009) 最近約1万4千年間の摩周火山のテフラ層序と噴火様式.火山, 54, 14-36. https://doi.org/10.18940/kazan.54.1_15

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

山田 忍 (1958) 火山噴出物の堆積状態から見た沖積世における北海道火山の火山活動に関する研究.地団研専報, 8, 40p.

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

摩周火山主カルデラ形成噴火

Mashu Volcano Main Caldera-forming Eruption
年代: 7.6 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 山元ほか (2010)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 22.2 km3,DRE 5.8 km3

摩周降下軽石堆積物h

ましゅうこうかかるいしたいせきぶつh
Mashu Pumice Fall Deposit-h
名称出典: 勝井 (1962)
別名・呼称: M.h (山田, 1958),MIIIa (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火→プリニー式噴火→火砕流

Ma-hは,全体として軽石が卓越することから,安定したプリニー式噴火が継続したと考えられる.上部では,石質岩片がやや増加することから,若干量の火道拡大が示唆される (岸本ほか, 2009).また,噴火後期には,白色軽石の放出量は減少し,縞状軽石の増加が認められる (岸本ほか, 2009).

分布
摩周火山より南東方に分布主軸をもつ (岸本ほか, 2009).
噴出量

見かけ体積 1.0 km3

DRE [km3]
0.4
VEI
4
噴出量文献

長谷川ほか (2021)

岩質
デイサイト (長谷川ほか, 2021)
岩相

降下軽石層.Ma-iに比べ細粒化する.上方粗粒化が認められる.上部で石質岩片量がやや増加する (岸本ほか, 2009).

全岩化学組成 (SiO2)
68-71 wt.% (長谷川ほか, 2021)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

主カルデラ形成噴火の降下火砕物 Ma-hの分布 (岸本ほか, 2009) ©日本火山学会


文献

長谷川健・柴田翔平・小林哲夫・望月伸竜・中川光弘・岸本博志 (2021) 北海道東部,摩周火山の 7.6 ka カルデラ形成噴火過程: 地質学・岩石学・古地磁気学的手法による 高分解能推移復元と Low aspect ratio ignimbrite(LARI)の認定.火山, 66, 187-210. https://doi.org/10.18940/kazan.66.3_187

勝井義雄 (1962) 5万分の1地質図幅「屈斜路湖」および同説明書.北海道開発庁, 42p https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/01/01_060.htm

岸本博志・長谷川健・中川光弘・和田恵治 (2009) 最近約1万4千年間の摩周火山のテフラ層序と噴火様式.火山, 54, 14-36. https://doi.org/10.18940/kazan.54.1_15

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

山田 忍 (1958) 火山噴出物の堆積状態から見た沖積世における北海道火山の火山活動に関する研究.地団研専報, 8, 40p.

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

摩周火山主カルデラ形成噴火

Mashu Volcano Main Caldera-forming Eruption
年代: 7.6 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 山元ほか (2010)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 22.2 km3,DRE 5.8 km3

摩周降下軽石堆積物i

ましゅうこうかかるいしたいせきぶつi
Mashu Pumice Fall Deposit-i
名称出典: 勝井 (1962)
別名・呼称: M.i (山田, 1958),MIIIa (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火→プリニー式噴火→火砕流

Ma-iでは,軽石が急増すること,下部にのみ火山豆石が認められることから,噴火様式が,マグマ水蒸気噴火から安定した火道からのプリニー式噴火に移行したと考えられる (岸本ほか, 2009).Carey and Sparks (1986) の方法から,噴煙柱高度は約40 km程度で見積もられる (長谷川ほか, 2021).

分布
摩周火山より南東方に分布主軸をもつ (岸本ほか, 2009).
噴出量

見かけ体積 4.0 km3

DRE [km3]
1.4
VEI
5
噴出量文献

長谷川ほか (2021)

岩質
デイサイト (長谷川ほか, 2021)
岩相

降下軽石層.下部に火山豆石を含む2〜3枚の火山灰層を挟在する.軽石層には顕著な上方粗粒化が認められる.

全岩化学組成 (SiO2)
68-71 wt.% (長谷川ほか, 2021)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

主カルデラ形成噴火の降下火砕物 Ma-iの分布 (岸本ほか, 2009) ©日本火山学会


文献

長谷川健・柴田翔平・小林哲夫・望月伸竜・中川光弘・岸本博志 (2021) 北海道東部,摩周火山の 7.6 ka カルデラ形成噴火過程: 地質学・岩石学・古地磁気学的手法による 高分解能推移復元と Low aspect ratio ignimbrite(LARI)の認定.火山, 66, 187-210. https://doi.org/10.18940/kazan.66.3_187

勝井義雄 (1962) 5万分の1地質図幅「屈斜路湖」および同説明書.北海道開発庁, 42p https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/01/01_060.htm

岸本博志・長谷川健・中川光弘・和田恵治 (2009) 最近約1万4千年間の摩周火山のテフラ層序と噴火様式.火山, 54, 14-36. https://doi.org/10.18940/kazan.54.1_15

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

山田 忍 (1958) 火山噴出物の堆積状態から見た沖積世における北海道火山の火山活動に関する研究.地団研専報, 8, 40p.

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

摩周火山主カルデラ形成噴火

Mashu Volcano Main Caldera-forming Eruption
年代: 7.6 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 山元ほか (2010)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 22.2 km3,DRE 5.8 km3

摩周降下火山灰堆積物j

ましゅうこうかかざんばいたいせきぶつj
Mashu Ash Fall Deposit-j
名称出典: 勝井 (1962)
別名・呼称: M.j (山田, 1958),MIIIa (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火→プリニー式噴火→火砕流

マグマ水蒸気噴火が発生した.平行ラミナが発達する岩相から,パルス的に爆発を繰り返したことが示唆される (岸本ほか, 2009).

分布
摩周火山南東方だけでなく西方にも分布が認められる (岸本ほか, 2009).
噴出量

見かけ体積 0.7 km3

DRE [km3]
0.1
VEI
4
噴出量文献

長谷川ほか (2021)

岩相

粗粒砂〜細礫の青灰色降下火山灰.場所によっては平行葉理が認められる.上部ほど変質岩片が多い.

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

主カルデラ形成噴火の降下火砕物 Ma-jの分布 (岸本ほか, 2009) ©日本火山学会


文献

長谷川健・柴田翔平・小林哲夫・望月伸竜・中川光弘・岸本博志 (2021) 北海道東部,摩周火山の 7.6 ka カルデラ形成噴火過程: 地質学・岩石学・古地磁気学的手法による 高分解能推移復元と Low aspect ratio ignimbrite(LARI)の認定.火山, 66, 187-210. https://doi.org/10.18940/kazan.66.3_187

勝井義雄 (1962) 5万分の1地質図幅「屈斜路湖」および同説明書.北海道開発庁, 42p https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/01/01_060.htm

岸本博志・長谷川健・中川光弘・和田恵治 (2009) 最近約1万4千年間の摩周火山のテフラ層序と噴火様式.火山, 54, 14-36. https://doi.org/10.18940/kazan.54.1_15

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

山田 忍 (1958) 火山噴出物の堆積状態から見た沖積世における北海道火山の火山活動に関する研究.地団研専報, 8, 40p.

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

短期的前駆活動

なし

長期的前駆活動

Ma-k噴火

Ma-k Eruption
年代: 11.9-11.7 ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 山元ほか (2010)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 0.46 km3

摩周降下火山灰堆積物k

ましゅうこうかかざんばいたいせきぶつk
Mashu Ash Fall Deposit-k
名称出典: 勝井 (1962)
別名・呼称: Ma-k (勝井, 1962), M.k (山田, 1958),MIIIb (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火

マグマ水蒸気噴火が発生した.

分布
給源より南東方に分布主軸を持ち,その延長40 kmまでの範囲に堆積する.
噴出量

見かけ体積 0.46 km3

DRE [km3]
0.28
VEI
4
噴出量文献

岸本ほか (2009)

岩相

粗粒砂サイズの降下火山灰層.下部は青灰色で,上部に向かって灰褐色に漸移する.遠方では,黒色土壌中に灰褐色の火山灰が散在する.

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

Ma-k の分布 (岸本ほか,2009) ©日本火山学会


文献

勝井義雄 (1962) 5万分の1地質図幅「屈斜路湖」および同説明書.北海道開発庁, 42p https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/01/01_060.htm

岸本博志・長谷川健・中川光弘・和田恵治 (2009) 最近約1万4千年間の摩周火山のテフラ層序と噴火様式.火山, 54, 14-36. https://doi.org/10.18940/kazan.54.1_15

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

山田 忍 (1958) 火山噴出物の堆積状態から見た沖積世における北海道火山の火山活動に関する研究.地団研専報, 8, 40p.

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

Ma-l噴火

Ma-l Eruption
年代: 14 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 山元ほか (2010)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 6.6 km3 *Ma-l1を除く

摩周火砕堆積物l

ましゅうかさいたいせきぶつl
Mashu Pyroclastic Deposit-l
名称出典: 岸本ほか (2009)
別名・呼称: Ma-l (勝井, 1962), M.l (山田, 1958),MIIId (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: プリニー式噴火→火砕流

プリニー式噴火に始まり,火砕流へと移行した.Ma-lの下部には,火山豆石を含む細粒火山灰が認められることから,噴火における水の関与が示唆される(岸本ほか, 2009).

分布
Ma-l2は,東南東方向に分布主軸を持ち,弟子屈地域から根釧地域全域に分布する.
噴出量

見かけ体積 6.6 km3 *Ma-l1を除く

DRE [km3]
2.6
VEI
5
噴出量文献

岸本ほか (2009)

岩相

降下軽石堆積物(Ma-l2)とそれを直接覆う非溶結の火砕流堆積物(Ma-l1)からなる.Ma-l2は,最下部に層厚3 cmの白色火山灰層が2層挟在する.また,基底部には細粒砂サイズの灰色火山灰がしばしば認められる.Ma-l2とMa-l1の境界は漸移的である.

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

Ma-l2の分布 (岸本ほか,2009) ©日本火山学会


文献

勝井義雄 (1962) 5万分の1地質図幅「屈斜路湖」および同説明書.北海道開発庁, 42p https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/01/01_060.htm

岸本博志・長谷川健・中川光弘・和田恵治 (2009) 最近約1万4千年間の摩周火山のテフラ層序と噴火様式.火山, 54, 14-36. https://doi.org/10.18940/kazan.54.1_15

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

山田 忍 (1958) 火山噴出物の堆積状態から見た沖積世における北海道火山の火山活動に関する研究.地団研専報, 8, 40p.

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

下部摩周-a噴火

Lower Mashu Teprha-a Eruption
年代: 14.4 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 山元ほか (2010)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積>1 km3*他の下部摩周テフラと合せたもの

下部摩周テフラ-a

かぶましゅうてふら-a
Lower Mashu Tephra Formation-a
名称出典: 長谷川ほか (2009)
別名・呼称: Ml-a (宮田ほか, 1988),Ma-α~Ma-ζ (勝井, 1961) の一部に相当する (宮田ほか, 1988).
噴火推移・概要: プリニー式 (サブプリニー式) 噴火?

火砕噴火が発生し,根釧地域に降下火山灰を堆積させた.分布域からプリニー式 (サブプリニー式) 噴火である可能性が高い.一方,下部摩周テフラの一部に相当するMa-α~Ma-ζ については,勝井ほか (1986) がストロンボリ式噴火であるとしている.

分布
根釧原野全域に分布する(長谷川ほか, 2009).
噴出量

見かけ体積>1 km3*他の下部摩周テフラと合せたもの

VEI
4
噴出量文献

長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り

岩相

灰色を呈する降下火山灰堆積物である(長谷川ほか, 2009).

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

長谷川健・岸本博志・中川光弘・伊藤順一・山元孝広 (2009) 北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千〜1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史.地質雑, 369-390. https://doi.org/10.5575/geosoc.115.369

勝井義雄 (1961) 火山砕屑物からみた摩周火山の活動史.地球科学, 55, 8-16. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.1961.55_8

勝井義雄・横山 泉・岡田 弘・西田泰典・松本佳久・川上則明 (1986) アトサヌプリ摩周(カムイヌプリ)-火山地質・噴火史・活動の現況および防災対策-.北海道防災会議, 104p.

宮田雄一郎・山口昇一・矢崎清貫 (1988) 計根別地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅), 地質調査所, 77p. https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/02/02_010.htm

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

西別岳溶岩噴火

Nishibetsudake Lava Eruption
年代: 15 ka ?
年代手法: 層序?
年代文献: 勝井ほか (1986)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: >0.5 km3

西別岳溶岩

にしべつだけようがん
Nishibetsudake Lava
名称出典: 国府田ほか (1962)
噴火推移・概要: 溶岩流

溶岩を流出し,西別岳を形成した.

分布
摩周湖の東南側に位置し,西別岳を形成している (国府田ほか, 1962).
噴出量

>0.5 km3

DRE [km3]
0.5
噴出量文献

第四紀火山カタログ委員会 (1999)

岩質
玄武岩質安山岩 (長谷川ほか, 2009)
岩相

暗灰色を呈する溶岩である.緻密であるが,一部では多孔質なものも認められる (国府田ほか, 1962).

全岩化学組成 (SiO2)
53.9 wt.% (長谷川ほか, 2009)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

第四紀火山カタログ委員会 (1999) 第四紀火山カタログ.

長谷川健・岸本博志・中川光弘・伊藤順一・山元孝広 (2009) 北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千〜1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史.地質雑, 369-390. https://doi.org/10.5575/geosoc.115.369

勝井義雄・横山 泉・岡田 弘・西田泰典・松本佳久・川上則明 (1986) アトサヌプリ摩周(カムイヌプリ)-火山地質・噴火史・活動の現況および防災対策-.北海道防災会議, 104p.

国府田盛明・松井公平・長谷川潔・安藤久男 (1962) 5万分の1地質図幅説明書「摩周湖」.北海道開発庁, 46p. https://www.gsj.jp/Map/JP/geology4-1.html#01061

注釈

勝井ほか (1986) では、本溶岩が15 ka頃の溶岩・火砕物と同質であることから,年代値を推定しているが,対比の詳細は不明である.国府田ほか (1962) では,本溶岩の侵食の程度から,摩周カルデラの形成にかなり先立った活動であるとし,摩周火山初期の活動としている.

新期外輪山溶岩噴火

Young-stage Somma Lava Eruption
年代: 19.9-14.2 ka
年代手法: 層序
年代文献: 長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り(この際山元 (2010) の年代値を考慮)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 23.5 km3*古期外輪山溶岩と合せた体積

新期外輪山溶岩

しんきがいりんざんようがん
Young-stage Somma Lava
名称出典: Katsui et al. (1975)
噴火推移・概要: 溶岩流

軽石を放出する時期を挟み再び溶岩を流出する活動が始まった.この時期の溶岩は,安山岩質であり,古期外輪山溶岩と比べてややSiO2に富む傾向にある.また層位関係は明らかでないものの,同時期にスコリアを噴出する活動が継続している.Katsui et al. (1975) は,この時の降下スコリア層を下位からMa-ζ〜αとしている.

分布
摩周カルデラの外輪山のほぼ全域に分布する.
噴出量

23.5 km3*古期外輪山溶岩と合せた体積

噴出量文献

第四紀火山カタログ委員会 (1999) の火山体の体積からテフラ分を差し引いたもの (山元 (2015) を参照)

岩質
玄武岩質安山岩,安山岩,デイサイト (Katsui et al., 1975)
岩相

新期外輪山溶岩は,北部の一部地域やカムイヌプリ中央火口丘周辺を除いて,外輪山のほぼ全域に分布する輝石安山岩である.

全岩化学組成 (SiO2)
55.3-66.6 wt.% (Katsui et al., 1975)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

摩周火山の地質図 (勝井,1955) ©日本地質学会


文献

第四紀火山カタログ委員会 (1999) 第四紀火山カタログ.

長谷川健・岸本博志・中川光弘・伊藤順一・山元孝広 (2009) 北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千〜1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史.地質雑, 369-390. https://doi.org/10.5575/geosoc.115.369

勝井義雄 (1955) 摩周火山の地質と岩石.地質雑, 61, 481-495. https://doi.org/10.5575/geosoc.61.481

Katsui, Y., Ando, S. and Inaba, K. (1975) Formation and magmatic evolution of Mashu volcano, East Hokkaido, Japan. Jour. Fac. Sci., Hokkaido Univ. Ser. IV, 16, 533-552. http://hdl.handle.net/2115/36041

山元孝広 (2015) 日本の主要第四紀火山の積算マグマ噴出量階段図.地質調査総合センター研究資料集, no.613, 産総研地質調査総合センター.https://www.gsj.jp/researches/openfile/openfile2014/openfile0613.html

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

古期外輪山溶岩噴火

Old-stage Somma Lava Eruption
年代: 19.9-14.2 ka
年代手法: 層序
年代文献: 長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り(この際山元 (2010) の年代値を考慮)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 23.5 km3*新期外輪山溶岩と合せた体積

古期外輪山溶岩

こきがいりんざんようがん
Old-stage Somma Lava
名称出典: Katsui et al. (1975)
噴火推移・概要: 溶岩流

数千年間にわたり玄武岩〜安山岩質溶岩を流出する活動が継続した.溶岩との層位関係は明らかでないものの,同時期にスコリアを噴出する活動が継続している.Katsui et al. (1975) は,この時の降下スコリア層を下位からMa-ζ〜αとしている.

分布
西部の外輪山西斜面に分布する.
噴出量

23.5 km3*新期外輪山溶岩と合せた体積

噴出量文献

第四紀火山カタログ委員会 (1999) の火山体の体積からテフラ分を差し引いたもの (山元 (2015) を参照)

岩質
玄武岩, 玄武岩質安山岩, 安山岩 (Katsui et al., 1975)
岩相

古期外輪山溶岩は,西部の外輪山西斜面に露出する輝石安山岩〜玄武岩溶岩である.これらは2つのサブユニットに分けられており,下位より古期外輪山溶岩1,2とされる (Katsui et al., 1975).下位の古期外輪山溶岩1は安山岩質であるが,上位の古期外輪山溶岩2はより苦鉄質になる.

Katsui et al. (1975) によると,古期外輪山溶岩と新期外輪山溶岩の間には,安山岩質の厚い降下軽石層 (固有名称なし) が噴出している.この噴火に関連して,外輪山西部に集中して認められる複数の安山岩質岩脈が貫入したと考えられている.

全岩化学組成 (SiO2)
52.4-58.2 wt.% (Katsui et al., 1975)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

第四紀火山カタログ委員会 (1999) 第四紀火山カタログ.

長谷川健・岸本博志・中川光弘・伊藤順一・山元孝広 (2009) 北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千〜1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史.地質雑, 369-390. https://doi.org/10.5575/geosoc.115.369

Katsui, Y., Ando, S. and Inaba, K. (1975) Formation and magmatic evolution of Mashu volcano, East Hokkaido, Japan. Jour. Fac. Sci., Hokkaido Univ. Ser. IV, 16, 533-552. http://hdl.handle.net/2115/36041

山元孝広 (2015) 日本の主要第四紀火山の積算マグマ噴出量階段図.地質調査総合センター研究資料集, no.613, 産総研地質調査総合センター.https://www.gsj.jp/researches/openfile/openfile2014/openfile0613.html

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

下部摩周-b噴火

Lower Mashu Teprha-b Eruption
年代: 19.9-14.4 ka
年代手法: 層序
年代文献: 長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り(この際山元 (2010) の年代値を考慮)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積>1 km3*他の下部摩周テフラと合せたもの

下部摩周テフラ-b

かぶましゅうてふら-b
Lower Mashu Tephra Formation-b
名称出典: 長谷川ほか (2009)
別名・呼称: Ml-b (宮田ほか, 1988),Ma-α~Ma-ζ (勝井, 1961) の一部に相当する (宮田ほか, 1988).
噴火推移・概要: プリニー式 (サブプリニー式) 噴火?

火砕噴火が発生し,根釧原野地域に降下スコリアを堆積させた.分布域からプリニー式 (サブプリニー式) 噴火である可能性が高い.一方,下部摩周テフラの一部に相当するMa-α~Ma-ζ については,勝井ほか (1986) がストロンボリ式噴火であるとしている.

分布
根釧原野全域に分布する(長谷川ほか, 2009).
噴出量

見かけ体積>1 km3*他の下部摩周テフラと合せたもの

VEI
4
噴出量文献

長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り (山元 (2015) を参照)

岩相

黒色を呈する降下スコリア堆積物である.石質岩片と発泡の悪いスコリアからなり,同じく発泡の悪い灰色軽石も少量含まれる(長谷川ほか, 2009).

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

下部摩周テフラ-bの等層厚線図 (宮田ほか, 1988)
figure

Ml-b の層厚分布図 (宮田ほか,1988) ©産総研地質調査総合センター


文献

長谷川健・岸本博志・中川光弘・伊藤順一・山元孝広 (2009) 北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千〜1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史.地質雑, 369-390. https://doi.org/10.5575/geosoc.115.369

勝井義雄 (1961) 火山砕屑物からみた摩周火山の活動史.地球科学, 55, 8-16. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.1961.55_8

勝井義雄・横山 泉・岡田 弘・西田泰典・松本佳久・川上則明 (1986) アトサヌプリ摩周(カムイヌプリ)-火山地質・噴火史・活動の現況および防災対策-.北海道防災会議, 104p.

宮田雄一郎・山口昇一・矢崎清貫 (1988) 計根別地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅), 地質調査所, 77p. https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/02/02_010.htm

山元孝広 (2015) 日本の主要第四紀火山の積算マグマ噴出量階段図.地質調査総合センター研究資料集, no.613, 産総研地質調査総合センター.https://www.gsj.jp/researches/openfile/openfile2014/openfile0613.html

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

下部摩周-c噴火

Lower Mashu Teprha-c Eruption
年代: 19.9-14.4 ka
年代手法: 層序
年代文献: 長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り(この際山元 (2010) の年代値を考慮)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積>1 km3*他の下部摩周テフラと合せたもの

下部摩周テフラ-c

かぶましゅうてふら-c
Lower Mashu Tephra Formation-c
名称出典: 長谷川ほか (2009)
別名・呼称: Ml-c (宮田ほか, 1988),Ma-α~Ma-ζ (勝井, 1961) の一部に相当する (宮田ほか, 1988).
噴火推移・概要: プリニー式 (サブプリニー式) 噴火?

火砕噴火が発生し,中標津町市街〜計根別地域に降下軽石を堆積させた.分布域からプリニー式 (サブプリニー式) 噴火である可能性が高い.一方,下部摩周テフラの一部に相当するMa-α~Ma-ζ については,勝井ほか (1986) がストロンボリ式噴火であるとしている.

分布
中標津町市街周辺〜計根別地域に分布する(長谷川ほか, 2009).
噴出量

見かけ体積>1 km3*他の下部摩周テフラと合せたもの

VEI
4
噴出量文献

長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り (山元 (2015) を参照)

岩相

灰白色〜褐色の降下軽石堆積物である.全体的に強い変質を受けている(長谷川ほか, 2009)

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

長谷川健・岸本博志・中川光弘・伊藤順一・山元孝広 (2009) 北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千〜1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史.地質雑, 369-390. https://doi.org/10.5575/geosoc.115.369

勝井義雄 (1961) 火山砕屑物からみた摩周火山の活動史.地球科学, 55, 8-16. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.1961.55_8

勝井義雄・横山 泉・岡田 弘・西田泰典・松本佳久・川上則明 (1986) アトサヌプリ摩周(カムイヌプリ)-火山地質・噴火史・活動の現況および防災対策-.北海道防災会議, 104p.

宮田雄一郎・山口昇一・矢崎清貫 (1988) 計根別地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅), 地質調査所, 77p. https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/02/02_010.htm

山元孝広 (2015) 日本の主要第四紀火山の積算マグマ噴出量階段図.地質調査総合センター研究資料集, no.613, 産総研地質調査総合センター.https://www.gsj.jp/researches/openfile/openfile2014/openfile0613.html

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

下部摩周-d噴火

Lower Mashu Teprha-d Eruption
年代: 19.9-14.4 ka
年代手法: 層序
年代文献: 長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り(この際山元 (2010) の年代値を考慮)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積>1 km3*他の下部摩周テフラと合せたもの

下部摩周テフラ-d

かぶましゅうてふら-d
Lower Mashu Tephra Formation-d
名称出典: 長谷川ほか (2009)
別名・呼称: Ml-d (宮田ほか, 1988),Ma-α~Ma-ζ (勝井, 1961) の一部に相当する (宮田ほか, 1988).
噴火推移・概要: プリニー式 (サブプリニー式) 噴火?

火砕噴火が発生し,泉川地域に降下火山灰を堆積させた.分布域からプリニー式 (サブプリニー式) 噴火である可能性が高い.一方,下部摩周テフラの一部に相当するMa-α~Ma-ζ については,勝井ほか (1986) がストロンボリ式噴火であるとしている.

分布
泉川地域に分布する(長谷川ほか, 2009).
噴出量

見かけ体積>1 km3*他の下部摩周テフラと合せたもの

VEI
4
噴出量文献

長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り (山元 (2015) を参照)

岩相

黄白色の降下火山灰堆積物である,中粒砂サイズのガラス質火山灰からなり,上部は石質岩片に富み暗灰色を呈するようになる(長谷川ほか, 2009).

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

長谷川健・岸本博志・中川光弘・伊藤順一・山元孝広 (2009) 北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千〜1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史.地質雑, 369-390. https://doi.org/10.5575/geosoc.115.369

勝井義雄 (1961) 火山砕屑物からみた摩周火山の活動史.地球科学, 55, 8-16. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.1961.55_8

勝井義雄・横山 泉・岡田 弘・西田泰典・松本佳久・川上則明 (1986) アトサヌプリ摩周(カムイヌプリ)-火山地質・噴火史・活動の現況および防災対策-.北海道防災会議, 104p.

宮田雄一郎・山口昇一・矢崎清貫 (1988) 計根別地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅), 地質調査所, 77p. https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/02/02_010.htm

山元孝広 (2015) 日本の主要第四紀火山の積算マグマ噴出量階段図.地質調査総合センター研究資料集, no.613, 産総研地質調査総合センター.https://www.gsj.jp/researches/openfile/openfile2014/openfile0613.html

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

下部摩周-e噴火

Lower Mashu Teprha-e Eruption
年代: 19.9-14.4 ka
年代手法: 層序
年代文献: 長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り(この際山元 (2010) の年代値を考慮)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積>1 km3*他の下部摩周テフラと合せたもの

下部摩周テフラ-e

かぶましゅうてふら-e
Lower Mashu Tephra Formation-e
名称出典: 長谷川ほか (2009)
別名・呼称: Ml-e (宮田ほか, 1988),Ma-α~Ma-ζ (勝井, 1961) の一部に相当する (宮田ほか, 1988).
噴火推移・概要: プリニー式 (サブプリニー式) 噴火?

火砕噴火が発生し,中春別地域に降下軽石を堆積させた.分布域からプリニー式 (サブプリニー式) 噴火である可能性が高い.一方,下部摩周テフラの一部に相当するMa-α~Ma-ζ については,勝井ほか (1986) がストロンボリ式噴火であるとしている.

分布
中春別地域に分布する(長谷川ほか, 2009).
噴出量

見かけ体積>1 km3*他の下部摩周テフラと合せたもの

VEI
4
噴出量文献

長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り (山元 (2015) を参照)

岩相

褐色の降下軽石堆積物である.軽石は強い変質を受けている(長谷川ほか, 2009).

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

長谷川健・岸本博志・中川光弘・伊藤順一・山元孝広 (2009) 北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千〜1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史.地質雑, 369-390. https://doi.org/10.5575/geosoc.115.369

勝井義雄 (1961) 火山砕屑物からみた摩周火山の活動史.地球科学, 55, 8-16. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.1961.55_8

勝井義雄・横山 泉・岡田 弘・西田泰典・松本佳久・川上則明 (1986) アトサヌプリ摩周(カムイヌプリ)-火山地質・噴火史・活動の現況および防災対策-.北海道防災会議, 104p.

宮田雄一郎・山口昇一・矢崎清貫 (1988) 計根別地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅), 地質調査所, 77p. https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/02/02_010.htm

山元孝広 (2015) 日本の主要第四紀火山の積算マグマ噴出量階段図.地質調査総合センター研究資料集, no.613, 産総研地質調査総合センター.https://www.gsj.jp/researches/openfile/openfile2014/openfile0613.html

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

茶内-a噴火

Chanai-a Eruption
年代: ca. 23.6 ka
年代手法: 層序
年代文献: 長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り(この際山元 (2010) の年代値を考慮)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 5.4 km3

茶内テフラ-a

ちゃないてふら-a
Chanai Tephra Formation-a
名称出典: 長谷川ほか (2009)
別名・呼称: Ch-a (宮田ほか,1988), 江南軽石・KoP (隅田, 1988),MIIa (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: プリニー式噴火?

火砕噴火が発生し降下火砕物を堆積させた.本噴火は白〜赤褐色軽石の放出に始まるが,噴火が進むにつれてスコリアを放出するようになる.

分布
中標津町市街周辺〜別海町中春別地域,泉川地域,斜里地域,江南地域
噴出量

見かけ体積 5.4 km3

DRE [km3]
1.7
VEI
5
噴出量文献

長谷川ほか (2009)

岩質
安山岩 (隅田, 1990a)
岩相

根釧原野地域において見出された本テフラ層はCh-a (宮田ほか, 1988),斜里平野地域において見出された本テフラ層はKoP (隅田, 1988) と命名されている.これらは長谷川ほか (2009) により,層位関係と岩石学的特徴から対比されている.

根釧原野地域では2サブユニット (Ch-a2, a1) からなる降下軽石層として認められる.下位のCh-a2は白〜赤褐色軽石からなるが,上位のCh-a1はa2よりも細粒のスコリア-灰色縞状軽石と石質岩片からなる.一方,斜里平野地域では変質した黄白〜褐色の軽石と縞状軽石からなる降下軽石層として認められる.

全岩化学組成 (SiO2)
59.4-60.5 wt.% (隅田, 1990a)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

茶内テフラ-aの等層厚線図 (宮田ほか, 1988)
figure

Ch-a2 の層厚分布図 (宮田ほか,1988) ©産総研地質調査総合センター


文献

長谷川健・岸本博志・中川光弘・伊藤順一・山元孝広 (2009) 北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千〜1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史.地質雑, 369-390. https://doi.org/10.5575/geosoc.115.369

宮田雄一郎・山口昇一・矢崎清貫 (1988) 計根別地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅), 地質調査所, 77p. https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/02/02_010.htm

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

隅田まり (1988) 斜里地方におけるテフラ層序.知床博研報, 9, 19-31.

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

茶内-b噴火

Chanai-b Eruption
年代: ca. 27.6 ka
年代手法: 層序
年代文献: 長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り(この際山元 (2010) の年代値を考慮)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 4.3 km3

茶内テフラ-b

ちゃないてふら-b
Chanai Tephra Formation-b
名称出典: 長谷川ほか (2009)
別名・呼称: Ch-b (宮田ほか,1988), 中斜里軽石・NaP (隅田, 1988),MIIb (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: プリニー式噴火?

火砕噴火が発生し降下火砕物を堆積させた.本噴火は白色軽石の放出に始まるが,噴火が進むにつれてスコリアを放出するようになる.

分布
泉川地域,斜里地域,江南地域
噴出量

見かけ体積 4.3 km3

DRE [km3]
1.5
VEI
5
噴出量文献

長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り (山元 (2015) を参照)

岩質
デイサイト (隅田, 1990a)
岩相

根釧原野地域において見出された本テフラ層はCh-b (宮田ほか, 1988),斜里平野地域において見出された本テフラ層はNaP (隅田, 1988) と命名されている.これらは長谷川ほか (2009) により,層位関係と岩石学的特徴から対比されている.

根釧原野地域では2サブユニット (Ch-b1, 2) からなる降下軽石・スコリア層として認められる.下位のCh-b2は白色軽石からなる降下軽石層である.上位のCh-b1は,細礫と粗粒砂サイズのスコリアからなる互層が認められる.

一方,斜里平野地域では白色・灰色軽石からなる降下軽石層として認められる.

全岩化学組成 (SiO2)
66.1-66.9 wt.% (隅田, 1990a)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

茶内テフラ-bの等層厚線図 (宮田ほか, 1988)
figure

Ch-b2 の層厚分布図 (宮田ほか,1988) ©産総研地質調査総合センター


文献

長谷川健・岸本博志・中川光弘・伊藤順一・山元孝広 (2009) 北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千〜1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史.地質雑, 369-390. https://doi.org/10.5575/geosoc.115.369

宮田雄一郎・山口昇一・矢崎清貫 (1988) 計根別地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅), 地質調査所, 77p. https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/02/02_010.htm

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

隅田まり (1988) 斜里地方におけるテフラ層序.知床博研報, 9, 19-31.

山元孝広 (2015) 日本の主要第四紀火山の積算マグマ噴出量階段図.地質調査総合センター研究資料集, no.613, 産総研地質調査総合センター.https://www.gsj.jp/researches/openfile/openfile2014/openfile0613.html

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

注釈

*本堆積物の下位に認められる茶内テフラ-cは,その火山ガラス組成・鉱物組み合わせなどからアトサヌプリ・中島火山起源であると考えられる (長谷川ほか, 2009).

茶内-d噴火

Chanai-d Eruption
年代: ca. 27.7 ka
年代手法: 層序
年代文献: 長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り(この際山元 (2010) の年代値を考慮)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 1.4 km3

茶内テフラ-d

ちゃないてふら-d
Chanai Tephra Formation-d
名称出典: 長谷川ほか (2009)
別名・呼称: Ch-d (宮田ほか,1988)
噴火推移・概要: プリニー式噴火?

火砕噴火が発生し降下火砕物を堆積させた.Ch-dは,上部に向かい構成物が火山灰からスコリアへと推移することから,噴火後期になるに従い安定した噴煙柱を形成していったと考えられる.

分布
中標津町市街周辺〜別海町中春別地域
噴出量

見かけ体積 1.4 km3

DRE [km3]
0.45
VEI
5
噴出量文献

長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り (山元 (2015) を参照)

岩相

複数の降下ユニットからなる降下軽石層で,上部10 cmはスコリアや変質石質岩片に富む.下部には2 cmの中粒砂サイズ火山灰層が認められる.

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

Ch-d2の層厚分布図 (宮田ほか,1988) ©産総研地質調査総合センター


文献

長谷川健・岸本博志・中川光弘・伊藤順一・山元孝広 (2009) 北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千〜1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史.地質雑, 369-390. https://doi.org/10.5575/geosoc.115.369

宮田雄一郎・山口昇一・矢崎清貫 (1988) 計根別地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅), 地質調査所, 77p. https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/02/02_010.htm

山元孝広 (2015) 日本の主要第四紀火山の積算マグマ噴出量階段図.地質調査総合センター研究資料集, no.613, 産総研地質調査総合センター.https://www.gsj.jp/researches/openfile/openfile2014/openfile0613.html

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

LowK-Sc噴火

LowK-Sc eruption
年代: ca. 28.0 ka
年代手法: 層序
年代文献: 長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り(この際山元 (2010) の年代値を考慮)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 >0.1 km3

LowK-Sc

LowK-Sc
LowK-Sc Deposit
名称出典: 長谷川ほか (2009)
噴火推移・概要: 火砕噴火

苦鉄質マグマによる火砕噴火が発生し,スコリアを堆積させた (長谷川ほか, 2009).

噴出量

見かけ体積 >0.1 km3

VEI
4
噴出量文献

長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り (山元 (2015) を参照)

岩相

スポンジ状に発泡したスコリアを含む降下スコリア堆積物である.スコリアの発泡は良くない (長谷川ほか, 2009).

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

長谷川健・岸本博志・中川光弘・伊藤順一・山元孝広 (2009) 北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千〜1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史.地質雑, 369-390. https://doi.org/10.5575/geosoc.115.369

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

隅田まり (1990b) A08 屈斜路火山・摩周火山の第四紀火成活動. 日本火山学会講演予稿集, 8. https://doi.org/10.18940/vsj.1990.2.0_8

山元孝広 (2015) 日本の主要第四紀火山の積算マグマ噴出量階段図.地質調査総合センター研究資料集, no.613, 産総研地質調査総合センター.https://www.gsj.jp/researches/openfile/openfile2014/openfile0613.html

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

注釈

*長谷川ほか (2009) では,堆積物の層位関係から黒ゴマスコリア (KgSc; 隅田, 1990a, b) に対比される可能性があるとしている.

上部中春別b噴火

Upper Nakashunbetsu-b Eruption
年代: ca. 28.7 ka
年代手法: 層序
年代文献: 長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り(この際山元 (2010) の年代値を考慮)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 2.5 km3

上部中春別テフラ-b

じょうぶなかしゅんべつてふら-b
Upper Nakashunbetu Tephra Formation-b
名称出典: 長谷川ほか (2009)
別名・呼称: Nu-b (宮田ほか,1988), 黒ツブ・KuSc (隅田, 1988),MIId (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: プリニー式噴火?

噴煙柱を形成し,降下火砕物を,根釧原野地域に堆積させた.

分布
中標津・別海町市街周辺,泉川地域,小清水〜斜里地域,江南地域
噴出量

見かけ体積 2.5 km3

DRE [km3]
1
VEI
5
噴出量文献

長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り (山元 (2015) を参照)

岩質
デイサイト (隅田, 1990a)
岩相

降下スコリア層.灰色軽石,石質岩片,少量の白色軽石も含まれる.

全岩化学組成 (SiO2)
64.1-64.8 wt.% (隅田, 1990a)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

上部中春別テフラ-bの等層厚線図 (長谷川ほか, 2009)
figure

Nu-b (KuSc) の分布 (長谷川ほか, 2009) ©日本地質学会


文献

長谷川健・岸本博志・中川光弘・伊藤順一・山元孝広 (2009) 北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千〜1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史.地質雑, 369-390. https://doi.org/10.5575/geosoc.115.369

宮田雄一郎・山口昇一・矢崎清貫 (1988) 計根別地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅), 地質調査所, 77p. https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/02/02_010.htm

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

隅田まり (1988) 斜里地方におけるテフラ層序.知床博研報, 9, 19-31.

山元孝広 (2015) 日本の主要第四紀火山の積算マグマ噴出量階段図.地質調査総合センター研究資料集, no.613, 産総研地質調査総合センター.https://www.gsj.jp/researches/openfile/openfile2014/openfile0613.html

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

注釈

*本堆積物の上位に認められる上部中春別テフラ-aおよび下位に認められる上部中春別テフラ-cは,その火山ガラス組成・鉱物組み合わせなどからアトサヌプリ・中島火山起源であると考えられる (長谷川ほか, 2009).

上部中春別-d噴火

Upper Nakashunbetsu-d Eruption
年代: ca. 29.8 ka
年代手法: 層序
年代文献: 長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り(この際山元 (2010) の年代値を考慮)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 0.88 km3

上部中春別テフラ-d

じょうぶなかしゅんべつてふら-d
Upper Nakashunbetu Tephra Formation-d
名称出典: 長谷川ほか (2009)
別名・呼称: Nu-d (宮田ほか,1988)
噴火推移・概要: プリニー式噴火?

噴煙柱を形成し,降下軽石・スコリアを堆積させた.噴火後期になるにつれ,灰色軽石・スコリアを多く放出するようになる.

分布
中標津・別海町市街周辺,別海町中春別地域
噴出量

見かけ体積 0.88 km3

DRE [km3]
0.32
VEI
4
噴出量文献

長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り (山元 (2015) を参照)

岩相

降下軽石・スコリア層.下部は白色軽石からなり,上部ほど灰色軽石・スコリアに富む.

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

長谷川健・岸本博志・中川光弘・伊藤順一・山元孝広 (2009) 北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千〜1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史.地質雑, 369-390. https://doi.org/10.5575/geosoc.115.369

宮田雄一郎・山口昇一・矢崎清貫 (1988) 計根別地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅), 地質調査所, 77p. https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/02/02_010.htm

山元孝広 (2015) 日本の主要第四紀火山の積算マグマ噴出量階段図.地質調査総合センター研究資料集, no.613, 産総研地質調査総合センター.https://www.gsj.jp/researches/openfile/openfile2014/openfile0613.html

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

注釈

*本堆積物の下位に認められる上部中春別テフラ-eは,火山ガラス組成から,アトサヌプリ・中島火山起源であると考えられる (長谷川ほか, 2009).

上部中春別-f噴火

Upper Nakashunbetu-f Eruption
年代: ca. 30.4 ka
年代手法: 層序
年代文献: 長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り(この際山元 (2010) の年代値を考慮)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 2.0 km3

上部中春別テフラ-f

じょうぶなかしゅんべつてふら-f
Upper Nakashunbetu Tephra Formation-f
名称出典: 長谷川ほか (2009)
別名・呼称: Nu-f (宮田ほか,1988)
噴火推移・概要: プリニー式噴火?

噴煙柱を形成し降下火砕物を堆積させたと考えられる.

分布
中標津・別海町市街周辺,別海町中春別地域
噴出量

見かけ体積 2.0 km3

DRE [km3]
0.64
VEI
5
噴出量文献

長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り (山元 (2015) を参照)

岩相

白色・灰色軽石からなる降下軽石層で,上部7 cmにはスコリアも含まれる.下部には2 cmの粗粒砂サイズ火山灰層が認められる.

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

長谷川健・岸本博志・中川光弘・伊藤順一・山元孝広 (2009) 北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千〜1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史.地質雑, 369-390. https://doi.org/10.5575/geosoc.115.369

宮田雄一郎・山口昇一・矢崎清貫 (1988) 計根別地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅), 地質調査所, 77p. https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/02/02_010.htm

山元孝広 (2015) 日本の主要第四紀火山の積算マグマ噴出量階段図.地質調査総合センター研究資料集, no.613, 産総研地質調査総合センター.https://www.gsj.jp/researches/openfile/openfile2014/openfile0613.html

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

注釈

*本堆積物の下位に認められる上部中春別テフラ-gは,火山ガラス組成から,アトサヌプリ・中島火山起源であると考えられる (長谷川ほか, 2009).

東カヤ野軽石噴火

Higashikayano Pumice Eruption
年代: ca. 31.2 ka
年代手法: 層序
年代文献: 長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り(この際山元 (2010) の年代値を考慮)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 3.8 km3

東カヤ野軽石堆積物

ひがしかやのかるいしたいせきぶつ
Higashikayano Pumice Deposit
名称出典: 長谷川ほか (2009)
別名・呼称: HkP (佐藤, 1968),MIa (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: プリニー式噴火?

噴煙柱を形成し,小清水〜斜里および江南地域に降下軽石を堆積させたと考えられる.

分布
小清水〜斜里および江南地域に分布する
噴出量

見かけ体積 3.8 km3

DRE [km3]
2.28
VEI
5
噴出量文献

長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り (山元 (2015) を参照)

岩質
デイサイト (隅田, 1990a; 長谷川ほか, 2009)
岩相

白〜灰色の軽石堆積物である.軽石の発泡は悪く,径3 mm以下のスポンジ状の発泡痕が多い(長谷川ほか, 2009).

全岩化学組成 (SiO2)
61.6-69.2 wt.% (隅田, 1990a; 長谷川ほか, 2009)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

東カヤ野軽石堆積物の等層厚線図 (隅田, 1990a)

文献

長谷川健・岸本博志・中川光弘・伊藤順一・山元孝広 (2009) 北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千〜1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史.地質雑, 369-390. https://doi.org/10.5575/geosoc.115.369

佐藤博之 (1968) 東北海道斜里地域における洪積世後期の火山灰と段丘.地質調査所月報, 19, 47-58. https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9616507

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

山元孝広 (2015) 日本の主要第四紀火山の積算マグマ噴出量階段図.地質調査総合センター研究資料集, no.613, 産総研地質調査総合センター.https://www.gsj.jp/researches/openfile/openfile2014/openfile0613.html

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

上部中春別-h噴火

Upper Nakashunbetsu-h Eruption
年代: 31.3 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 山元ほか (2010) の値をCalib7を用いて暦年較正した値 (山元 (2015) を参照)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 0.8 km3

上部中春別テフラ-h

じょうぶなかしゅんべつてふら-h
Upper Nakashunbetu Tephra Formation-h
名称出典: 長谷川ほか (2009)
別名・呼称: Nu-h (宮田ほか,1988)
噴火推移・概要: プリニー式噴火?

噴煙柱を形成し,降下軽石・スコリアを堆積させた.噴火後期になるにつれ,灰色軽石・スコリアを多く放出するようになる.

分布
中標津町市街周辺〜別海町中春別地域,標津町床丹地域
噴出量

見かけ体積 0.8 km3

DRE [km3]
0.26
VEI
4
噴出量文献

長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り (山元 (2015) を参照)

岩相

複数の降下ユニットからなる降下火砕物層で,下位よりNu-h2,h1とされる.Nu-h2は白色軽石と少量の灰色軽石からなる.Nu-h1はh2よりやや細粒で,白色軽石のほかに灰色軽石・スコリアが多く含まれる.

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

長谷川健・岸本博志・中川光弘・伊藤順一・山元孝広 (2009) 北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千〜1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史.地質雑, 369-390. https://doi.org/10.5575/geosoc.115.369

宮田雄一郎・山口昇一・矢崎清貫 (1988) 計根別地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅), 地質調査所, 77p. https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/02/02_010.htm

山元孝広 (2015) 日本の主要第四紀火山の積算マグマ噴出量階段図.地質調査総合センター研究資料集, no.613, 産総研地質調査総合センター.https://www.gsj.jp/researches/openfile/openfile2014/openfile0613.html

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

上部中春別-i噴火

Upper Nakashunbetsu-I Eruption
年代: ca. 31.4 ka
年代手法: 層序
年代文献: 長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り(この際山元 (2010) の年代値を考慮)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 3.3 km3

上部中春別テフラ-i

じょうぶなかしゅんべつてふら-i
Upper Nakashunbetu Tephra Formation-i
名称出典: 長谷川ほか (2009)
別名・呼称: Nu-i (宮田ほか,1988)
噴火推移・概要: プリニー式噴火?

噴煙柱を形成し,降下火砕物を堆積させたと考えられる.本活動は,白色〜灰色軽石の噴出に始まるが,中〜後期にはスコリア・灰色軽石を噴出するようになる.

分布
中標津・別海町市街周辺,別海町中春別地域,標津町床丹地域
噴出量

見かけ体積 3.3 km3

DRE [km3]
1.3
VEI
5
噴出量文献

長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り (山元 (2015) を参照)

岩相

5つの降下ユニットからなる降下火砕物層で下位よりNu-i5〜i1とされる.Nu-i5は主に白〜灰色軽石からなる.Nu-i4はNu-i5に比べ石質岩片に富み,変質した軽石が多い.Nu-i3は灰色-縞状軽石と暗灰色の石質岩片からなる.Nu-i2は灰色軽石,スコリア,強変質した褐色岩片を多く含み,上方細粒化が認められる.Nu-i1は細礫サイズのスコリア,灰色軽石,暗灰色の石質岩片からなる.

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

長谷川健・岸本博志・中川光弘・伊藤順一・山元孝広 (2009) 北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千〜1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史.地質雑, 369-390. https://doi.org/10.5575/geosoc.115.369

宮田雄一郎・山口昇一・矢崎清貫 (1988) 計根別地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅), 地質調査所, 77p. https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/02/02_010.htm

山元孝広 (2015) 日本の主要第四紀火山の積算マグマ噴出量階段図.地質調査総合センター研究資料集, no.613, 産総研地質調査総合センター.https://www.gsj.jp/researches/openfile/openfile2014/openfile0613.html

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

上部中春別-l噴火

Upper Nakashunbetu-l Eruption
年代: 31.9 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 山元ほか (2010) の値をCalib7を用いて暦年較正した値 (山元 (2015) を参照)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 4.9 km3

上部中春別テフラ-l

じょうぶなかしゅんべつてふら-l
Upper Nakashunbetu Tephra Formation-l
名称出典: 長谷川ほか (2009)
別名・呼称: Nu-l (宮田ほか,1988)
噴火推移・概要: プリニー式噴火?

噴煙柱を形成し,降下火砕物を堆積させたと考えられる.本活動は,火山灰や軽石の噴出に始まるが,噴火後期にはスコリア・灰色軽石を噴出するようになる.

分布
別海町市街周辺,別海町中春別地域
噴出量

見かけ体積 4.9 km3

DRE [km3]
1.6
VEI
5
噴出量文献

長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り (山元 (2015) を参照)

岩質
デイサイト (長谷川ほか, 2009)
岩相

複数の降下ユニットからなる降下軽石層.下部に厚さ2〜7 cmの粗粒砂サイズの灰色火山灰2層と,これに挟在する軽石層1層が認められる.上部はスコリアと灰色軽石に富む.

全岩化学組成 (SiO2)
68.5-70.3 wt.% (長谷川ほか, 2009)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

上部中春別テフラ-iの等層厚線図 (宮田ほか, 1988)
figure

Nu-l 主部の層厚分布図 (宮田ほか,1988) ©産総研地質調査総合センター


文献

長谷川健・岸本博志・中川光弘・伊藤順一・山元孝広 (2009) 北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千〜1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史.地質雑, 369-390. https://doi.org/10.5575/geosoc.115.369

宮田雄一郎・山口昇一・矢崎清貫 (1988) 計根別地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅), 地質調査所, 77p. https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/02/02_010.htm

山元孝広 (2015) 日本の主要第四紀火山の積算マグマ噴出量階段図.地質調査総合センター研究資料集, no.613, 産総研地質調査総合センター.https://www.gsj.jp/researches/openfile/openfile2014/openfile0613.html

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

上部中春別-n噴火

Upper Nakashunbetsu-n Eruption
年代: 34.4 cal ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 山元ほか (2010) の値をCalib7を用いて暦年較正した値 (山元 (2015) を参照)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 6.4 km3

上部中春別テフラ-n

じょうぶなかしゅんべつてふら-n
Upper Nakashunbetu Tephra Formation-n
名称出典: 長谷川ほか (2009)
別名・呼称: Nu-n (宮田ほか,1988)
噴火推移・概要: プリニー式噴火?

火砕噴火が発生し降下火砕物を堆積させた.Nu-nは,上部に向かい構成物が火山灰からスコリアへと推移することから,噴火後期になるに従い安定した噴煙柱を形成していったと考えられる.

分布
中標津・別海町市街周辺,別海町中春別地域,標津町床丹地域
噴出量

見かけ体積 6.4 km3

DRE [km3]
2
VEI
5
噴出量文献

長谷川ほか (2009)

岩質
デイサイト (長谷川ほか, 2009)
岩相

複数の降下ユニットからなる降下軽石層.下部に厚さ2 cmの粗粒砂サイズの灰色火山灰が認められる.上部にはスコリアと細礫サイズの暗灰色石質岩片が多く含まれる.

全岩化学組成 (SiO2)
69.8-70.1 wt.% (長谷川ほか, 2009)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

上部中春別テフラ-nの等層厚線図 (宮田ほか, 1988)
figure

Nu-n 主部の層厚分布図 (宮田ほか,1988) ©産総研地質調査総合センター


文献

長谷川健・岸本博志・中川光弘・伊藤順一・山元孝広 (2009) 北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千〜1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史.地質雑, 369-390. https://doi.org/10.5575/geosoc.115.369

宮田雄一郎・山口昇一・矢崎清貫 (1988) 計根別地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅), 地質調査所, 77p. https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/02/02_010.htm

山元孝広 (2015) 日本の主要第四紀火山の積算マグマ噴出量階段図.地質調査総合センター研究資料集, no.613, 産総研地質調査総合センター.https://www.gsj.jp/researches/openfile/openfile2014/openfile0613.html

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

上部中春別-o噴火

Upper Nakashunbetsu-o Eruption
年代: 35.2-34.4 ka
年代手法: 層序
年代文献: 上下の噴出物より制約
噴出源: 摩周火山

総噴出量: -

上部中春別テフラ-o

じょうぶなかしゅんべつてふら-o
Upper Nakashunbetu Tephra Formation-o
名称出典: 長谷川ほか (2009)
別名・呼称: Nu-o (宮田ほか,1988)
噴火推移・概要: プリニー式噴火?

噴火様式の詳細は不明だが,噴煙柱を形成し降下火砕物を堆積させたと考えられる.

分布
中標津町市街周辺〜別海町中春別地域,標津町床丹地域.
噴出量

?

岩相

本テフラ層は宮田ほか (1988) により根釧原野地域で見出され,長谷川 (2009) で再定義された.降下軽石および火山灰層.

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

長谷川健・岸本博志・中川光弘・伊藤順一・山元孝広 (2009) 北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千〜1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史.地質雑, 369-390. https://doi.org/10.5575/geosoc.115.369

宮田雄一郎・山口昇一・矢崎清貫 (1988) 計根別地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅), 地質調査所, 77p. https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/02/02_010.htm

上部中春別-p噴火

Upper Nakashunbetsu-p Eruption
年代: ca. 35.2 ka
年代手法: 層序
年代文献: 長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り(この際山元 (2010) の年代値を考慮)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 7.4 km3

上部中春別テフラ-p

じょうぶなかしゅんべつてふら-p
Upper Nakashunbetu Tephra Formation-p
名称出典: 長谷川ほか (2009)
別名・呼称: Nu-p (宮田ほか,1988)
噴火推移・概要: プリニー式噴火?

火砕噴火が発生し降下火砕物を堆積させた.Nu-rは,上部に向かい構成物が火山灰から軽石・スコリア主体へと推移することから,噴火後期になるに従い安定した噴煙柱を形成していったと考えられる.

分布
中標津・別海町市街周辺,別海町中春別地域,標津町床丹地域
噴出量

見かけ体積 7.4 km3

DRE [km3]
2.4
VEI
5
噴出量文献

長谷川ほか (2009)

岩質
デイサイト (長谷川ほか, 2009)
岩相

本テフラ層は宮田ほか (1988) により根釧原野地域で見出され,長谷川 (2009) で再定義された.複数の降下ユニットからなる降下軽石層.下部に厚さ5 cmの細礫〜粗粒砂サイズの成層した灰色火山灰が認められる.上部にはスコリア-灰色縞状軽石と暗灰色の粗粒砂からなる層が認められる.

全岩化学組成 (SiO2)
67.3-69.5 wt.% (長谷川ほか, 2009)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

上部中春別テフラ-pの等層厚線図 (宮田ほか, 1988)
figure

Nu-p 主部の層厚分布図 (宮田ほか,1988) ©産総研地質調査総合センター


文献

長谷川健・岸本博志・中川光弘・伊藤順一・山元孝広 (2009) 北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千〜1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史.地質雑, 369-390. https://doi.org/10.5575/geosoc.115.369

宮田雄一郎・山口昇一・矢崎清貫 (1988) 計根別地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅), 地質調査所, 77p. https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/02/02_010.htm

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

注釈

*本堆積物の下位に認められる上部中春別テフラ-qは,火山ガラス組成から,大雪火山起源の大雪御鉢平テフラ (Ds-Oh) に対比される (隅田, 1990a; 長谷川ほか, 2009).

上部中春別-r噴火

Upper Nakashunbetsu-r Eruption
年代: ca. 38.3 ka
年代手法: 層序
年代文献: 長谷川ほか (2009) のFig. 15から読み取り(この際山元 (2010) の年代値を考慮)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: 見かけ体積 14 km3

上部中春別テフラ-r

じょうぶなかしゅんべつてふら-r
Upper Nakashunbetu Tephra Formation-r
名称出典: 長谷川ほか (2009)
別名・呼称: Nu-r (宮田ほか,1988),止別軽石・Ym-P (佐藤,1968),MIb (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: プリニー式噴火

噴出量が10 km3を超えるような比較的規模の大きいプリニー式噴火が発生した.

分布
中標津・別海町市街周辺,別海町中春別地域,標津町床丹地域,小清水〜斜里地域,清里町江南地域
噴出量

見かけ体積 14 km3

DRE [km3]
4.5
VEI
6
噴出量文献

長谷川ほか (2009)

岩質
デイサイト (隅田, 1990a; 長谷川ほか, 2009)
岩相

根釧原野地域において見出された本テフラ層はNu-r (宮田ほか, 1988),斜里平野地域において見出された本テフラ層はYm-P (佐藤, 1968) と命名されている.これらは長谷川ほか (2009) により,層位関係と岩石学的特徴から対比されている.複数の降下ユニットからなる降下軽石層.根釧原野地域では下部に層厚1 cm以下の粗粒砂サイズの灰色火山灰が認められる.

全岩化学組成 (SiO2)
66.6-67.9 wt.% (隅田, 1990a; 長谷川ほか, 2009)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

上部中春別テフラ-rの等層厚線図 (宮田ほか, 1988)
figure

Nu-r の層厚分布図 (宮田ほか,1988) ©産総研地質調査総合センター


文献

長谷川健・岸本博志・中川光弘・伊藤順一・山元孝広 (2009) 北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千〜1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史.地質雑, 369-390. https://doi.org/10.5575/geosoc.115.369

宮田雄一郎・山口昇一・矢崎清貫 (1988) 計根別地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅), 地質調査所, 77p. https://www.gsj.jp/Map/JP/docs/5man_doc/02/02_010.htm

佐藤博之 (1968) 東北海道斜里地域における洪積世後期の火山灰と段丘.地質調査所月報, 19, 47-58. https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9616507

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

タラコ降下軽石噴火

Tarako Pumice Fall Eruption
年代: 46-40 ka
年代手法: 層序*本噴出物が屈斜路火砕流堆積物Iの下位に,支笏火砕流堆積物の上位に位置することから.屈斜路火砕流堆積物Iと支笏火砕流堆積物の年代値は,それぞれ,山元ほか (2010),Uesawa et al. (2016) を引用した.
年代文献: 隅田 (1988),Uesawa et al. (2016), 山元ほか (2010)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: -

タラコ降下軽石堆積物

たらここうかかるいしたいせきぶつ
Tarako Pumice Fall Deposit
名称出典: 隅田 (1988)
別名・呼称: TrP,MIc (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: プリニー式噴火?

火砕噴火が発生し,斜網地域全域にタラコ軽石を降下させた.本堆積物は,下部と上部で含まれる本質物質が異なることから,

分布
MIcは,斜網地域全域にわたって分布する (隅田, 1990a).分布主軸は北東と考えられる.
岩質
軽石: デイサイト; スコリア: 安山岩 (隅田, 1990a)
岩相

タラコ軽石堆積物は,灰色を呈する降下火砕堆積物である.構成物の違いからMIc2 (下部) とMIc1 (上部) に区分される (隅田, 1990a).MIc2は,細粒火山灰とスコリアからなる.MIc1は,低発泡で斑晶に乏しい軽石からなる降下軽石堆積物である.基質部分も遊離結晶に乏しい (隅田, 1990a).

全岩化学組成 (SiO2)
軽石: 66.0-66.2 wt.% (隅田, 1990a); スコリア: 60.0-60.5 wt.% (隅田, 1990a)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

タラコ降下軽石堆積物の等層厚線図 (隅田, 1990a)

文献

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

隅田まり (1988) 斜里地域におけるテフラ層序. 知床博物館研究報告, 9, 19-31.

Uesawa S., Nakagawa M., Umetsu A. (2016) Explosive eruption activity and temporal magmatic changes at Yotei Volcano during the last 50,000 years, southwest Hokkaido, Japan. J. Volcanol. Geotherm. Res., 325, 27-44. https://doi.org/10.1016/j.jvolgeores.2016.06.008

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値. 地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

MId噴火

MId Eruption
年代: 46-40 ka
年代手法: 層序*本噴出物が屈斜路火砕流堆積物Iの下位に,支笏火砕流堆積物の上位に位置することから.屈斜路火砕流堆積物Iと支笏火砕流堆積物の年代値は,それぞれ,山元ほか (2010),Uesawa et al. (2016) を引用した.
年代文献: 隅田 (1988),Uesawa et al. (2016), 山元ほか (2010)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: -

Mid降下火山灰

Midこうかかざんばい
Mid Ash Fall Deposit
名称出典: 隅田 (1990a)
噴火推移・概要: 火砕噴火

火砕噴火が発生し,暗褐色の細粒火山灰を降下させた (隅田, 1990a).

岩相

Midは暗褐色を呈する細粒火山灰堆積物である (隅田, 1990a)

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

Uesawa S., Nakagawa M., Umetsu A. (2016) Explosive eruption activity and temporal magmatic changes at Yotei Volcano during the last 50,000 years, southwest Hokkaido, Japan. J. Volcanol. Geotherm. Res., 325, 27-44. https://doi.org/10.1016/j.jvolgeores.2016.06.008

山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値. 地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161

泉スコリア噴火

Izumi Scoria Eruption
年代: >46 ka
年代手法: 層序*本噴出物が支笏火砕流堆積物の下位に位置することから.それぞれの支笏火砕流堆積物の年代値は,Uesawa et al. (2016) を引用した.
年代文献: 隅田 (1988),Uesawa et al. (2016)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: -

泉スコリア堆積物

いずみすこりあたいせきぶつ
Izumi Scoria Deposit
名称出典: 曽根 (1985)
別名・呼称: IzSc (曽根, 1985),MIe (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: プリニー式噴火?

泉スコリア噴火では,火砕噴火が発生し,降下スコリアを発生させた.

分布
摩周火山より北北東に分布主軸をもち,細長く延びた分布域を示す (隅田, 1990a).
岩質
安山岩,デイサイト (隅田, 1990a)
岩相

泉スコリア堆積物は,複数のフォールユニットからなる降下スコリア堆積物である (隅田, 1990a).黒色で緻密なスコリアを本質物質とし,赤色スコリア (類質物質),石質岩片を含む (隅田, 1988; 隅田, 1990a).

全岩化学組成 (SiO2)
62.4-63.1 wt.% (隅田, 1990a)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

泉スコリア堆積物の等層厚線図 (隅田, 1990a)

文献

曽根敏雄 (1985) 北海道斜里地方の化石周氷河現象. 日本第四紀学会講演要旨集, 15, 74-75.

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

隅田まり (1988) 斜里地域におけるテフラ層序. 知床博物館研究報告, 9, 19-31.

Uesawa S., Nakagawa M., Umetsu A. (2016) Explosive eruption activity and temporal magmatic changes at Yotei Volcano during the last 50,000 years, southwest Hokkaido, Japan. J. Volcanol. Geotherm. Res., 325, 27-44. https://doi.org/10.1016/j.jvolgeores.2016.06.008

清里軽石-3噴火

Kiyosato Pumice-3 Eruption
年代: >46 ka
年代手法: 層序*本噴出物が支笏火砕流堆積物の下位に位置することから.それぞれの支笏火砕流堆積物の年代値は,Uesawa et al. (2016) を引用した.
年代文献: 隅田 (1988),Uesawa et al. (2016)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: -

清里軽石-3堆積物

きよさとかるいし-3たいせきぶつ
Kiyosato Pumice-3 Deposit
名称出典: 隅田 (1988)
別名・呼称: Ky.P-3 (隅田, 1988),MIf (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: プリニー式噴火?

清里軽石-2噴火では,火砕噴火が発生し,摩周火山より北東方にスコリア,火山灰を降下させた.MIf-1の下部で石質岩片が富む特徴から,Mif-1噴出初期は,火道の拡大を伴ったと考えられる (隅田, 1990a).

分布
摩周火山より北東方に分布主軸を持ち分布する (隅田, 1990a).
岩質
安山岩,デイサイト (隅田, 1990a)
岩相

清里軽石-3堆積物は,スコリア質な降下火砕堆積物である.スコリアの発泡形態および色調から下部 (MIf2) と上部 (MIf1) に細分できる (隅田, 1990a).MIf2は,発泡の悪い暗褐色のスコリアからなり,複数のフォールユニットからなる.フォールユニット間には,細粒火山灰層が認められる (隅田, 1990a).MIf1は,赤褐色の降下スコリア堆積物である.スコリアは発泡が良く,やや円磨されており安山岩質を示す (隅田, 1990a).MIf1の下部数cmは,石質岩片に富む (隅田, 1990a).

全岩化学組成 (SiO2)
59.1-70.4 wt.% (隅田, 1990a)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

清里軽石-3堆積物の等層厚線図 (隅田, 1990a)

文献

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

隅田まり (1988) 斜里地域におけるテフラ層序. 知床博物館研究報告, 9, 19-31.

Uesawa S., Nakagawa M., Umetsu A. (2016) Explosive eruption activity and temporal magmatic changes at Yotei Volcano during the last 50,000 years, southwest Hokkaido, Japan. J. Volcanol. Geotherm. Res., 325, 27-44. https://doi.org/10.1016/j.jvolgeores.2016.06.008

清里軽石-2噴火

Kiyosato Pumice-2 Eruption
年代: >46 ka
年代手法: 層序*本噴出物が支笏火砕流堆積物の下位に位置することから.それぞれの支笏火砕流堆積物の年代値は,Uesawa et al. (2016) を引用した.
年代文献: 隅田 (1988),Uesawa et al. (2016)
噴出源: 摩周火山

総噴出量: -

清里軽石-2堆積物

きよさとかるいし-2たいせきぶつ
Kiyosato Pumice-2 Deposit
名称出典: 隅田 (1988)
別名・呼称: Ky.P-2 (隅田, 1988),MIg (隅田, 1990a)
噴火推移・概要: プリニー式噴火?

清里軽石-3噴火は,摩周火山を起源とする最も古い火砕噴火である (隅田, 1990a).噴煙柱を形成し,摩周火山の北方に降下軽石を堆積させた.本堆積物が上方粗硫化を示すことから,噴煙柱の規模は噴火が進行するに連れ大きくなっていったと考えられる.

分布
摩周火山より北方に主軸をもち分布する (隅田, 1990a).
岩質
デイサイト (隅田, 1990a)
岩相

清里軽石-2堆積物は,複数のフォールユニットからなる降下軽石堆積物である (隅田, 1990a).本堆積物の下位は土壌化し,炭化木片が認められることが多い (隅田, 1990a).全体的に上方粗粒化の構造を示す.含まれる軽石は比較的発泡しているののの,一部緻密な軽石が認められる (隅田, 1990a).

全岩化学組成 (SiO2)
70.1-70.4 wt.% (隅田, 1990a)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

清里軽石-2堆積物の等層厚線図 (隅田, 1990a)

文献

隅田まり (1990a) テフロクロノロジーに基づく屈斜路火山及び摩周火山の活動史の解明に関する研究. PhD Thesis. 日本大学, 216p.

隅田まり (1988) 斜里地域におけるテフラ層序. 知床博物館研究報告, 9, 19-31.

Uesawa S., Nakagawa M., Umetsu A. (2016) Explosive eruption activity and temporal magmatic changes at Yotei Volcano during the last 50,000 years, southwest Hokkaido, Japan. J. Volcanol. Geotherm. Res., 325, 27-44. https://doi.org/10.1016/j.jvolgeores.2016.06.008

引用文献

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古川竜太・中川光弘・古堅千絵・吉本充宏 (2006) 樽前火山先史時代の噴火活動.月刊地球, 28, 302-307.

長谷川健・岸本博志・中川光弘・伊藤順一・山元孝広 (2009) 北海道東部,根釧原野および斜里平野における約3万5千〜1万2千年前のテフラ層序と後屈斜路カルデラ火山の噴火史.地質雑, 369-390. https://doi.org/10.5575/geosoc.115.369

長谷川健・柴田翔平・小林哲夫・望月伸竜・中川光弘・岸本博志 (2021) 北海道東部,摩周火山の 7.6 ka カルデラ形成噴火過程: 地質学・岩石学・古地磁気学的手法による 高分解能推移復元と Low aspect ratio ignimbrite(LARI)の認定.火山, 66, 187-210. https://doi.org/10.18940/kazan.66.3_187

石塚喜明・瀬尾春雄・池田兼徳・佐々木龍男・中川秀夫 (1953) 北部根室原野土性調査報告.北海道農業試験場土性調査報告, 2, 142 p.

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勝井義雄 (1955) 摩周火山の地質と岩石.地質雑, 61, 481-495. https://doi.org/10.5575/geosoc.61.481

勝井義雄 (1961) 火山砕屑物からみた摩周火山の活動史.地球科学, 55, 8-16. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.1961.55_8

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山元孝広・伊藤順一・中川光弘・長谷川健・岸本博志 (2010) 北海道東部,屈斜路・摩周カルデラ噴出物の放射炭素年代値.地質調査研究報告, 61, 161-170. https://doi.org/10.9795/bullgsj.61.161