Version 1.0.13

摩周カルデラ 屈斜路カルデラ 支笏カルデラ 洞爺カルデラ 濁川カルデラ 十和田カルデラ 姶良カルデラ 阿多カルデラ 池田カルデラ 鬼界カルデラ 三瓶山
火山の位置(厳密なカルデラ・火口の位置を示すものではない)

主要な活動

三瓶山の活動期区分については研究者により一部見解が異なるが,本稿では福岡・松井 (2004)に基づき噴火史をまとめている.

三瓶山の層序概念図
図の詳細に関しては【こちら】
三瓶山の噴火時系列図.横軸は年代(ka),縦軸およびバブルの大きさ・色は構成要素のVEIに対応する.
図の詳細に関しては【こちら】
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三瓶山東方上空から見た三瓶山とその説明図 (服部ほか, 1983) 産総研地質調査総合センター

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第Ⅱ期噴火までの三瓶山の層序

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三瓶山周辺の地質平面図および断面図 (松井・井上, 1971) ©地学団体研究会

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第Ⅲ期噴火〜第Ⅷ期噴火の三瓶山の層序 (福岡・松井, 2002) ©地学団体研究会

後カルデラ火山活動

第VIII期噴火

VIII stage eruption
年代: 1.4 ?-0.5 ka
年代手法: 上位の黒色土壌の14C年代から推定
年代文献: 福岡・松井 (2000)
噴出源: 三瓶火山

総噴出量: -

山頂火山灰堆積物

さんちょうかざんばいたいせきぶつ
Summit ash deposit
名称出典: 福岡・松井 (2000)
別名・呼称: Su-ad (福岡・松井, 2+S425000), 最新降下火山灰 (Tn) (松井・井上, 1971), 服部ほか (1983)の大平山降下火砕堆積物最上部, 三浦・林 (1987)の三瓶大平山降下火山灰最上部
噴火推移・概要: 水蒸気噴火?

小規模な水蒸気噴火による降下火砕物の発生,もしくは第Ⅶ期噴出物の再堆積

分布
男三瓶山山頂付近にのみ分布する (福岡・松井, 2000).
噴出量

-

DRE [km3]
-
噴出量文献

-

岩質
-
岩相

福岡・松井 (2000) は,三瓶火山山頂付近において,大平山火砕堆積物の上位に堆積する火山灰を報告した.黄灰色の細粒〜粗粒砂サイズの火山灰からなり,模式地(男三瓶山山頂)における最大層厚は80 cmで,層理は認められない.本火山灰は,Stage VIIの噴出物の再堆積である可能性が残されるが,その層相や黒雲母の含有率が大平山火砕堆積物と類似しており,三瓶火山 (男三瓶) の山頂にのみ認められることから,小規模な水蒸気爆発が発生していた可能性も指摘されている.

全岩化学組成 (SiO2)
-
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

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三瓶火山における火山灰の露頭写真 (福岡・松井, 2000) ©福岡・松井


文献

福岡 孝・松井整司 (2000) 三瓶火山の山頂火山灰について. 島根大学地球資源環境学研究報告, 19, 27-29. https://ir.lib.shimane-u.ac.jp/ja/list/journals/G/S-GRS

服部 仁・鹿野和彦・鈴木隆介・松浦浩久・佐藤博之 (1983) 5万分の1地質図幅「三瓶山」及び同説明書. 地質調査所, 169p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_12038_1983_D.pdf

林 正久・三浦 清 (1987) 三瓶火山のテフラの層序とその分布. 山陰地域研究, 3, 43-66. http://doi.org/10.24484/sitereports.120588-54633

松井整司・井上多津男 (1971) 三瓶火山の噴出物と層序. 地球科学, 25, 147-163. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.25.4_147

第VII期噴火

VII stage eruption
年代: 3.76±0.13 ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 沢田ほか (1999)など
噴出源: 三瓶火山

総噴出量: -

大平山火砕堆積物

たいへいざんかさいりゅうたいせきぶつ
Taiheizann pyroclastic deposit
名称出典: 福岡・松井 (2002):改称
別名・呼称: Th-Pd (福岡・松井, 2002), 大平山降下火山灰 (Tfl), 大平山火砕流 (Tfw) (松井・井上, 1971), 大平山砕屑流 (小幡, 1967), 服部ほか (1983)の大平山降下火砕堆積物の大部分と大平山火砕流堆積物, 林・三浦 (1987)の三瓶大平山降下火山灰の大部分と三瓶大平山火砕流
噴火推移・概要: ブルカノ式噴火と火砕流?

火砕流が複数回発生した.草野・中山 (1999)では,本層の火砕流部分を溶岩ドーム崩壊型のブロックアンドアッシュフローであると解釈したが,大類・鈴木 (2012)ではパン皮状火山弾が認められることや岩片の化学組成による対比などから,爆発的な噴火で発生した火砕流であると解釈している.

分布
火砕流堆積物は,早水川 (山頂から南西方向),角井川 (山頂から東方) 沿いに認められる.降下火山灰は,山体から約40 km東方にまで確認できる (三浦・林, 1991).
噴出量

-

DRE [km3]
-
VEI
5
噴出量文献

町田・新井 (2003)

岩質
角閃石黒雲母デイサイト
岩相

本層は降下火山灰と火砕流からなる堆積物である.三瓶山東麓の頓原町において,6つのフローユニットとからなる火砕流堆積物と,5層の降下火山灰が確認される (下位から,Th1,2,3…6; 草野・中山, 1999;福岡・松井, 2002).いずれも,デイサイト質の火山岩塊と同質の火山礫・火山灰からなる.草野・中山 (1999)では,本層の火砕流部分を溶岩ドーム崩壊型のブロックアンドアッシュフローであると解釈したが,大類・鈴木 (2012)ではパン皮状火山弾が認められることや岩片の化学組成による対比などから,爆発的な噴火で発生した火砕流であると解釈している.

全岩化学組成 (SiO2)
-
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

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太平山火砕流堆積物の露頭写真およびそのスケッチ(草野・中山, 1999) ©日本火山学会


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太平山火砕流堆積物の露頭写真 (服部ほか, 1983) 産総研地質調査総合センター


文献

福岡 孝・松井整司 (2002) AT 降灰以降の三瓶火山噴出物の層序. 地球科学, 56, 105-122. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.56.2_105

服部  仁・鹿野和彦・鈴木隆介・松浦浩久・佐藤博之 (1983) 5万分の1地質図幅「三瓶山」及び同説明書. 地質調査所, 169p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_12038_1983_D.pdf

草野高志・中山勝博 (1999) ブロックアンドアッシュフローの堆積過程 (予察): 島根県三瓶火山の太平山火砕流堆積物の例. 火山, 44, 143-156. https://doi.org/10.18940/kazan.44.3_143

小幡 浩 (1967) 三瓶山の地形と火山灰編年について. 地理評, 40, 553-563. https://doi.org/10.4157/grj.40.553

町田 洋・ 新井房夫 (2003) 新編火山灰アトラス-日本列島とその周辺-.東京大学出版会, 336 p.

松井整司・井上多津男 (1971) 三瓶火山の噴出物と層序. 地球科学, 25, 147-163. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.25.4_147

三浦 清・林 正久 (1987) 火山活動史からみた三瓶火山のテフラの鉱物特性. 山陰地域研究 (自然環境編), 3, 67-94.

三浦 清・林 正久 (1991) 中国・四国地方の第四紀テフラ研究 広域テフラを中心として. 第四紀研究, 30, 339-351. https://doi.org/10.4116/jaqua.30.339

大類 瞬・鈴木桂子 (2012) 三瓶火山の太平山火砕堆積物の形成過程. 日本火山学会講演予稿集, p156. https://doi.org/10.18940/vsj.2012.0_156

沢田順弘・福江美智子・兵頭政幸 (1999) 後期第四紀三瓶火山の古地磁気学: 溶岩ドームの年代, 構造, 火砕流堆積物の定置温度見積もり, 及び自己反転磁性鉱物の発見. 地球惑星科学関連学会 1999 年合同大会講演要旨.

第VII期噴火

VII stage eruption
年代: 3.76±0.13 ka
年代手法: *1 14C年代, *2古地磁気
年代文献: *1松井 (2002), *2沢田ほか (1999)
噴出源: 三瓶火山

総噴出量: 全溶岩ドームのDRE 2.5 km3

男三瓶山,女三瓶山,子三瓶山,孫三瓶山

おさんべさん,めさんべさん,こさんべさん,まごさんべさん
Osanbesan, Mesanbesan, Kosanbesan, Magosanbesan
名称出典: -
別名・呼称: -
噴火推移・概要: 溶岩ドーム

現在の男三瓶山,女三瓶山,子三瓶山,孫三瓶山をなす複数の溶岩ドームの形成

分布
現在の三瓶火山の主体をなす.
噴出量

-

DRE [km3]
2.5 km3 (including all lava dome)
VEI
5
噴出量文献

服部ほか (1983)

岩質
黒雲母角閃石デイサイト
岩相

流理構造は全く認められない.発泡度が低く,大部分 (特に表層部) は酸化により赤紫色を示す.その一方溶岩の深部では,灰色を呈する (服部ほか, 1983).男三瓶山と子三瓶山は,第Ⅶ期に形成された他の溶岩ドームと比較すると,やや斑晶量が乏しい傾向がある (浅野ほか, 2018).また,女三瓶山は第Ⅶ期に形成された他の溶岩ドームと比較すると,石英に乏しい傾向がある (松元, 1994).

全岩化学組成 (SiO2)
65-66.5 wt.%
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

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三瓶山東方上空から見た三瓶山とその説明図 (服部ほか, 1983) 産総研地質調査総合センター


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Stage VIIに形成された4つの溶岩ドームの位置関係 (浅野ほか, 2018) ©日本火山学会


文献

浅野一平・五井健登・清杉孝司・鈴木桂子・巽 好幸 (2018) 三瓶火山溶岩ドームの形成過程. 火山, 63, 19-32. https://doi.org/10.18940/kazan.63.2_19

服部 仁・鹿野和彦・鈴木隆介・松浦浩久・佐藤博之 (1983) 5万分の1地質図幅「三瓶山」及び同説明書. 地質調査所, 169p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_12038_1983_D.pdf

松井整司 (2002) 三瓶火山の噴出物とその年代. 志津見ダム建設予定地内埋蔵文化財発掘調査報告書12, 下山遺跡, 225-233.

松元拓朗 (1994) 三瓶火山円頂丘溶岩の化学組成. 地質学雑誌, 100, 639-641. https://doi.org/10.5575/geosoc.100.639

沢田順弘・福江美智子・兵頭政幸 (1999) 後期第四紀三瓶火山の古地磁気学: 溶岩ドームの年代, 構造, 火砕流堆積物の定置温度見積もり, 及び自己反転磁性鉱物の発見. 地球惑星科学関連学会 1999 年合同大会講演要旨.

第Ⅵ期噴火

VI stage eruption
年代: -
年代手法: -
年代文献: -
噴出源: 三瓶火山

総噴出量: -

角井降下火山灰堆積物

つのいこうかかざんばいたいせきぶつ
Tsunoi ash fall deposit
名称出典: 福岡・松井 (2002)
別名・呼称: S3-fa (福岡・松井, 2002), S3 (松井・井上, 1971)
噴火推移・概要: ブルカノ式噴火と火砕流→ブルカノ式噴火

ブルカノ式噴火の発生 (降下火砕堆積物と火砕サージの噴出)

分布
三瓶山から東北東約30 kmの仁多町林原など,山麓の南西方〜東方にかけて広く認められるが,北麓では報告例がない (福岡・松井, 2002).
噴出量

-

DRE [km3]
-
噴出量文献

-

岩質
-
岩相

角井降下火山灰堆積物は,志学火砕流を整合的に覆う互層状の降下火砕物である.模式地(三瓶山南西麓,緑ヶ丘)における層厚は約2 mであり,本地点においてのみ最下部に層厚50 cm程度の平行葉理に近い低角の火砕サージが認められる.火砕サージの上位約1 mはおよそ10のユニットに分けられ,各ユニットの厚さは数 cm〜20 cmである (福岡・松井, 2002).

全岩化学組成 (SiO2)
-
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

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角井降下火山灰の露頭写真.三瓶火山より南西に約3 kmの露頭である.⑥が角井降下火山灰に相当する.②,④,⑦,⑩はそれぞれ土壌である.(福岡・松井, 2002) ©地学団体研究会


文献

福岡 孝・松井整司 (2002) AT 降灰以降の三瓶火山噴出物の層序. 地球科学, 56, 105-122. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.56.2_105

福岡 孝・松井整司 (2004) 三瓶火山の噴火様式の変遷. 島根県立三瓶自然館研究報告, 2, 9-14.

松井整司・井上多津男 (1971) 三瓶火山の噴出物と層序. 地球科学, 25, 147-163. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.25.4_147

第Ⅵ期噴火

VI stage eruption
年代: 4.48±0.11 ka*1, 4.85±0.07 ka*2
年代手法: *1&2 14C年代
年代文献: *1松井・井上 (1970), *2福岡・松井 (2004)
噴出源: 三瓶火山

総噴出量: -

志学火砕流堆積物

しがくかさいりゅうたいせいぶつ
Shigaku pyroclastic flow deposit
名称出典: 松井・井上 (1971)
別名・呼称: S2 (松井・井上, 1971), S2-fl (福岡・松井, 2002)
噴火推移・概要: ブルカノ式噴火と火砕流→ブルカノ式噴火

火砕流 (ブロックアンドアッシュフロー)の発生

分布
三瓶火山東麓の模式地(法師ヶ峠)と南西部の一部の限られた場所に認められる (福岡・松井, 2002).
噴出量

-

DRE [km3]
-
噴出量文献

-

岩質
デイサイト
岩相

白色から淡黄灰色の軽石質デイサイトと同質の基質火山灰からなるブロックアンドアッシュフロー堆積物である.灰白色~灰色を呈するデイサイトの角礫を含むみ,類質物質や異質物質とみられるものは少ない.三瓶火山南西麓ではガス抜けパイプ構造が見られる (福岡・松井, 2002).

全岩化学組成 (SiO2)
-
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

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志学火砕流堆積物の露頭写真.三瓶火山より南西に約3 kmの露頭である.⑤が志学火砕流堆積物に相当する.②,④,⑦,⑩はそれぞれ土壌である. (福岡・松井, 2002) ©地学団体研究会


文献

福岡 孝・松井整司 (2002) AT 降灰以降の三瓶火山噴出物の層序. 地球科学, 56, 105-122. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.56.2_105

福岡 孝・松井整司 (2004) 三瓶火山の噴火様式の変遷. 島根県立三瓶自然館研究報告, 2, 9-14.

松井整司・井上多津男 (1970) 三瓶火山噴出物の14C年代 日本の第四紀層の14C年代(56). 地球科学, 24, 112-114. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.24.3_112

松井整司・井上多津男 (1971) 三瓶火山の噴出物と層序. 地球科学, 25, 147-163. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.25.4_147

第Ⅵ期噴火

VI stage eruption
年代: -
年代手法: -
年代文献: -
噴出源: 三瓶火山

総噴出量: -

志学降下火山灰堆積物

しがくこうかかざんばいたいせきぶつ
Shigaku pyroclastic ash fall deposit
名称出典: 松井・井上 (1971)
別名・呼称: S1-fa (福岡・松井, 2002), S1 (松井・井上, 1971)
噴火推移・概要: ブルカノ式噴火と火砕流→ブルカノ式噴火

志学火砕流噴火の発生に伴い,先行して火山灰が降下した

分布
三瓶火山東麓の模式地(法師ヶ峠)でのみ認められる(松井・井上, 1971).
噴出量

-

DRE [km3]
-
噴出量文献

-

岩質
-
岩相

下部の極細粒砂サイズの火山灰と上部の粗粒砂サイズの火山灰からなる (松井・井上, 1971).下半部約10 cmは黄灰色で極細粒砂サイズの淘汰の良い火山灰であり,上半部約10 cmは灰色〜茶褐色で粗粒砂サイズの火山灰からなり,3層ほどの葉理が見られる (福岡・松井, 2002).

全岩化学組成 (SiO2)
-
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

福岡 孝・松井整司 (2002) AT 降灰以降の三瓶火山噴出物の層序. 地球科学, 56, 105-122. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.56.2_105

福岡 孝・松井整司 (2004) 三瓶火山の噴火様式の変遷. 島根県立三瓶自然館研究報告, 2, 9-14.

松井整司・井上多津男 (1971) 三瓶火山の噴出物と層序. 地球科学, 25, 147-163. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.25.4_147

第Ⅴ期噴火

V stage eruption
年代: 10 ka頃
年代手法: 上位と下位の黒色土壌の14C年代から推定
年代文献: 福岡・松井 (2002)
噴出源: 三瓶火山

総噴出量: -

切割降下火山灰堆積物

きりわりこうかかざんばいたいせきぶつ
Kiriwari ash fall deposti
名称出典: 福岡・松井 (2002)
別名・呼称: Kr-fa (福岡・松井, 2002)
噴火推移・概要: ブルカノ式噴火?

降下火砕物の噴出

分布
三瓶火山山麓の南西部〜東部で認められる (福岡・松井, 2002).
噴出量

-

DRE [km3]
-
噴出量文献

-

岩質
-
岩相

茶褐色~黄褐色の降下火砕物であり,岩相から下部中部上部に区分される.下部は,茶灰色の塊状火山灰層である.中部は,シルトサイズの火山灰と中~細粒砂火山灰からなる葉理が認められる.上部は,黄灰色の塊状火山灰であり,軽石質デイサイト質岩片を含む (福岡・松井, 2002).

全岩化学組成 (SiO2)
-
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

切割降下火砕物の露頭写真.三瓶火山より南西に約3 kmの露頭である.③が切割降下火砕物に相当する.②,④,⑦,⑩はそれぞれ土壌である. (福岡・松井, 2002) ©地学団体研究会


文献

福岡 孝・松井整司 (2002) AT 降灰以降の三瓶火山噴出物の層序. 地球科学, 56, 105-122. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.56.2_105

第IV期噴火

IV stage eruption
年代: -
年代手法: -
年代文献: -
噴出源: 三瓶火山

総噴出量: -

浮布降下火山灰堆積物

うきぬのこうかかざんばいたいせきぶつ
Ukinuno ash fall deposit
名称出典: 松井・井上 (1971):命名,福岡・松井 (2002):再定義
別名・呼称: Uk-fa (福岡・松井, 2002) 服部ほか (1983)の三瓶降下軽石堆積物の上部,林・三浦 (1987)の三瓶浮布降下軽石の上部
噴火推移・概要: 溶岩の流出→サブプリニアン噴火による火砕流・火砕サージ・降下火砕物の発生

降下火砕物の噴出

分布
三瓶山山麓の西〜南西方向と東方向で確認される (福岡・松井, 2002).
噴出量

-

DRE [km3]
-
噴出量文献

-

岩質
デイサイト
岩相

無層理の黄灰色〜茶灰色の細粒砂サイズの降下火山灰堆積物である.軽石や岩片はほとんど含まれず,三瓶山山麓の西〜南西部では火山豆石を含むことが多い.複数の地点において,本堆積物の下部にはMn化合物を含む黒色物質が集積した薄層が観察される.層厚は模式地(三瓶山東方,志津見)で約3 m,南西麓で5 mである (福岡・松井, 2002).

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

浮布降下火砕物の露頭写真. 三瓶火山より南西に約3 kmの露頭である.①が浮布降下火砕物に相当する.②,④,⑦,⑩はそれぞれ土壌である. (福岡・松井, 2002) ©地学団体研究会


文献

福岡 孝・松井整司 (2002) AT 降灰以降の三瓶火山噴出物の層序. 地球科学, 56, 105-122. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.56.2_105

服部 仁・鹿野和彦・鈴木隆介・松浦浩久・佐藤博之 (1983) 5万分の1地質図幅「三瓶山」及び同説明書. 地質調査所, 169p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_12038_1983_D.pdf

林 正久・三浦 清 (1987) 三瓶火山のテフラの層序とその分布. 山陰地域研究, 3, 43-66. http://doi.org/10.24484/sitereports.120588-54633

松井整司・井上多津男 (1971) 三瓶火山の噴出物と層序. 地球科学, 25, 147-163. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.25.4_147

第IV期噴火

IV stage eruption
年代: 19±4 ka*1
年代手法: TL年代
年代文献: 下岡ほか (2009)
噴出源: 三瓶火山

総噴出量: -

緑ヶ丘火砕流堆積物

みどりがおかかさいりゅうたいせきぶつ
Midorigaoka pyroclastic flow deposit
名称出典: 福岡・松井 (2002)
別名・呼称: Md-fl (福岡・松井, 2002)
噴火推移・概要: 溶岩の流出→サブプリニアン噴火による火砕流・火砕サージ・降下火砕物の発生

火砕流 (アッシュフロー)の噴出

分布
露出が悪く,模式地(三瓶山南西麓,緑ヶ丘)でのみ観察される (福岡・松井, 2002).
噴出量

-

DRE [km3]
-
噴出量文献

-

岩質
デイサイト
岩相

細粒〜中粒砂サイズの火山灰を主体とするアッシュフローの層相を示す火砕流堆積物である.全体として茶灰色〜灰色を呈し,塊状無層理である.軽石は白色〜灰白色,黄色を示し,一般に発泡は悪い.模式地(三瓶山南西麓,緑ヶ丘)における層厚は10 m以上である (福岡・松井, 2002).

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

三瓶町久部における緑ヶ丘火砕流の露頭スケッチ (下岡ほか, 2009) ©下岡ほか


文献

福岡 孝・松井整司 (2002) AT 降灰以降の三瓶火山噴出物の層序. 地球科学, 56, 105-122. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.56.2_105

下岡順直・福岡 孝・長谷川 歩・草野高志・長友恒人 (2009) 三瓶火山噴出物の熱ルミネッセンス (TL) 年代測定. 島根県立三瓶自然館研究報告, 7, 15-24.

第IV期噴火

IV stage eruption
年代: 16±0.4 ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 松井・井上 (1970)
噴出源: 三瓶火山

総噴出量: DRE:4 km3

浮布降下軽石堆積物

うきぬのこうかかるいしたいせきぶつ
Ukinuno pumice fall deposit
名称出典: 松井・井上 (1971)
別名・呼称: U2 (松井・井上, 1971), SUP (町田・新井, 1992), Uk-pfa (福岡・松井, 2002), 服部ほか (1983)の三瓶降下軽石堆積物の下部,林・三浦 (1987)の三瓶浮布降下軽石の下部
噴火推移・概要: 溶岩の流出→サブプリニアン噴火による火砕流・火砕サージ・降下火砕物の発生

降下火砕物の噴出

分布
カルデラ内外に広く分布するが,主に三瓶山山麓の南西部〜南部〜東部に分布する (福岡・松井, 2002).町田・新井 (1992)では近畿地方南部まで分布すると報告されている.
噴出量

-

DRE [km3]
4 km3
VEI
5
噴出量文献

第四紀火山カタログ編集委員会編 (1999), 町田・新井 (2003)

岩質
デイサイト
岩相

塊状の軽石支持の降下火砕物であり,間を埋める火山灰は少ない.正確なユニット境界は数え難いがわずかな層理が確認される.砲丸大の極めて発泡の良い黄灰色の軽石が密集しているようすがみられる (松井・井上, 1971;福岡・松井, 2002).三瓶山南西麓における最大層厚はおよそ6 mであり,三瓶町志学の露頭では縞状軽石が確認される (福岡・松井, 2002).

全岩化学組成 (SiO2)
61.9-66.2 wt.% (福岡・松井, 2002)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

三瓶山周辺の地質平面図および断面図(浮布降下軽石堆積物は図中のU2・3)(松井・井上, 1971) ©地学団体研究会


文献

第四紀火山カタログ編集委員会編 (1999)日本の第四紀火山カタログ. 日本火山学会

福岡 孝・松井整司 (2002) AT 降灰以降の三瓶火山噴出物の層序. 地球科学, 56, 105-122. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.56.2_105

福岡 孝・松井整司 (2004) 三瓶火山の噴火様式の変遷. 島根県立三瓶自然館研究報告, 2, 9-14.

服部 仁・鹿野和彦・鈴木隆介・松浦浩久・佐藤博之 (1983) 5万分の1地質図幅「三瓶山」及び同説明書. 地質調査所, 169p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_12038_1983_D.pdf

林 正久・三浦 清 (1987) 三瓶火山のテフラの層序とその分布. 山陰地域研究, 3, 43-66. http://doi.org/10.24484/sitereports.120588-54633

町田 洋・ 新井房夫 (1992) 火山灰アトラス-日本列島とその周辺-.東京大学出版会, 276 p.

町田 洋・ 新井房夫 (2003) 新編火山灰アトラス-日本列島とその周辺-.東京大学出版会, 336 p.

松井整司・井上多津男 (1970) 三瓶火山噴出物の14C年代 日本の第四紀層の14C年代(56). 地球科学, 24, 112-114. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.24.3_112

松井整司・井上多津男 (1971) 三瓶火山の噴出物と層序. 地球科学, 25, 147-163. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.25.4_147

第IV期噴火

IV stage eruption
年代: 16±0.4 ka*1, 15±0.4 ka*2
年代手法: *1&2 14C年代
年代文献: *1松井・井上 (1970), *2服部ほか (1983)
噴出源: 三瓶火山

総噴出量: -

小田火砕流堆積物

おだかさいりゅうたいせきぶつ
Oda pyroclastic flow deposit
名称出典: 福岡・松井 (2002):再定義
別名・呼称: Od-fl (福岡・松井, 2002) 松井・井上 (1971)の浮石火砕流 (U1)の一部,服部ほか (1983)の小田火砕流堆積物の一部,林・三浦 (1987)の三瓶小田火砕流の一部
噴火推移・概要: 溶岩の流出→サブプリニアン噴火による火砕流・火砕サージ・降下火砕物の発生

軽石を主体とし,フローユニットが複数確認されることから,噴煙柱の崩壊を繰り返したことにより複数の火砕流が発生したと考えられる.

分布
カルデラ内では三瓶山南西麓の低所を埋めて厚く堆積している.カルデラ外では三瓶山南方〜西方で確認される (福岡・松井, 2002).
噴出量

-

DRE [km3]
-
噴出量文献

-

岩質
デイサイト
岩相

本堆積物は軽石流の層相を呈する火砕流堆積物である.本質物質として灰色〜紫灰色火山灰と,白色〜紫灰色〜黄色の発泡の悪い軽石が見られる.軽石の最大粒径は30 cm程度である.厚さ1〜2 mの数枚のフローユニットや,大礫サイズ以下の岩塊が列状に並んだトラクションカーペットが観察される場合もある.模式地(果瀬谷上流)周辺における見かけの最大層厚は8 m以上である (福岡・松井, 2002).

全岩化学組成 (SiO2)
63.5-66.4 wt.% (福岡・松井, 2002)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

服部 仁・鹿野和彦・鈴木隆介・松浦浩久・佐藤博之 (1983) 5万分の1地質図幅「三瓶山」及び同説明書. 地質調査所, 169p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_12038_1983_D.pdf

林 正久・三浦 清 (1987) 三瓶火山のテフラの層序とその分布. 山陰地域研究, 3, 43-66. http://doi.org/10.24484/sitereports.120588-54633

福岡 孝・松井整司 (2002) AT 降灰以降の三瓶火山噴出物の層序. 地球科学, 56, 105-122. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.56.2_105

福岡 孝・松井整司 (2004) 三瓶火山の噴火様式の変遷. 島根県立三瓶自然館研究報告, 2, 9-14.服部 仁・鹿野和彦・鈴木隆介・松浦浩久・佐藤博之 (1983) 5万分の1地質図幅「三瓶山」及び同説明書. 地質調査所, 169p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_12038_1983_D.pdf

松井整司・井上多津男 (1970) 三瓶火山噴出物の14C年代 日本の第四紀層の14C年代(56). 地球科学, 24, 112-114. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.24.3_112

松井整司・井上多津男 (1971) 三瓶火山の噴出物と層序. 地球科学, 25, 147-163. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.25.4_147

第IV期噴火

IV stage eruption
年代: -
年代手法: -
年代文献: -
噴出源: 三瓶火山

総噴出量: -

小田サージ堆積物

おださーじたいせきぶつ
Oda surge deposit
名称出典: 福岡・松井 (2002):再定義
別名・呼称: Od-sd (福岡・松井, 2002) 松井・井上 (1971)の浮石火砕流 (U1)の一部,小田ベースサージ堆積物 (服部ほか, 1983)
噴火推移・概要: 溶岩の流出→サブプリニアン噴火による火砕流・火砕サージ・降下火砕物の発生

火砕サージの発生

分布
カルデラの内外で確認され,主に三瓶山山麓の南西方に分布する (福岡・松井, 2002).
噴出量

-

DRE [km3]
-
噴出量文献

-

岩質
-
岩相

本堆積物は平行層理や低角度の斜交層理が発達する火砕サージ堆積物である.模式地(果瀬谷川上流)では,波長数mのアンチデューン構造も認められる.境界は明瞭ではないが5層に識別できる.最下層は層厚約50 cmで軽石が少なく,黄褐色の火山灰を基質としている.上位4層はそれぞれ1 m前後の層厚で,下位ほど軽石が卓越する (福岡・松井, 2002).

本堆積物は服部ほか (1983)ではベースサージとして解釈されていたが,ベースサージの特徴が認められないことから,福岡・松井 (2002)においてサージ堆積物として再定義された.

全岩化学組成 (SiO2)
-
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

三瓶山南麓における小田サージ堆積物の露頭スケッチ (福岡, 2005) ©福岡


文献

服部 仁・鹿野和彦・鈴木隆介・松浦浩久・佐藤博之 (1983) 5万分の1地質図幅「三瓶山」及び同説明書. 地質調査所, 169p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_12038_1983_D.pdf

福岡 孝・松井整司 (2002) AT 降灰以降の三瓶火山噴出物の層序. 地球科学, 56, 105-122. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.56.2_105

福岡 孝・松井整司 (2004) 三瓶火山の噴火様式の変遷. 島根県立三瓶自然館研究報告, 2, 9-14.

福岡 孝(2005) 三瓶火山第IV期噴出物の14C年代. 島根県立三瓶自然館研究報告, 3, 61-64.服部 仁・鹿野和彦・鈴木隆介・松浦浩久・佐藤博之 (1983) 5万分の1地質図幅「三瓶山」及び同説明書. 地質調査所, 169p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_12038_1983_D.pdf

松井整司・井上多津男 (1971) 三瓶火山の噴出物と層序. 地球科学, 25, 147-163. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.25.4_147

第IV期噴火

IV stage eruption
年代: 16±0.2 ka
年代手法: 14C年代
年代文献: 林・三浦 (1987)
噴出源: 三瓶火山

総噴出量: -

果瀬谷火砕流堆積物

はたせだにかさいりゅうたいせきぶつ
Hatasedani pyroclastic flow dposit
名称出典: 福岡・松井 (2002)
別名・呼称: Ht-fl (福岡・松井, 2002), 松井・井上 (1971)の浮石火砕流 (U1)の一部,服部ほか (1983)の小田火砕流堆積物の一部,林・三浦 (1987)の三瓶小田火砕流の一部
噴火推移・概要: 溶岩の流出→サブプリニアン噴火による火砕流・火砕サージ・降下火砕物の発生

火砕流 (ブロックアンドアッシュフロー)の発生

分布
三瓶山南西方の果瀬谷川上流を模式地とし,三瓶山西〜南西方の林道で断片的に露出する (福岡・松井, 2002).
噴出量

-

DRE [km3]
-
噴出量文献

-

岩質
デイサイト
岩相

無層理のブロックアンドアッシュフローの層相を呈する火砕流堆積物である.灰色〜茶褐色の基質火山灰と灰白色の軽石質デイサイト,高密度な白色軽石,石質岩片などを含み,露頭によっては炭化木片が多数見られる (福岡・松井, 2022).

全岩化学組成 (SiO2)
61.7-64.2 wt.% (福岡・松井, 2002)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

三瓶山南麓における果瀬谷火砕流の露頭スケッチ (福岡, 2005) ©福岡


文献

福岡 孝・松井整司 (2002) AT 降灰以降の三瓶火山噴出物の層序. 地球科学, 56, 105-122. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.56.2_105

福岡 孝(2005) 三瓶火山第IV期噴出物の14C年代. 島根県立三瓶自然館研究報告, 3, 61-64.

服部 仁・鹿野和彦・鈴木隆介・松浦浩久・佐藤博之 (1983) 5万分の1地質図幅「三瓶山」及び同説明書. 地質調査所, 169p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_12038_1983_D.pdf

林 正久・三浦 清 (1987) 三瓶火山のテフラの層序とその分布. 山陰地域研究, 3, 43-66. http://doi.org/10.24484/sitereports.120588-54633

松井整司・井上多津男 (1971) 三瓶火山の噴出物と層序. 地球科学, 25, 147-163. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.25.4_147

第IV期噴火

IV stage eruption
年代: 25±43 ka
年代手法: K-Ar年代
年代文献: Kimura et al. (2003)
噴出源: 三瓶火山

総噴出量: DRE:0.15 km3

日影山溶岩

ひかげやまようがん
Hikageyama lava
名称出典: 服部ほか (1983)
別名・呼称: 日影山溶岩円頂丘, HL (松井・井上, 1971)
噴火推移・概要: 溶岩の流出→サブプリニアン噴火による火砕流・火砕サージ・降下火砕物の発生

溶岩ドームの形成

分布
日影山をはじめ,三瓶山体の南縁部を構成し,三瓶温泉南東方約300 mで観察される (福岡・松井, 2002).
噴出量

-

DRE [km3]
0.15 km3
VEI
4
噴出量文献

第四紀火山カタログ編集委員会編 (1999)

岩質
デイサイト
岩相

本溶岩は灰色または赤褐色の粗粒な斑晶を含む溶岩である.露出が不十分なため,溶岩の枚数などは不明である (服部ほか, 1983).

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

三瓶山の地質図 (服部ほか, 1983) 産総研地質調査総合センター


figure

三瓶山東方上空から見た三瓶山とその説明図 (服部ほか, 1983) 産総研地質調査総合センター


文献

第四紀火山カタログ編集委員会編 (1999)日本の第四紀火山カタログ. 日本火山学会

福岡 孝・松井整司 (2002) AT 降灰以降の三瓶火山噴出物の層序. 地球科学, 56, 105-122. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.56.2_105

服部 仁・鹿野和彦・鈴木隆介・松浦浩久・佐藤博之 (1983) 5万分の1地質図幅「三瓶山」及び同説明書. 地質調査所, 169p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_12038_1983_D.pdf

Kimura, J., Kunikiyo, T., Osaka, I., Nagao, T., Yamauchi, S., Kakubuchi, S., Okada, S., Fujibayashi, N., Okada, R., Murakami, H., Kusano, T., Umeda, K., Hayashi, S., Ishimaru, T., Ninomiya, A. and Tanase, A. (2003) Late Cenozoic volcanic activity in the Chugoku area, southwest Japan arc during back-arc basin opening and reinitiation of subduction. The Island Arc, 12, 22-45. https://doi.org/10.1046/j.1440-1738.2003.00377.x

松井整司・井上多津男 (1971) 三瓶火山の噴出物と層序. 地球科学, 25, 147-163. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.25.4_147

第III期噴火

III stage eruption
年代: 40-35 ka*1, 49±10 ka*2
年代手法: *1層序*ATの下位, *2TL年代
年代文献: *1町田・新井 (2011), *2下岡ほか (2009)
噴出源: 三瓶火山

総噴出量: DRE:4 km3

池田軽石堆積物

いけだかるいしたいせきぶつ
Ikeda pumice Deposit
名称出典: 福岡・松井 (2002)
別名・呼称: 飯南降下火山灰堆積物(I1) (松井・井上, 1971), 池田降下軽石堆積物 (I2) (松井・井上, 1971), 上山ベースサージ堆積物 (服部ほか, 1983)
噴火推移・概要: プリニー式噴火

プリニー式噴火による降下火砕物及び火砕サージの発生

分布
軽石は出雲南部および広島県北東部を広く覆い,比較的広域に分布する (松井・井上, 1971).また,静岡県においても分布が認められる (佐護・町田, 1996).
噴出量

DRE:4 km3

DRE [km3]
4 km3
VEI
5
噴出量文献

福岡・松井 (2002)

岩質
デイサイト
岩相

本層の岩相記載は松井・井上 (1971) と服部ほか (1983)に詳しいが,以降詳細な記載がなく、またそれぞれで記載が異なる部分があるため,本稿では引用元を示し,両記載を掲載する.

松井・井上 (1971):本層は池田降下軽石堆積物と,飯南降下火山灰からなる.池田降下軽石堆積物は,fall unit毎に弱い層理がみられる.全体に くすんだ黄灰色の色調であるが,軽石自体は新鮮で断面は白色である.少量の花崗岩類が石質岩片として確認される.池田における層厚は約 7 mである.飯石群南部では,池田降下軽石堆積物の下位に約0.2 mの層厚で堆積する,灰白色の粘土質火山灰からなる飯南降下火山灰が見られる.

服部ほか (1983):本層はカルデラ近傍に認められる淡⻩⽩⾊の⽕砕サージ堆積物であり,数cm以下の白色軽石片および石質岩片と,これらの細粒物質で構成される.最大層厚は枡ヶ峠北方で約30 m,上山西方のカルデラ壁において約35 mである.全体として基底地形に並行する成層構造が見られ,各単層の淘汰も比較的良い.これらの記載と,本層の分布や粒度組成,堆積構造などの特徴に基づき,服部ほか(1983)では,本層をベースサージ堆積物であると解釈している.

全岩化学組成 (SiO2)
68 wt.% (服部ほか, 1983)
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

池田降下軽石堆積物の露頭写真 (河野ほか, 2013) ©地学団体研究会


文献

福岡 孝・松井整司 (2002) AT 降灰以降の三瓶火山噴出物の層序. 地球科学, 56, 105-122. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.56.2_105

服部 仁・鹿野和彦・鈴木隆介・松浦浩久・佐藤博之 (1983) 5万分の1地質図幅「三瓶山」及び同説明書. 地質調査所, 169p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_12038_1983_D.pdf

河野重範・福岡 孝・草野高志 (2013) 三瓶火山とその噴出物. 地学団体研究会第 67 会総会講演要旨集, 171-176.

町田 洋・新井房夫 (2011) 新編第2刷火山灰アトラス-日本列島とその周辺-.東京大学出版会, 337p.

松井整司・井上多津男 (1971) 三瓶火山の噴出物と層序. 地球科学, 25, 147-163. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.25.4_147

佐護浩一・町田 洋 (1996) 愛鷹山麓の「含雲母グリース状火山灰」の給源: 三瓶山. 第四紀演旨集, 26, 88-89.

下岡順直・福岡 孝・長谷川 歩・草野高志・長友恒人 (2009) 三瓶火山噴出物の熱ルミネッセンス (TL) 年代測定. 島根県立三瓶自然館研究報告, 7, 15-24.

カルデラ形成噴火

第II期噴火

II stage eruption
年代: -
年代手法: -
年代文献: -
噴出源: 三瓶火山

総噴出量: -

小屋原降下火山灰堆積物

こやはらこうかかざんばいたいせきぶつ
koyahara ash Fall Deposit
名称出典: 松井・井上 (1971)
別名・呼称: O3 (松井・井上, 1971), 三瓶降下火山灰層 (服部ほか, 1983), 角田火山灰層(田原ほか, 1968)
噴火推移・概要: プリニー式噴火の発生→火砕流の発生→火砕噴火の発生

火砕噴火が複数回発生したと考えられる.

分布
全体的に三瓶山周囲の広範囲に分布している.三瓶山南方の野間,池田,角井および角井東方の神戸川沿いの岡北方などに認められる (服部ほか, 1983).
噴出量

-

DRE [km3]
-
VEI
5
噴出量文献

-

岩質
-
岩相

複数の層理を持つ褐色の降下火山灰堆積物であり,太田火砕流堆積物を直接覆う.細粒火山灰と細粒火山礫を含む火山灰層,軽石礫を含む火山灰層の互層である.火山豆石が多産する (服部ほか, 1983).三瓶山南方の西上山での層厚は約10 mであり (福岡・松井, 2004),模式地の小屋原における層厚は約3 mである (松井・井上, 1971).

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

三瓶山近傍と遠方における小屋原降下火山灰層(図中の三瓶降下火山灰層)の柱状図 (服部ほか, 1983) 産総研地質調査総合センター


figure

小屋原降下火山灰堆積物の露頭写真 (河野ほか, 2013) ©地学団体研究会


文献

服部 仁・鹿野和彦・鈴木隆介・松浦浩久・佐藤博之 (1983) 5万分の1地質図幅「三瓶山」及び同説明書. 地質調査所, 169p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_12038_1983_D.pdf

福岡 孝・松井整司 (2004) 三瓶火山の噴火様式の変遷. 島根県立三瓶自然館研究報告, 2, 9-14.

河野重範・福岡 孝・草野高志 (2013) 三瓶火山とその噴出物. 地学団体研究会第 67 回総会講演要旨集, 171-176.

松井整司・井上多津男 (1971) 三瓶火山の噴出物と層序. 地球科学, 25, 147-163. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.25.4_147

田原敬次 ・川北忠徳 ・松井整司 (1968) 三瓶火山の噴出物と活動史. 島根県高校教研連紀要, 4, 79−86.

第II期噴火

II stage eruption
年代: 70 ka
年代手法: FT年代
年代文献: 木村ほか (2000)
噴出源: 三瓶火山

総噴出量: DRE:2 km3

大田火砕流堆積物

おおだかさいりゅうたいせきぶつ
Ohda pyroclastic flow deposit
名称出典: 松井・井上 (1971)
別名・呼称: 大田降下火山灰堆積物 (O1)・大田軽石流堆積物 (O2) (松井・井上, 1971), 三瓶火砕流堆積物 (服部ほか, 1983), 大田軽石流 (小幡, 1967)
噴火推移・概要: プリニー式噴火の発生→火砕流の発生→降下火砕物の堆積

複数のフローユニットが存在し,ユニット間には岩片濃集部が報告されている (服部ほか, 1983)ことから,噴火は火口を拡大しながら進行していき,カルデラ形成に伴い火砕流が流下したと考えられる.

分布
大田市の市街地に広く分布する (松井・井上, 1971).三瓶山周辺に広く認められ,北側に流出したものは日本海にまで達している (福岡・松井, 2004).
噴出量

DRE:2 km3

DRE [km3]
2 km3
VEI
5
噴出量文献

福岡・松井 (2002)

岩質
流紋岩
岩相

大田火砕流は,淡桃灰色を呈する砂質の塊状無層理な火砕流堆積物である.本層の層厚は場所的変化が著しいが,服部ほか (1983)において確認された最大層厚は野間において約70 mである.野間付近や上山付近をはじめとする三瓶山近傍では,降下火山灰の薄層を挟み少なくとも4枚のフローユニットが認められる.各フローユニットの上部には,火山豆石が含まれることがある (松井・井上, 1971).また,服部ほか (1983)では,フローユニットの境界に岩片がレンズ状に濃集することが記載されている.さらに,本層の下位には松井・井上 (1971)で大田降下火山灰堆積物O1,服部ほか (1983)で三瓶ベースサージ堆積物と記載された堆積物が存在する.松井・井上 (1971)では,本層の下位に含まれる軽石と岩片の最大粒径はそれぞれ約25 cm以下,約70 cm以下である.本堆積物には多量に流紋岩が含まれ,服部ほか (1983)はこれらを古三瓶溶岩とした.

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

大田火砕流堆積物の分布域 (松井・井上, 1971) ©地学団体研究会


figure

大田火砕流堆積物 (三瓶火砕流堆積物) とそれを不整合で覆う上山ベースサージ堆積物の露頭写真 (服部ほか, 1983)産総研地質調査総合センター


figure

大田町で見られる大田火砕流堆積物の露頭写真 (河野ほか, 2013) ©地学団体研究会


文献

福岡 孝・松井整司 (2002) AT 降灰以降の三瓶火山噴出物の層序. 地球科学, 56, 105-122. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.56.2_105

福岡 孝・松井整司 (2004) 三瓶火山の噴火様式の変遷. 島根県立三瓶自然館研究報告, 2, 9-14.

服部 仁・鹿野和彦・鈴木隆介・松浦浩久・佐藤博之 (1983) 5万分の1地質図幅「三瓶山」及び同説明書. 地質調査所, 169p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_12038_1983_D.pdf

河野重範・福岡 孝・草野高志 (2013) 三瓶火山とその噴出物. 地学団体研究会第 67 回総会講演要旨集, 171-176.

木村純一・中山勝博・松井整司・福岡 孝 (2000) 「中部・近畿・中国の火山」三瓶火山. 高橋正樹・小林哲夫(編).築地書館, 117-135.

松井整司・井上多津男 (1971) 三瓶火山の噴出物と層序. 地球科学, 25, 147-163. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.25.4_147

小幡 浩 (1967) 三瓶山の地形と火山灰編年について. 地理評, 40, 553-563. https://doi.org/10.4157/grj.40.553

第II期噴火

II stage eruption
年代: 72±13 ka
年代手法: TL年代
年代文献: 下岡ほか (2009)
噴出源: 三瓶火山

総噴出量: -

三瓶雲南降下軽石堆積物

さんべうんなんこうかかるいしたいせきぶつ
Sanbe Unnan pumice fall deposit
名称出典: 林・三浦 (1986)
別名・呼称: SUn (林・三浦,1986)
噴火推移・概要: プリニー式噴火の発生→火砕流の発生→降下火砕物の堆積

プリニー式噴火の発生

分布
宍道湖南岸地域から広島県北東部 に分布する.三瓶山の東北東から東南東方向で多く確認され,西方や南方にも存在しており (林・三浦, 1986),日本海鳥取沖でも報告されている (三浦,1988).
噴出量

-

DRE [km3]
-
VEI
5
噴出量文献

-

岩質
流紋岩
岩相

三瓶雲南軽石層は,近傍で30〜50 cm,遠方でも20〜10 cmの層厚を持ち,三瓶山周囲の広角度にわたって分布する降下軽石堆積物である.全体として明黄褐色で,米ぬか状を呈する.軽石の最大粒径は三刀屋川中流部や神野瀬川上流部では5〜10 mmであるが,遠隔地では1 mm前後である.本層の色調や構造などは三瓶木次軽石層とよく似ており,現地での判別は困難である (林・三浦, 1986).

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

三瓶雲南軽石層と三瓶木次軽石層の分布図 (林・三浦, 1986) ©林・三浦


figure

三瓶雲南軽石層を中心とした柱状図. 各柱状図の番号は分布図上の地点番号と対応している. (林・三浦, 1986) ©林・三浦


文献

林 正久・三浦 清 (1986) 三瓶雲南軽石層の鉱物特性と分布の広域性. 山陰地域研究 (自然環境), 2, 17-26.

三浦 清 (1988) 鳥取沖海底表層堆積物に見られる三瓶火山起源のテフラとその地質学的意義. 島根大学教育学部紀要. 自然科学, 22, 5-12. https://ir.lib.shimane-u.ac.jp/2796

下岡順直・福岡 孝・長谷川 歩・草野高志・長友恒人 (2009) 三瓶火山噴出物の熱ルミネッセンス (TL) 年代測定. 島根県立三瓶自然館研究報告, 7, 15-24.

長期的前駆活動

第I期噴火

I stage eruption
年代: 100±20ka*1, 110±14 ka*2
年代手法: *1FT年代, *2TL年代
年代文献: *1木村ほか (1999), *2下岡ほか (2009)
噴出源: 三瓶火山

総噴出量: 見かけ体積 20 km3

三瓶木次降下火砕堆積物

さんべきすきこうかかさいたいせきぶつ
Sanbe kisuki pyroclastic fall deposit
名称出典: 町田・新井 (1992)
別名・呼称: 古志原軽石 (山陰第四紀研究グループ, 1969), 木次降下軽石堆積物 (K3) (松井・井上, 1971), SK (町田・新井, 1992)
噴火推移・概要: 小規模火砕流→大規模なプリニー式噴火

プリニー式噴火が発生し,大量の軽石を降下させた.分布は東北東を主軸としており,広域テフラが東北地方にも分布している (町田・荒井, 1992).

分布
三瓶火山以西や神戸川流域ではほとんど確認されておらず,斐伊川中・上流域や宍道湖,中海沿岸地域に分布が確認される (林・三浦, 1986).東北東を主軸として降下しているようであり,軸の延長にあたる大山の西麓や北麓にも分布すると報告されている (林・三浦, 1986;荒川, 1984).本堆積物は広域テフラとして東北地方にも分布している (町田・新井, 1992).
噴出量

20 km3

DRE [km3]
-
VEI
6
噴出量文献

町田・新井 (2003)

岩質
黒雲母流紋岩
岩相

黄白色〜黄褐色を呈する塊状無層理の降下軽石堆積物である.灰紫色の粗粒火山灰を基質にもち,白色軽石を含む (町田・新井, 2003).上部では,粘土質火山灰に漸移する.風化が進行しており,軽石は指で押すと簡単に変形する.斑晶として黒雲母,長石,石英を含む.本堆積物には,三瓶山噴出物に一般的に認められる流紋岩の異質岩片が認められない (松井・井上, 1971).

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

三瓶木次降下火砕物の分布域 (豊蔵ほか, 1991) ©日本第四紀学会


figure

三瓶木次降下軽石の露頭写真 (下岡ほか, 2009) ©下岡ほか


文献

荒川 宏 (1984) 大山火山北西部における火山麓扇状地の形成. 地理学評論, 57, 831-855. https://doi.org/10.4157/grj1984a.57.12_831

林 正久・三浦 清 (1986) 三瓶雲南軽石層の鉱物特性と分布の広域性. 山陰地域研究 (自然環境), 2, 17-26.

木村純一・岡田昭明・中山勝博・梅田浩司・草野高志・麻原慶憲・館野満美子・檀原 徹 (1999) 大山および三瓶火山起源テフラのフィッショントラック年代とその火山活動史における意義. 第四紀研究, 38, 145-155. https://doi.org/10.4116/jaqua.38.145

町田 洋・ 新井房夫 (1992) 火山灰アトラス-日本列島とその周辺-.東京大学出版会, 276 p.

町田 洋・ 新井房夫 (2003) 新編火山灰アトラス-日本列島とその周辺-.東京大学出版会, 336 p.

松井整司・井上多津男 (1971) 三瓶火山の噴出物と層序. 地球科学, 25, 147-163. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.25.4_147

山陰第四紀研究グループ (1969) 山陰海岸地域の第四系. 地団研専報, 15, 354-376.

下岡順直・福岡 孝・長谷川 歩・草野高志・長友恒人 (2009) 三瓶火山噴出物の熱ルミネッセンス (TL) 年代測定. 島根県立三瓶自然館研究報告, 7, 15-24.

豊蔵 勇・大村一夫・新井房夫・町田 洋・高瀬信一・中平啓二・伊藤 孝 (1991) 北陸の海成段丘における三瓶木次テフラの同定とその意義. 第四紀研究, 30, 79-90. https://doi.org/10.4116/jaqua.30.79

第I期噴火

I stage eruption
年代: 100±30 ka
年代手法: FT年代
年代文献: 木村ほか (1999)
噴出源: 三瓶火山

総噴出量: -

粕淵火砕流堆積物

かすぶちかさいりゅうたいせきぶつ
Kasubichi pyroclastic flow deposit
名称出典: 松井・井上 (1971)
別名・呼称: K2(松井・井上, 1971)
噴火推移・概要: 小規模火砕流→大規模なプリニー式噴火

小規模火砕流の発生

分布
分布の詳細は不明である.給源より南西に約5 kmの地点 (邑智(おおち)群邑智町) において層厚6 mである (松井・井上, 1971).
噴出量

-

DRE [km3]
-
噴出量文献

-

岩質
-
岩相

細粒火山灰を基質にもち,軽石を少量含む.表面は黄褐色を呈するが,その内部は,青灰色を示す.この色調の変化は,磁性鉱物の酸化還元環境を反映していると考えられる.本堆積物には,三瓶山噴出物に一般的に認められる流紋岩の異質岩片が認められない (松井・井上, 1971).また,軽石のレンズ状濃集が認められる (木村ほか, 1999).

層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

粕淵火砕流堆積物 (K2) および三瓶木次降下火砕物 (K3) の柱状図 (木村ほか, 1999) ©日本第四紀学会


文献

木村純一・岡田昭明・中山勝博・梅田浩司・草野高志・麻原慶憲・館野満美子・檀原 徹 (1999) 大山および三瓶火山起源テフラのフィッショントラック年代とその火山活動史における意義. 第四紀研究, 38, 145-155. https://doi.org/10.4116/jaqua.38.145

松井整司・井上多津男 (1971) 三瓶火山の噴出物と層序. 地球科学, 25, 147-163. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.25.4_147

長期的前駆活動

古三瓶溶岩噴火

Old sanbe lava eruption
年代: -
年代手法: 層序
年代文献: -
噴出源: 三瓶火山

総噴出量: -

古三瓶溶岩

こさんべようがん
Old-sanbe lava
名称出典: 服部ほか (1983)
別名・呼称: -
噴火推移・概要: 溶岩の流出

溶岩の流出

分布
服部ほか (1983) において,地表で岩体としては認められないが,第1期噴出物中に多量に含まれる岩片に与えられた名称であるため,詳細は不明である.服部ほか (1983) では,これらの岩片が①第Ⅰ期噴出物に多量に含まれる②新鮮である③カルデラ壁などに露出が認められないことなどを根拠とし,カルデラ形成以前に現在のカルデラ内側の位置に小型火山体が存在したと解釈し,これらの岩片の起源と考えられる岩体を古三瓶溶岩とした.一方,三浦・林 (1987)では鉱物特性から第Ⅰ期の噴出物に分類されている.
噴出量

-

DRE [km3]
-
噴出量文献

-

岩質
黒雲母流紋岩
岩相

大田火砕流堆積物中に多量に認められる灰色を示す新鮮で角張った溶岩片である.流理構造が顕著に認められ,径2 mm以下の斑晶を含む (服部ほか, 1983).

全岩化学組成 (SiO2)
-
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

文献

服部 仁・鹿野和彦・鈴木隆介・松浦浩久・佐藤博之 (1983) 5万分の1地質図幅「三瓶山」及び同説明書. 地質調査所, 169p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_12038_1983_D.pdf

三浦 清・林 正久 (1987) 火山活動史からみた三瓶火山のテフラの鉱物特性. 山陰地域研究 (自然環境編), 3, 67-94.

神戸川降下軽石噴火

Kandogawa pumice fall eruption
年代: -
年代手法: 層序
年代文献: -
噴出源: 三瓶火山

総噴出量: -

神戸川降下軽石

かんどがわこうかかるいし
Kandogawa pumice fall
名称出典: 松井・井上 (1971)
別名・呼称: 神戸川降下軽石堆積物 (K1)(松井・井上, 1971)
噴火推移・概要: マグマ水蒸気噴火?

マグマ水蒸気噴火の発生?

分布
三瓶火山の周囲および東方に分布する (松井・井上, 1971).
噴出量

-

DRE [km3]
-
噴出量文献

-

岩質
-
岩相

灰白色〜黄褐色の降下火砕堆積物である.軽石層と細粒火山灰層の互層からなる.給源より東方約10 kmの地点で少なくとも20層のfall unitが認識される.軽石層は,流紋岩質の岩片と花崗岩片を含む.細粒火山灰層は,有色鉱物に乏しく火山豆石を含む.遠方では,風化した軽石濃集層となり,上部は粘土質火山灰に漸移する.

全岩化学組成 (SiO2)
-
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

三瓶神戸川降下軽石 (K1) の分布域 (松井・井上, 1971) ©地学団体研究会


文献

松井整司・井上多津男 (1971) 三瓶火山の噴出物と層序. 地球科学, 25, 147-163. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.25.4_147

森田山溶岩噴火

Moritayama lava eruption
年代: 1.01±0.03 Ma
年代手法: K-Ar年代
年代文献: 松浦・土谷 (2003)
噴出源: 三瓶火山

総噴出量: -

森田山溶岩

もりたやまようがん
Moritayama lava
名称出典: Taneda (1952)
別名・呼称: 先三瓶火山岩類(松井・井上, 1971)
噴火推移・概要: 溶岩ドームの形成

溶岩ドームの形成

分布
北の原北方の森田山を中心として北東―南西約2 kmにわたり分布する (服部ほか, 1983).
噴出量

-

DRE [km3]
-
噴出量文献

-

岩質
流紋岩-デイサイト,角閃石デイサイト
岩相

カルデラ形成以前に存在した火山体の一部である.露出が悪く,各地点で岩相変化が激しい.太田市多根では,板状節理の発達した溶岩流の岩相を示す.本熔岩は,流離構造が発達し,また,1 cm以下の細粒花崗岩の捕獲岩が稀に認められる.一方,水滝南方では流理構造の発達した灰白色の溶岩であり,汚濁したスポットが多く認められる.また,権現山の旧石切場では,赤みを帯びた灰色の溶岩流であり,捕獲岩と弱い流理構造が認められる (服部ほか, 1983).

全岩化学組成 (SiO2)
63.4 wt.%
層序概念図における本構成要素(クリックで飛ぶ)

figure

森田山溶岩の分布 (服部ほか, 1983) 産総研地質調査総合センター


文献

服部 仁・鹿野和彦・鈴木隆介・松浦浩久・佐藤博之 (1983) 5万分の1地質図幅「三瓶山」及び同説明書. 地質調査所, 169p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_12038_1983_D.pdf

松井整司・井上多津男 (1971) 三瓶火山の噴出物と層序. 地球科学, 25, 147-163. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.25.4_147

松浦浩久・土谷信之 (2003) 前期更新世森田山溶岩―古三瓶期火山―. 火山, 48, 69-73. https://doi.org/10.18940/kazan.48.1_69

Taneda, S. (1952) Petrographic note on the volcanic rocks from Sambe, southwestern Japan.Jap. Jour. Geol. Geogr., 22, 1-26.

引用文献

荒川 宏 (1984) 大山火山北西部における火山麓扇状地の形成. 地理学評論, 57, 831-855. https://doi.org/10.4157/grj1984a.57.12_831

浅野一平・五井健登・清杉孝司・鈴木桂子・巽 好幸 (2018) 三瓶火山溶岩ドームの形成過程. 火山, 63, 19-32. https://doi.org/10.18940/kazan.63.2_19

第四紀火山カタログ編集委員会編 (1999)日本の第四紀火山カタログ. 日本火山学会

福岡 孝・松井整司 (2000) 三瓶火山の山頂火山灰について. 島根大学地球資源環境学研究報告, 19, 27-29. https://ir.lib.shimane-u.ac.jp/ja/list/journals/G/S-GRS

福岡 孝・松井整司 (2002) AT 降灰以降の三瓶火山噴出物の層序. 地球科学, 56, 105-122. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.56.2_105

福岡 孝・松井整司 (2004) 三瓶火山の噴火様式の変遷. 島根県立三瓶自然館研究報告, 2, 9-14.

福岡 孝(2005) 三瓶火山第IV期噴出物の14C年代. 島根県立三瓶自然館研究報告, 3, 61-64.

服部 仁・鹿野和彦・鈴木隆介・松浦浩久・佐藤博之 (1983) 5万分の1地質図幅「三瓶山」及び同説明書. 地質調査所, 169p. https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_12038_1983_D.pdf

林 正久・三浦 清 (1986) 三瓶雲南軽石層の鉱物特性と分布の広域性. 山陰地域研究 (自然環境), 2, 17-26.

林 正久・三浦 清 (1987) 三瓶火山のテフラの層序とその分布. 山陰地域研究, 3, 43-66. http://doi.org/10.24484/sitereports.120588-54633

河野重範・福岡 孝・草野高志 (2013) 三瓶火山とその噴出物. 地学団体研究会第 67 会総会講演要旨集, 171-176.

木村純一・岡田昭明・中山勝博・梅田浩司・草野高志・麻原慶憲・館野満美子・檀原 徹 (1999) 大山および三瓶火山起源テフラのフィッショントラック年代とその火山活動史における意義. 第四紀研究, 38, 145-155. https://doi.org/10.4116/jaqua.38.145

木村純一・中山勝博・松井整司・福岡 孝 (2000) 「中部・近畿・中国の火山」三瓶火山. 高橋正樹・小林哲夫(編).築地書館, 117-135.

Kimura, J., Kunikiyo, T., Osaka, I., Nagao, T., Yamauchi, S., Kakubuchi, S., Okada, S., Fujibayashi, N., Okada, R., Murakami, H., Kusano, T., Umeda, K., Hayashi, S., Ishimaru, T., Ninomiya, A. and Tanase, A. (2003) Late Cenozoic volcanic activity in the Chugoku area, southwest Japan arc during back-arc basin opening and reinitiation of subduction. The Island Arc, 12, 22-45. https://doi.org/10.1046/j.1440-1738.2003.00377.x

草野高志・中山勝博 (1999) ブロックアンドアッシュフローの堆積過程 (予察): 島根県三瓶火山の太平山火砕流堆積物の例. 火山, 44, 143-156. https://doi.org/10.18940/kazan.44.3_143

町田 洋・ 新井房夫 (1992) 火山灰アトラス-日本列島とその周辺-.東京大学出版会, 276 p.

町田 洋・ 新井房夫 (2003) 新編火山灰アトラス-日本列島とその周辺-.東京大学出版会, 336 p.

町田 洋・新井房夫 (2011) 新編第2刷火山灰アトラス-日本列島とその周辺-.東京大学出版会, 337p.

松井整司・井上多津男 (1970) 三瓶火山噴出物の14C年代 日本の第四紀層の14C年代(56). 地球科学, 24, 112-114. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.24.3_112

松井整司・井上多津男 (1971) 三瓶火山の噴出物と層序. 地球科学, 25, 147-163. https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.25.4_147

松井整司・福岡 孝 (1996) 三瓶火山の浮布黒色土以後の火砕物の層序と年代. 島根大学地球資源環境学教室研究報告, 15, 61-62.

松井整司 (2002) 三瓶火山の噴出物とその年代. 志津見ダム建設予定地内埋蔵文化財発掘調査報告書12, 下山遺跡, 225-233.

松浦浩久・土谷信之 (2003) 前期更新世森田山溶岩―古三瓶期火山―. 火山, 48, 69-73. https://doi.org/10.18940/kazan.48.1_69

松元拓朗 (1994) 三瓶火山円頂丘溶岩の化学組成. 地質学雑誌, 100, 639-641. https://doi.org/10.5575/geosoc.100.639

三浦 清・林 正久 (1987) 火山活動史からみた三瓶火山のテフラの鉱物特性. 山陰地域研究 (自然環境編), 3, 67-94.

三浦 清 (1988) 鳥取沖海底表層堆積物に見られる三瓶火山起源のテフラとその地質学的意義. 島根大学教育学部紀要. 自然科学, 22, 5-12. https://ir.lib.shimane-u.ac.jp/2796

三浦 清・林 正久 (1991) 中国・四国地方の第四紀テフラ研究 広域テフラを中心として. 第四紀研究, 30, 339-351. https://doi.org/10.4116/jaqua.30.339

小幡 浩 (1967) 三瓶山の地形と火山灰編年について. 地理評, 40, 553-563. https://doi.org/10.4157/grj.40.553

大類 瞬・鈴木桂子 (2012) 三瓶火山の太平山火砕堆積物の形成過程. 日本火山学会講演予稿集, p156. https://doi.org/10.18940/vsj.2012.0_156

佐護浩一・町田 洋 (1996) 愛鷹山麓の「含雲母グリース状火山灰」の給源: 三瓶山. 第四紀演旨集, 26, 88-89.

山陰第四紀研究グループ (1969) 山陰海岸地域の第四系. 地団研専報, 15, 354-376.

沢田順弘・福江美智子・兵頭政幸 (1999) 後期第四紀三瓶火山の古地磁気学: 溶岩ドームの年代, 構造, 火砕流堆積物の定置温度見積もり, 及び自己反転磁性鉱物の発見. 地球惑星科学関連学会 1999 年合同大会講演要旨.

下岡順直・福岡 孝・長谷川 歩・草野高志・長友恒人 (2009) 三瓶火山噴出物の熱ルミネッセンス (TL) 年代測定. 島根県立三瓶自然館研究報告, 7, 15-24.

田原敬次 ・川北忠徳 ・松井整司 (1968) 三瓶火山の噴出物と活動史. 島根県高校教研連紀要, 4, 79−86.

Taneda, S. (1952) Petrographic note on the volcanic rocks from Sambe, southwestern Japan.Jap. Jour. Geol. Geogr., 22, 1-26.

豊蔵 勇・大村一夫・新井房夫・町田 洋・高瀬信一・中平啓二・伊藤 孝 (1991) 北陸の海成段丘における三瓶木次テフラの同定とその意義. 第四紀研究, 30, 79-90. https://doi.org/10.4116/jaqua.30.79