焼岳火山群 Yakedake Volcano Group


はじめに

地形・地質概要

地質図・層序表

火山活動史
   旧期火山群
   新期火山群
   上高地の誕生

記載岩石学的特徴

最近の焼岳火山の噴火
   最近3000年間の活動
   1907-39年噴火
   1962-63年噴火
   1995年中ノ湯水蒸気爆発

噴火様式

写真
   火山体
   火口
   噴出物の産状

引用文献

著者:及川輝樹 2013/10/11

このデータ集の「火山活動史」については,
及川(2002)地質学雑誌, 「最近の焼岳火山
の活動」の「最近3000年間の活動」は及川ほ
か(2002)地質学雑誌 を主としてまとめたも
のである.

このデータ集を引用する場合,次のように引用
してください.
及川輝輝(2013)詳細火山データ集:焼岳火
山群.日本の火山,産総研地質調査総合センター
https://gbank.gsj.jp/volcano/Act_Vol/yakedake/
index.html

記載岩石学的特徴

 焼岳火山群は,粗粒な斜長石・角閃石の目立つ斑状の黒灰〜白灰色の火山岩で構成されます. いずれも斑晶として斜長石,角閃石,単斜輝石,斜方輝石,黒雲母を含み,かんらん石や石英を含むことがある複雑な斑晶組み合わせをもつ岩石です(及川,2002).しばしば,斑晶量の 異なる2種 類の火山岩からなる複合溶岩流を形成することもあります(焼岳円頂丘溶岩,下堀沢溶岩など).また,直径数〜十数cm程度の苦鉄質包有物を含むのも特徴です.全岩化学組成は,SiO2:57.5〜64.3%,K2O:1.4(SiO2:57.5)〜2.9(SiO2:64.1)%で中〜高カリウム系列に属する安山岩からデイサイト質の岩石です(及川,未公表).

 最後のマグマ噴火の産物,焼岳円頂丘溶岩とその流出に伴う中尾火砕流堆積物については詳しい岩石学的検討が なされています(石崎,2002;Ishizaki, 2007).この溶岩と火砕流中の本質ブロックは,斑晶量が顕著に異なる火山岩から形成され,複合溶岩流をなしています(及川,2002).それは,白色のデイサイト(SiO2:64.3-64.6%),黒色安山岩(SiO2:59.8-63.9%)と,それらが混じった縞状溶岩で,いずれにも苦鉄質包有岩(SiO2:50.6-54.2%)が含まれます(石崎,2002;Ishizaki, 2007).それらの全岩化学組成と斑晶鉱物の組成から,デイサイトマグマと苦鉄質包有物として含まれる玄武岩質マグマが様々な状態で混合し,焼岳円頂丘溶岩および火砕流の本質ブロックをつくったと考えられています(石崎,2002;Ishizaki,2007).


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