手前中央より右上に向かって順に,山川マール,成川マール,鰻池マール,池田カルデラ.
東北東上空より2003年1月31日中野俊撮影.
池田火山は,九州薩摩半島南東部に位置し(第1図),池田カルデラ及松ケ窪,山川,鰻池などのマール,鍋島岳などの溶岩ドームからなる(第2図).角閃石を含むデイサイトマグマの活動で特徴づけられる.
後期更新世の岩本火山灰(成尾,2001)の放出以降,地層中にテフラを残すような火山活動は本地域では起きていなかったが,5.6 kaに現在の池田湖西部で大規模な噴火活動が始まった(宇井,1967;小林ほか,1983;小林・成尾,1983;成尾・小林,1980,1984;奥野ほか,1996).この噴火は,現在の池田湖西部付近での水蒸気爆発で始まり,その後池田湖から東南東方向に延びる線上でつぎつぎと噴火が発生し,現在の池田カルデラの地形を形成するとともに,松ヶ窪,池底,鰻池,成川,山川の爆裂火口,マール群を形成した(第3図).池田カルデラにはカルデラ湖である池田湖が形成された.このときの一連の噴火活動で放出されたテフラを池田湖テフラと総称する(町田・新井,2003).
地質図には,池田火砕流堆積物,池底火口,鰻池マール周辺の池底・鰻池マール噴出物,山川マールから噴出した山川火砕サージ堆積物を図示した.このほか池田火山に属する可能性がある地質ユニットとして,開聞町仙田付近にわずかに露出する仙田溶岩(宇井,1967)も示した.
4.3 kaには池田カルデラ南岸で鍋島岳溶岩ドームが噴出し,それに前後して池田湖の南部に鏡池などのマール群が形成された(奥野・小林,1991).また池田湖の東側の湖底には,山頂部に凹地がある底径約900 m,比高約140 mの溶岩ドーム地形がある.この溶岩ドームも池田火山に属する溶岩ドームと思われるが,岩質,噴出年代など詳細は不明である.
完新世の火山活動であるため,鍋島岳を含め,池田・山川の名称で2003年に気象庁によって活火山に認定されている(宇井ほか,2003).
中央の太線で囲われた範囲が開聞岳図幅地域.国土地理院発行数値地図50 mメッシュ使用.緯度・経度は日本測地系
(図幅第1.1図)
東から見る.国土地理院発行数値地図50 mメッシュ使用.
(図幅第1.3図)
(図幅第6.2図)
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