火山研究解説集:薩摩硫黄島 (産総研・地質調査総合センター作成)
大谷平採掘場跡断面
写真は,山頂火口西方の大谷平で観察できる変質帯です.ここは,同南方の小竹とともにかつて珪石が最も盛んに採掘されていた場所です.そのため,山頂火口周辺の断面が高さ40m,幅300m余にわたって露出しています.ここでは流紋岩溶岩(Rhyolite lava)や降下火砕物(Fall volcaniclastics),崖錐(Talus sediment)中にENE-WSW方向の割れ目沿いに10〜15m幅の白色珪化帯 (図中A) が何本か垂直に分布しており,割れ目を中心にして外側へ向かいシリカ鉱物の累帯配列が見られます.このような岩石中の割れ目が,火山ガスあるいはそれが凝縮して生じた酸性熱水の通路となっていたことを示しています.
Hamasaki (2002)のFig.4eを改変.