火山研究解説集:薩摩硫黄島 (産総研・地質調査総合センター作成)
地下水の水系区分
S1〜S4は,推定されている水系を示しています.S1は長浜温泉,S2は平家城温泉,S3は穴の浜,S4は東温泉,に関与する水系です,各水系の面積も記してあります.S5は坂本温泉ですが,水系を決定できないためポイントのみ示しています.水系は,地形のとおりに地下水が流れると仮定して作成しています.火山地形では,この仮定が成立しない場合があるので注意が必要です.
地下水はすべて掘削井で,現在利用されているのは,長浜の集落内だけです.これらの水源井は,ガイベン・ヘルツベルグのレンズを形成している淡水層の地下水を揚水するため,海水準に達し地下水が出てきたところで掘り止めています.従って,これらの井戸水はすべて,この島の浅層地下水を揚水していると考えられます.
硫黄岳を取り囲むように存在する井戸は昭和50から52年度に実施された工業技術院サンシャイン計画にかかわる委託調査研究「火山発電方式に関するフィジビリティスタディ」(社団法人 日本電機工業会)の調査ボーリングによるもので,現在は存在していません.
硫黄島の温泉は,硫黄岳周辺(東温泉,平家城温泉,穴の浜),稲村岳周辺の海岸(赤湯,長浜温泉),カルデラ縁の外側(坂本温泉,ウタン浜温泉)に分布しています.また,昭和硫黄島上においても高温の温泉が湧出しています.これらの温泉は,すべて自然湧出です.
各温泉の位置については,こちらの図を参照下さい.
この地図の作成に当たっては,国土地理院長の承認を得て,同院発行の2万5千分の1地形図,数値地図25000(地図画像) 及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである.(承認番号 平19総使,第543号)