火山研究解説集:薩摩硫黄島 (産総研・地質調査総合センター作成)


硫黄岳の山頂火口底の地中温度分布の変遷

測定は1961年に25cmの深さ(横山ほか,1966),1976年に1mの深さ(地質調査所,1976年)および1996年に20cmの深さ(Matsushima et al., 2003)で行われました. 図の灰色の部分は400℃より高温の部分を示します.

1976年以前は,火口底の地中温度のほとんどが沸点より低く,高温噴気のほとんどは火口壁に分布していたのが特徴的です.それに対して,1996年には火口底の多くの部分で沸点より高温になっています.これは,1991年以降の火口底の変遷(→最近の火山活動の推移)に対応しています.火口底に竪穴状火孔が生じ,その拡大に対応して地中温度の高温域が生じるようになったと考えられます.

Matsushima et al. (2003)のFig.3を改変.