第2表に西之島火山噴出物の全岩化学組成を示す(採取位置は海野・中野(2007)参照。採取試料は地質標本館に登録済み)。西之島溶岩(旧島)の全岩化学組成は既存の分析値3組を加え、SiO2が59.5-60.3 wt.%の狭い組成範囲を示す。1973-74年噴出物(新島)は小坂分析による既存の分析値6組を加え、SiO2が58.0-58.5 wt.%の狭い組成範囲を示す。西之島溶岩に比べ、ややSiO2が低く、Fe2O3(全鉄)、MgO、CaO、K2Oに富むなどの有意の差が認められる。 第20図にハーカー図を示す。なお、Ishizuka et al.(2007)により西之島火山噴出物の微量元素組成が報告されている。また、Aoki and Tokai
University Research Group for Marine Volcano
(1983)は水深1000m以浅の海底から岩石採取を行い、陸域と海域の岩石を合わせて主成分組成を報告した(SiO2=51.6-64.1wt.%)。
第20図 西之島火山噴出物の化学組成図
比較のため、火山列島の分析値もプロットした(データソース:福山,1983;湯浅・玉木,1982;小坂ほか,1985;小坂ほか,1990;中野・古川,2009)