安達太良火山では約2450年前に堆積物量8.4x106m3のラハールが発生し,その後も紀元5世紀から12世紀にかけて,小規模なラハールが6回繰り返し起こったことが堆積物から確認されています.これらはいずれも沼ノ平火口域で発生し-,硫黄川を経由して火口西方約6-10kmにある標高710-600m地点(酸川との合流点から下流側)まで到達しています.
発生源の位置と堆積している位置の高度差と水平移動距離から,流動特性を推定すると,Pinatubo火山1991年によるラハールよりは流動性に乏しく,Nevado del Ruiz火山1985年発生ラハールや十勝火山1926年発生の大正泥流などとほぼ同じ程度の流動性を持ったものと考えられます.
酸川ラハール堆積物(L1〜L7)の模式柱状図(山元,1998)
酸川ラハール堆積物の14C年代測定結果(山元,1998)
酸川ラハール堆積物の分布図(山元,1998)