安達太良火山の有史時代での火山活動は,明らかにマグマ噴火と見られるものはありません.噴気もしくは水蒸気爆発で,いずれも沼ノ平火口での活動と思われます.
その中で最も大規模な火山災害を伴った噴火は,1899年に始まって,小康状態を経て1900年7月17日にクライマックスを迎えた1900年噴火です.また,紀元前6世紀前後に1回,紀元5世紀から12世紀にかけて6回,いずれも沼ノ平火口からラハール(火山泥流)が発生しました.これらは,硫黄川を通って火口西方約10kmの山麓にまで到達しています(山元,1998).
年 |
月 日 |
活動記録 |
1658(万治元)年 |
山崩れ,温泉湧出. | |
1813(文化9)年 |
噴煙多量. | |
1899(明治32)年 |
8月24日 |
噴火:年始め頃から活動活発化し,噴気孔数,噴気量増大. |
沼ノ平内の火孔から大音響とともに火炎を噴出. | ||
8月25日 |
火孔縁を破壊し.灰や硫黄泥を噴出. | |
11月11日〜12日 |
同一地点で黒煙や石を噴出. | |
1900(明治33)年 |
7月17日 |
噴火:沼ノ平内に長径300m短径150mの火口を生じ,熱灰や石を噴出.噴出物総量 1.1×106m3.火口の硫黄採掘所全壊.死者72名,負傷者10名.山林耕地被害. |
1950(昭和25)年 |
2月25日 |
噴煙:噴煙高度50m. |
1996(平成8)年 |
地熱,噴気活動活発化.9月に沼ノ平北部で泥噴出. | |
1997(平成9)年 |
9月15日 |
火山ガス(硫化水素)により,沼ノ平で登山者4名死亡. |
2000(平成12)年 |
噴気活動が一時的に活発になり,2月19日に300mの高さの噴気を観測. |
安達太良火山の有史活動記録(気象庁,2005より引用)