安達太良火山 Adatara Volcano


安達太良火山のあらまし

有史次代の噴火記録
   1900年噴火
   西麓のラハール堆積物

安達太良火山の生い立ち

安達太良火山のテフラ

安達太良火山の岩石・鉱物
   記載岩石学的特徴
   全岩化学組成の特徴

引用文献

著者:藤縄明彦(茨城大学)
作成:2005/7
最終更新:2009/1/23


このデータ集を引用する場合,次のように
引用してください.
藤縄明彦・工藤 崇・星住英夫(2006)
詳細火山データ集:安達太良火山.日本の
火山,産総研地質調査総合センター
(https://gbank.gsj.jp/volcano/Act_Vol/adatara/
index.html).

安達太良火山のあらまし
 
 安達太良火山

 注)本データ集では,暦年較正していない14C年代を用いて地質層序・噴火史の解説を行っております.そのため,暦年代スケールを用いている「1万年噴火イベントデータ集」とは年代値が異なっている場合があります.ご承知おきください.

 安達太良火山は,東北日本火山フロント沿いの北緯37度37分,東経140度17分付近に位置し,東西約13km,南北約11kmの範囲に噴出物を分布させる複合火山列です.安達太良火山は,北から,鬼面山(1481m),箕輪山(1728m),鉄山(1709m),矢筈森(1673m),安達太良山頂(1699m),和尚山(1601m)からなる主稜線がほぼ南北に連なっています.また,安達太良山頂の西方約0.8kmには船明神山(1670m),同じく東方約2.2kmには薬師岳(1300m)があります.矢筈森の東方約0.8kmに篭山(1548m),また,和尚山東方約1.3kmには前ヶ岳の各山頂(1340m)もあります.

 鉄山〜矢筈森間の稜線(馬の背)西側には直径約1.2km,深さ約250mの沼ノ平火口があり,西に開口しています.沼ノ平火口内や,くろがね小屋の西方約150m付近では,今でも噴気が認められ,周縁の土壌や岩石は硫化変質を受けています.

 安達太良火山体の形成は,先行の大規模な火砕流が堆積した後,およそ55万年前頃に,北部,鬼面山の出現で開始しました.そして,20〜25万年前頃には本火山の特徴である,火山列の「土台」がおおむね出来上がったと考えられます.その後もマグマの噴出が断続して,山頂部が完成しました.マグマが噴出した最も新しい噴火活動は約2400年前です.

 安達太良火山では,過去1万年間に,しばしば水蒸気爆発やラハールが起こっています.これらは何れも沼ノ平火口で発生しました.このなかで,1900年7月17日に起こった水蒸気爆発は,82名が被災(即死・1ヶ月以内の死亡者をあわせて74名)するという,最悪の火山災害を引き起こしています.また,沼ノ平火口内で,1997年9月,登山者4名の方が火山ガスによる中毒で亡くなっています.

 なお,本ホームページによる第1期,第2期噴出物の分布域,区分等は現在再検討中であり,変更される可能性があります.第2期噴出物については武富健一郎氏の,第3期薬師岳溶岩類については,佐藤玲子氏,ならびに寺門理恵氏の未公表データ(卒業論文)を引用させて頂いたことを明記し,謝意を表します.


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