火山研究解説集:薩摩硫黄島 (産総研・地質調査総合センター作成)


火山岩の微量元素濃度

火山岩の微量元素濃度は,マグマの重要な化学的特徴の1つであり,火山岩粉末試料を蛍光X線分析装置(XRF)やICP発光分析(誘導結合プラズマ発光分光分析法),ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析法)で測定できます.

この図は,氏家ほか(1986)およびSaito et al. (2002)によって得られている,薩摩硫黄島火山の火山岩のRb, Sr, Y, Zrの濃度を,K2Oの濃度とともにプロットしたものです.×は先カルデラ期,♢がカルデラ形成期,□が稲村岳,△が硫黄岳,○が昭和硫黄島を示し,黒色はマフィックインクルージョンを示します.

硫黄岳のマフィックインクルージョンは,稲村岳マグマと似た微量元素組成を持っています.また,昭和硫黄島のマフィックインクルージョンは,稲村岳マグマと昭和硫黄島マグマの混合線上に位置しています. これらの結果は,硫黄岳のマフィックインクルージョンを形成したマグマの主たる起源は稲村岳玄武岩マグマであること,昭和硫黄島のマフィックインクルージョンは稲村岳玄武岩マグマと昭和硫黄島流紋岩マグマの混合マグマを起源としていること,を示しており,主成分元素組成の結果と調和的です.

Saito et al. (2002)のFig.4を引用.