火山研究解説集:薩摩硫黄島 (産総研・地質調査総合センター作成)
シミュレーションの結果(その4)
周囲の地層の透水係数を1x10-13 m2(一部のみ1x10-12 m2),火道の透水係数を6×10-11 m2,脱ガスの深度を標高375m,125m,-250m(海面下250m)とした場合の計算結果を示します.
温度を色で,流体(液相の水+水蒸気)の流量(単位はkg/m2s)と流動方向をベクトルで表しています.脱ガスの深度が浅くなると,熱活動の規模が小さくなることが分かります.
一方,脱ガスが海水面下で生じた場合には,流動の様式が変わってきます.高温水蒸気の流入によって熱水対流が駆動され周囲の水が火道へ流入してきます.これによって火道は冷却し高温の状態を形成・維持することはできません.また,山頂域から放出される火山ガスは地下水を含むことになり観測事実と矛盾します.このことからも,脱ガスは海水準より上で生じていると考えられます.