火山研究解説集:薩摩硫黄島 (産総研・地質調査総合センター作成)
後カルデラ期火山岩の輝石のAl2O3濃度
輝石のAl2O3濃度も,一般的に,その輝石が晶出したマグマのAl2O3濃度を反映しています.
この図は,後カルデラ期火山岩の単斜輝石(cpx)および斜方輝石(opx)斑晶のコアのAl2O3濃度と出現頻度を示します.リムの組成範囲も矢印で示してあります.
稲村岳火山岩の単斜輝石(Cpx)および斜方輝石(Opx)は,硫黄岳・昭和硫黄島より高いAl2O3濃度を持ことがわかります.マフィックインクルージョンの単斜輝石(Cpx)は,稲村岳,硫黄岳・昭和硫黄島の組成範囲を含む大きな変動を示しています.この大きな変動は,単斜輝石が玄武岩と流紋岩の両方のマグマを起源としている,もしくは,輝石の急成長によってAl2O3濃度が高くなった(Tsuchiyama, 1985),のどちらかで引き起こされたと考えられています. また,マフィックインクルージョンの斜方輝石(Opx)は,硫黄岳・昭和硫黄島と同様な組成を示しています
これらの結果は,斜長石のAn#や輝石のMg#と同様に,マフィックインクルージョンの輝石が,玄武岩マグマと流紋岩マグマの両方を起源としている可能性を示しています.
Saito et al. (2002)のFig.9を改変.