火山研究解説集:薩摩硫黄島 (産総研・地質調査総合センター作成)
硫黄岳西麓に分布する火山弾とその衝突構造およびそれを埋める火砕流堆積物
ハンマーの下にある火山弾には遅延発泡による膨張割れ目が見えます.火山弾は,噴火によってマグマ片が火口から空中に放出され,冷え固まったものです.遅延発泡による膨張割れ目とは,放出直後の,マグマ片の表面が急冷され固まっているがその内部はまだ溶融(すなわち,マグマ)した状態の時に,内部のマグマに溶けていたガス成分が気相となってマグマが発泡したことにより,火山弾が膨張し表面に割れ目ができたものです.
火山弾の上に火砕流堆積物がのっています.火砕流堆積物には軽石のほか黒曜岩破片も含まれています.火砕流堆積物に含まれる炭化木片の年代から約500~600年前に噴出した火砕物と推定されています.
川辺禎久撮影.
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