火山研究解説集:薩摩硫黄島 (産総研・地質調査総合センター作成)
斑晶モード組成
火山岩に含まれる斑晶鉱物の種類と存在量も重要なマグマの特徴のひとつであり,鉱物モード組成といいます.
この表は,薩摩硫黄島火山全史の火山岩の鉱物モード組成を示します.
薩摩硫黄島火山の玄武岩に含まれる斑晶は,斜長石が最も多く,単斜輝石,斜方輝石,カンラン石が次いで多く,鉄・チタン鉱物をわずかに含みます.
流紋岩は, 斜長石が最も多く,単斜輝石,斜方輝石が次いで多く,鉄・チタン鉱物をわずかに含む.長瀬火砕流ではさらに石英を含みます.表には示しませんが,カルデラ形成期の最初のカルデラ噴火と考えられている小瀬田火砕流には,単斜輝石が無く,石英,ホルンブレンドが含まれています.
石基とは,火山岩中で斑晶や泡以外の,小さな鉱物やガラスで構成されている部分で,マグマ溜まりではケイ酸塩メルト(溶融物)であったものです.薩摩硫黄島火山の流紋岩は,長瀬軽石を除いて80-90%以上が石基であり,斑晶が少ないマグマであったことがわかります.
小野ほか(1982)の第3表を改変.